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リミットネットワーク Vol.227

  今年も大変お世話になりありがとうございました。 一、 ウイルスの挑戦  冬枯れの季節を迎えました。早いもので今年も最後のリミット通信となりました。 欧米に続き日本の新型コロナ感染は第三波をむかえ、経済の本格的な再開は難しい状況になりつつあります。今年初めにはこのような年になると、誰が予測できたでしょうか?  しかしながら二十世紀後半以降、人間社会に新しいウイルスが次々と出現している現実があります。「エマージングウイルス」と呼ばれているそうで、天然痘の根絶以降もエイズをはじめとした、これまでになかった感染症が次々と人類に襲い掛かってきました。高い致死率や激しい症状などから、このエマージングウイルスによる感染症は世界に衝撃を与えました。ラッサ熱、エボラ出血熱、ハンタウイルス病など、これまでにも様々な伝染病が感染拡大を繰り返してまいりました。コロナウイルスのグループからは、二千年以降に三度もエマージングウイルスが出現しています。「SARS」や「MERS」、そして今回の「COVID-19」のウイルスです。  エマージングウイルスは、様々な野生動物から繰り返し現れます。人間がその生息分布を広げ、自然を破壊し大規模開発を続けたせいで、野生動物との距離が近くなり、野生動物が保有するウイルスとも共生する必要性が出てきたのです。日本でも近年、里山崩壊が問題となり、市街地に野生のサルやイノシシが出てきて問題視されています。人間の都合で野生動物を一所に集め家畜化した結果、鳥インフルエンザなどの感染も拡大しています。  新型コロナウイルス感染の問題は、これから人類がウイルスとの共生の道をどう探ってゆくかという自然界からの挑戦でもあるわけです。 二、 三十五年ぶりに創業の地で再出発  コロナ禍でいつもの秋冬繁忙期の忙しさもなく過ぎた先月が終わり、十一月は防寒物の無いリミットでは本格的な閑散期となる時期ですが、今月は小春日和も多く、ロットは小さいながらも細く長く秋冬物の出荷が続いております。現在もコロナ禍対策として、日々の業務は皆様にはご不便のかからないように、社員を交代制でまわしております。予定としては来春までは続ける予定です。新型コロナの影響がいつまで続くか分からない現状としましてはいたしかたないと考えております。  そんな中でも今月中旬には二日間の日程でユニウェアの来年度新カ...

リミットネットワーク Vol.226

   いつもお世話になりありがとうございます。 一、 残り少ない今年に思いを馳せ  秋も深まり、日が短くなってまいりました。世界中で新型コロナウイルス感染が激増していますが、季節や時間はいつもどおり流れ、木々は色づき稲穂は金色に実りました。今年もあと残すところ二か月となり、例年ですと秋の繁忙期も終盤をむかえ、そろそろ年末年始のことがふいっと頭を過ぎる頃ですが、今回はこの状況が来年以降いつまで続くのだろうかと不安のほうが先に浮かびます。  景気は戦後最悪となり、感染拡大防止と経済回復の両立を模索し続けた一年となりました。東京オリンピック開催などの世界的祭典から、身近な冠婚葬祭などの儀礼文化などが中止・延期され、これまでの日常が大きく変化した年になりました。残された月日で自分なりに総括し、新しい年に向けて何をどうしてゆけば良いのか、混乱した頭をスッキリさせて今一度整理しなくてはと考えているところです。 二、一枚の荷物に感謝を 今月に入り、残暑も終わり朝晩と肌寒くなりはじめ、長袖商品がようやく動き始めました。今秋はコロナ禍のなか、定番マタニティー商品の動きが検討しております。定番在庫のマタニティー商品がなかなか無いようで、販売も順調に伸びております。しかし逆から見ればコロナ不況のなか、産前休暇を出来るだけ取得せず働いておられる女性従業員さんがいらっしゃるのでは、ということも想像もできます。毎日のように廃業・倒産・リストラなどのニュースが聞かれます。なんとかはやく、このコロナ禍が過ぎ去ってくれればと祈るよりほかありません。  中旬以降も見本注文が日に日に多くなり、日々寒さが増すごとに定番品もまとまって動き始めました。ただ日によって注文数のばらつきが大きく、配送部門では前日は忙しかったが今日は暇だと、当日注文の増減が激しい月となりました。荷組みした出荷荷物を見てみても、単品番のみで複数品番が混合されるような物件は例年に比べやはり少なかったように感じました。ただ後半には大口注文も増えてきました。出荷当日に追加注文を受け、合荷にするケースも今年は少なく、やはりまだまだコロナ不況からの脱却には至っていない状況です。  先月売上では販売軒数は昨年並みで、客単価を大きく落としていました。今月は分析の結果、先月とは逆で販売軒数が少なく、客単価は昨年並みでした。昨年十月は消費税が上...

リミットネットワーク Vol.225

   いつもお世話になりありがとうございます。 一、昔の伝承話  気持ちのいい秋風が吹き渡るころとなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?  今年は新型コロナに振り回された年になりましたが、早いもので明日からはもう神無月を迎えます。神有月として有名なのは全国の神様が集まる出雲地方ですが、実はここ福山市新市町も旧暦10月は神有月だったそうです。  その昔、備後国一宮である備後吉備津神社は毎年、神無月に盛大なお祭りである市立大祭(いちだてたいさい 11月23日前後の日曜日を含む3~4日間開催)が開催され、近隣から沢山の人が集まってそれはそれは賑やかな収穫祭だったようです。当然、祭りの主人公である大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)は祭り前後ご当地にいなければならず、八百万の神が集まる出雲国に毎年伺うことが出来なかったそうです。  あるとき、いつも欠席の大吉備津彦命を誘いに出雲大社の使者が使わされました。使者が備後国に入るとそこは市立大祭の真っ最中。出雲の使者もえらく歓待され、結局2人とも出雲国には伺えなかったそうです。後日、使者から説明を受けた出雲国大国主大神は使者を歓待してくれたお礼に随身門を進呈してくださったとか。それで備後吉備津神社には随身門が2つあり、旧暦10月を神有月というそうな。昔の言い伝えも面白いものですね。 二、閑散期のような繁忙期  今月は本来なら繁忙期のはずでしたが、例年の9月とは違い静かな秋冬商戦の幕開けとなりました。前半は残暑や秋雨で動きが鈍かったものの、後半から朝晩の涼しさも手伝い、少しずつまとまった荷物が出始めております。  巷では「GO TO ○○」と銘打って人出はそれなりに増えてきました。人の往来が増えればコロナ感染も当然増加するわけで、なかなか従来の状態には戻らないと思います。日銀の見解では「事業環境は緩やかに拡大している」といった回答も増えてきていますが、全く実感はありません。逆にこの秋以降来年いっぱいが業界には最も厳しい状況になるのではといった意見が多いです。  販売店の皆様も「夏までは空調服販売が好調で良かったが、製造業を中心に今月くらいから業績低迷が目立ち始め、秋商戦がこれから始まるかどうか不透明だ」といったご意見が多かったです。各アパレルの在庫増も顕著になってきています。在庫の推移を見ながら慎重に資金計画を立てたい...

リミットネットワーク Vol.224

  いつもお世話になりありがとうございます。  一、大変革時代  立秋とは名ばかりの暑さがつづいておりますがマスクや換気もしなくてはならず、今年の夏は例年以上に暑さが身にしみます。貴社におかれましても大変なご苦労をされておられることと案じております。  戦後最悪の不況をもたらしつつある新型コロナウイルスは、世界経済に劇的な構造変化を迫ってきました。感染症の拡大とグローバリゼーションは表裏一体であり、今後も様々な感染症に悩まされ続けるかと考えると、元の世界が戻ってくることはありません。感染症に脆弱な「都市の集中」から「地方への分散」への転換が進み、リモート社会が定着し、産業構造が劇的に変わります。各国は分断し格差社会が拡大、自国中心主義は反グローバリズムを生み激しい気候変動など様々なリスクと重なり、現状のグローバルサプライチェーンは再編するでしょう。  このままでは米中対立は資本主義と共産主義の覇権争いとして先鋭化し、ますます激化してゆきます。安倍首相の突然の辞意表明を受け、今後の世界における日本の立位置はどうなってゆくのか。ポストコロナ時代は全く先が読めません。  二、リミットのリノベーション  今月は静寂の月でした。閑散期とはいえ、ここまでFAXが鳴らないかと厭きれてしまいました。これから繁忙期にはいるわけですが、終息しつつあるコロナ感染を受け、果たして商戦は盛り上げってゆくのか一抹の不安を覚えます。  ただ、リミットとしてはやるべきことをやるだけですので、ポストコロナ時代の到来を見据えてのいろいろな準備に精を出しております。企画は新商品作成と新カタログ作成。システム部門は来年度投入予定の新システムサーバーの仕様決定やプログラムづくり。縫製部門は各工場別に縫製レベル向上を目指した研修。それぞれの部門で、この自由な就業時間を最大限有効活用しています。  また、来年の本社移転準備も着々と進んでおり、来月から新市創造センター二階には業者が入りリノベーションも本格的にスタートします。来年度は本社管理部門と製造・配送部門すべてが新市創造センター内に集結します。これまでより納期を短く、一日でも早くお客様のところに商品をお届けできる体制が整います。  三、新時代のモデルとは?  コロナ禍の終息が見通せないまま時間だけが経過します。この間にも倒産・廃業・解散が急速に増加し...

リミットネットワーク Vol.223

 いつもお世話になりありがとうございます。  一、コロナ禍の正義とは  梅雨明けを待ちかねたように蝉の大合唱がはじまり、本格的な夏に入ったのを感じます。 コロナと共存する生活様式にはまだまだ戸惑いもありますが、身の安全は何物にも代えられないと肝に銘じて過ごす今日この頃であります。皆様いかがお過ごしでしょうか。  ここ福山でも最近、感染者が増加しております。飲食店でもクラスターが発生し、行政は店名を公表して対応を急ぐ措置をとっております。店名や感染者の行動範囲が公表されれば、各自の行動様式に照らし合わせ一刻も早く病院で受診することもできます。一方残念なことに、店名公表した店に対する誹謗・中傷もあとを絶ちません。店名公表を決断された経営者と同じ立場に立たされたとき、同じように公表できる自信はありません。それでもコロナ禍が落ち着いたら、真っ先にその店で食事をしようと思っています。  二、閑散期へ突入  閑散期に入り電話やFAXも減り、職場は静かなものです。リミットで忙しいのは来期の新商品づくりや新カタログ製作といった、将来の種蒔きを担う企画研究部門のみです。デジタル技術の進歩で、リアル展示会からバーチャル展示会へ、紙の印刷カタログからデジタルWEBカタログへと商品訴求のツールも大きく変わりつつあります。経済成長の尺度も、これまでの大量生産による効率を重視したモノ中心の時代から、目に見えないデータや情報などの無形資産へと富の源泉が変わりつつあります。  こういったパラダイムシフトの時代に、企画研究部門が果たす役割は非常に重要だと考えます。どうしても集まってあーでもない、こーでもないと三密になりがちな企画研究部門ですが、アパレルメーカーである以上、各人がアイデアを出し合い、将来の創造性を育みながら次世代の働く服を作ってゆかねばなりません。  蒸発する市場と新たな需要  今再びコロナ感染者が急増しており、販売店の皆様もお客様への訪問を躊躇されていることでしょう。新型コロナウイルスの蔓延で、アパレルは一般衣料も含め大打撃を受けております。この調子ではたして秋冬繁忙期は到来するのかいささか不安です。テレワークの普及により職場の前提がすっかり変わってしまいました。ということはそこで働く人の仕事着も一変する可能性があります。  それはデザインや機能性といった仕様だけにとどまらず、企業が...

2020年 6月号

 いつもお世話になりありがとうございます。  一、これまでの常識が非常識になるとき  梅雨の晴れ間の青空はすっかり夏色になりました。蒸し蒸しとする日は、マスクをするのもおっくうになります。  大都市を中心にまたコロナウイルス感染者が増加してきております。梅雨の長雨が続くと西日本豪雨災害が頭をよぎります。今年の避難場所確保にはコロナウイルス感染にも留意しながら設置場所を選定しなければならず、行政府も頭を抱えているそうです。新型コロナという外的要因によって、偏ったグローバル化や格差の存在など行き過ぎた資本主義の問題点が否応なく浮き彫りになりました。我が業界でもこれまであたりまえだった大量生産・在庫・廃棄といった商流から、いかにサスティナブルを目指し、価値ある服を大切に、長く着てもらうかという視点が重要になります。これまでの「当たり前」を疑ってかからなければ、次の変化に対応できなくなるかもしれません。  二、本社を新市へ  先月号でも少し書きましたが、この数カ月コロナウイルスにより突然、非日常の生活が続きました。弊社でもリモート在宅勤務や交代勤務など、新しい働き方を迫られました。パンデミックはデジタル化を加速し、従来の働き方を変えました。そこで私はふと、「本社を日本生命ビルから新市工場に戻そう」と閃きました。振り返れば芦品郡新市町から福山駅前の日本生命ビルに入居して三十五年。今ではビルには弊社以外すべて上場企業しか入居していません。問屋を省き、全国の販売店の皆様とカタログによる通信販売を夢見た当時は、非常に価値のあった挑戦でした。優秀な人材も福山駅前に越してから、たくさん入社してくれました。日本生命ビルという看板がリミットを大きく成長させてくれました。このビルには本当に感謝しています。  あれから時代が流れ、新市町も芦品郡から福山市に変わり、通信や交通の便も大きく変わりました。今では駅前にある大手ビルも空きテナントが増えました。理由は大手の支店合併で福山支店が無くなったのです。リミット本社には管理部門の八名が在籍しています。新市工場にはその倍の人数がいます。コロナ禍でのリモート在宅経験で、これからはどこにいようがデジタルのおかげで社員はもとより、取引先ともリアルタイムで繋がれます。新市に戻れば、製販一体となり、業務のリードタイムも短縮化され合理化に繋がります。そこで今年い...

2020年 5月号

 いつもお世話になりありがとうございます。   一、 ウイルス共存の新生活  梅雨入りを間近に控え、それでなくても憂鬱な気分がいっそう沈みがちになってしまいます。  緊急事態宣言解除下での恐怖心は、感染よりもむしろ景気のほうに移ってまいりました。自粛という日本人独特の対処法により爆発的な感染拡大は抑えられました。しかし反面、不要不急は制限され、潤いのない無味乾燥した日々がただ過ぎてゆきました。改めて非日常を演出し、人と人との交流により心を和ませてくれていた旅や外食の付加価値をよく理解できました。  自粛によって大きく影響を受けた店舗事業も、宅配や持ち帰りなど生き残りをかけ、業態変化させた店舗もたくさんあります。アフターコロナ、ニューノーマルなど、コロナ・エフェクトで一変する社会は、企業や個人にとって新たな働き方や暮らし方が定着する契機となるかもしれません。目に見えないウイルスと共存しながら繁栄の道を歩むのであれば、改めてここで自社の業態を見直し、今ある企業財産をどう活用してゆくかを真剣に考え直す時が来ました。   二、次代の趨勢か?  日本では緊急事態宣言が解除されたばかりですが、韓国では新たな感染者が増加中、札幌、東京や北九州でも第二波への警戒を高めている。休廃業、倒産、失業がすでに多発している現状で、新しい生活様式にのっとった生活習慣転換は急務であり、ワクチンが流通するまでの間は真綿で首を絞められるような景況感が続くかと思うと、危機感を禁じ得ません。  それにしても、ウイルスの誕生は人類よりも古く、これは人類が増加し過ぎて地球環境を脅かす存在として君臨し、動植物の乱獲や環境汚染に脅威を感じた自然界からの警告なのかもしれません。現にこの度のコロナ禍で人類が活動を一時中断したため、中国では大気汚染が一時的に緩和されたり、水の都ベネチアでは青い海が戻ってきたりと、地球本来の姿が垣間見られました。今後求められる持続可能な開発目標とアフターコロナは同じなのかもしれません。   三、再始動にあたって  先般、全国で緊急事態宣言が解除になりました。今後は社会的距離を保ちながらの経済活動再開ですが、今月売上は三割ちかく落としました。夏物最盛期の五月だけに厳しい結果となりました。今月も交代休業や経費削減に努め、国内・海外工場とも...

2020年 4月号

 いつもお世話になりありがとうございます。  一、 激動のなかでリミットの出来ること  新緑の木の葉がつやつやと迫り出してくる季節となりました。  皆様「スティ・ホーム」どうですか?この一カ月の間に非常事態宣言が全国に拡大され、人の移動も制限され、病院では医療崩壊が叫ばれる状態にまで事態は急速に悪化しました。ウイルスに冒され、病床では家族との接触も許されず急速に容体が悪化し、誰にも気づかれず亡くなられた方もいらっしゃいます。遺族との最期のお別れも許されず、遺骨となって再会しなければならない無念。そんな報道を見ているとやり切れない思いがこみ上げてきます。目に見えない恐怖との闘い。  小池都知事が発表された「スティ・ホーム」とは、言い方を変えれば新型コロナウイルスの「被害者になるな・加害者になるな」ということを自覚し、現状をよくわきまえることです。今、巷では皆マスク姿ばかりです。マスクの真の有効性がどうなのか私は深く理解していませんが、周りのマスク姿の方を見てその危険な無言警告を察知することが重要なのではないでしょうか。  今、自身を危険な状況に置きながら毎日患者の為に懸命に治療を続けていらっしゃる医療従事者の方々のお役に立てる防護服を今すぐリミットでご提供することは残念ながらできません。それでもマスクのように、自分自身の身を守りながら、周りの人たちに無言の意思や決意を伝達することの出来る作業服は作れます。  世界中がコロナウイルスで殺伐としています。しかしこのコロナ禍が終息し、グローバルに開かれた交流が再始動するとき、互いに言語は違えども以心伝心のコミュニケーションで懸命に働く人たちが活躍出来る仕事服作りに、リミットは貢献してゆきたいと考えます。  二、 新たな勤務形態とは?  暦は春ですが、今月は花冷えの続く日が多かったように感じました。商況ですが、前半は前年同月以上の動きを見せました。しかし非常事態宣言が発出されてから急下降して二桁減になりました。お客様のお話でも、「宣言が出されてからは積極的な営業活動がためらわれ、電話での問い合わせに終始した。」「キャンセル・返品が相次ぎ、そして誰もいなくなった」など営業活動自体が出来なくなった販売店も多数おられました。  やはり皆さんが一番危惧されていることは、この状態がいつまで続く...

2020年 3月号

 一、コロナパニック後の新しい秩序  いつもお世話になりありがとうございます。  例年なら花の便りも聞かれる今日この頃ですが、世界中がコロナパニックに陥っています。先月号では中国を中心とした東アジアで猛威をふるっていました。そして新型コロナウイルスの日本の産業への影響は、中国に関連する業界が目立っていました。誰もが中国に限定した拡散で終息することを期待していました。しかし、それははかない願望に過ぎなかったのです。  現時点ではヨーロッパやアメリカ、それに中東などで爆発的に感染が拡がりました。WHOは、ついにパンデミックを宣言しました。非常事態宣言は、世界いたるところで発動され、それとともに株式相場も大暴落しています。  この事態は、亡くなられた方々のことを思うと心苦しい表現になりますが、考えようによっては、必ずしも実体経済を反映していない投機でバブル化した相変わらずの市場が、短期間で一気にリセットし、リアルな姿に戻ったともいえます。新型コロナウイルスはワクチンと治療薬が開発されれば必ず終息に向かいます。それまでの時間をどう過ごすか?事ここに至って、リミットは頭を切り替え、企業経営のスタンスを危機モードに、姿勢を低くしながらでも未来に向かって匍匐前進を続けます。この世界的なコロナパニックのリセッション後には、必ず新しい政治・経済秩序が構築されていくのではないでしょうか。  二、深手を負った中国、本格再始動へ向けて  中国での感染者数は、日本とは反対に日を重ねるごとに減少傾向へと変わっています。依然として経済状況は深い傷を負っています。中国の経済統計を確認できる範囲では、一月〜二月のGDP伸び率が初めてマイナスとなりました。  この状況下で、福州のリミットは、当初の予定を半月ずれ込み、今月中旬から本格稼働となりました。ようやく昨年末の体制に戻れたわけですが、今後の商況次第では生産調整も視野に入れておかなければなりません。  現在の注文状況から推察しますと、昨年に比べ見本注文が減りました。追加注文をそれなりにいただいております。よって新規案件は当分の間、苦戦を余儀なくされるでしょう。サイズ切れなどに迅速に対応できるよう、国内生産体制の更なる効率化が喫緊の課題になります。  三、「窮すれば通ず」    システムのアップグレー...

2020年 2月号

 一、気候変動、新型コロナウイルス肺炎    流行のなかでの新年度  いつもお世話になりありがとうございます。  いよいよ新年度が始まります。大安の四日、大日本印刷様、福山通運様に列席を賜り、備後一宮宮司主催のもと、二〇二〇年リミットカタログ出陣式を無事執り行うことができました。この恒例行事も、今年は少しばかり取り巻く環境が違っています。  例年ですと寒さの中に少し春の訪れを感じる季節ですが、福山、二月も半ばを過ぎての初雪でした。南極では今月六日に観測史上最も高い気温十八度を観測した模様です。オーストラリアでの森林火災と豪雨の非常にアンバランスな現象は、もはや不気味としか言い様がありません。そうしたところに、新型コロナウイルス肺炎が世界的な脅威になってしまいました。世界は人知を超えた領域に突入しているようです。次から次へと押し寄せる衝撃に、想定内という防波堤は軽々と飛び越えられ、ただただ唖然とするばかりです。  こうした変異は、経済にも大きなマイナス要因になりつつあります。今期は、このような状況の中でスタートしました。より一層の危機感を持ちながら、情報収集にあたり、次代に向けての第一歩を踏み出します。  二、福州工場は来月から全面稼働予定  今月の商況ですが、中旬は一時的に寒さが戻り、概ね昨年並みで推移することができました。しかしながら心配なのは、すでに書いた新型コロナウイルスが猛威をふるっていることです。一体いつ終息するのでしょうか。  今回の件では、全世界のあらゆる領域に与えている中国の影響力がいかに大きいかをまざまざと見せつけられました。私も福州の総経理と緊密に連絡をとっています。春節中、福州の総経理に新型コロナウイルス肺炎には十分気を付けるようにとのメールを送りました。総経理からは先月末、マスクがないので送ってほしいとの依頼があり、品薄になりつつあるなか、何とかかき集め福州に送りました。その時点では九日までの休業予定だったのですが、それが十六日になり、最新の報告では、地域行政の命令がとても曖昧で、事前申請、検疫検査などいろいろな条件をクリアしないと操業できない状況のようです。また、従業員の半数近くが復帰予定の春節明けになっても到着していません。みんな福州以外からの出稼ぎで、各地で実施されている交通閉鎖で故郷から出ること...

2020年 1月号

 一、画一性の終わり、二〇二〇年  皆さま、今年もよろしくお願いいたします。  大寒を迎えようやく広島でも寒いと体感する朝があります。ですが、この冬は初雪が観測されていません。これは、八十五年ぶりの記録だそうです。夏は夏で猛暑や大型台風の襲来で被害が予測されます。こうした気候変動による変化は、これからの産業構造や商様式に大きく影響します。資本主義そのものを根本的に見直さざるをえなくなるとの主張も合理的と思えます。それほどまで矛盾が可視化してきております。当然、人の価値観にも影響します。  今年は二〇〇〇年生まれの若者が二十歳を迎え、消費の担い手として本格的に市場に登場してきます。このデジタル・ネイティブ世代はすでに世界人口の三人に一人の割合になっています。この世代は、バブル経済を知りません。ですから、多様な価値観をもち、金やモノへの執着よりも、共感、環境、人権などに関心が高いのです。経済状況が良くなくても生活満足度はさほど悪くないと感じる人が増えているとある新聞に出ていました。この意味でも従来の資本主義的生産の見直しが求められていると思います。  オリンピックイヤーの二〇二〇年、これまでの画一的な大量生産・大量消費の時代がまさに終わりを告げます。新しいことにチャレンジしてゆく新春到来です。  二、多様なミレニアル世代の    価値観に対応する  今月は決算期です。今期は春から非常に苦戦を強いられ、今期の売上は一割減になりました。去年の景況感が尾を引き、その上、米中貿易摩擦の影響が日本の製造業の足を引っ張っているとなるといたしかたないと思います。  年が明け、値上げの問い合わせが多く入ります。ご安心ください。今年は、値上げをする予定はありません。来月四日には恒例のカタログ出陣式を経て二〇二〇年新カタログが全国一斉発送されます。どうぞよろしくお願いいたします。  苦戦の客観状況をもう少し分析すると次のようなことが言えるのではないかと思います。製造業からの工作機械受注の回復はなお遠く、緊急性のない制服更新は後回しになりがちです。それでも今までの傾向では延期であって、必ずリピートがどこかの時点で再来していました。しかし、二〇〇〇年代に成人・社会人になるミレニアル世代はモノの所有欲が乏しいミニマリストが台頭しています。デジタル技術を...