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2010年 11月号

 一、リフィンのカタログ銀賞受賞 いつもお世話になりありがとうございます。 こちら広島でも急に北風が冷たくなってまいりました。今年も残すところあと一ヶ月余りです。そして、リミット通信は、この号が二〇一〇年の最終号です。今年も皆様にいろいろと支えていただき、リミットは、前進することができました。日頃のご愛顧に感謝いたします。 先日嬉しいニュースが、大日本印刷様から飛び込んでまいりました。日本印刷産業連合会が主催する「第五十二回 全国カタログ・ポスター展 ~二〇一〇~」にて、今年春に発刊いたしましたリフィンのカタログ『巡り』が通販部門の銀賞を受賞した、ついては十二月八日に東京で授賞式と受賞パーティーがあるので是非出席を、という内容でした。 私は、そのような賞があることを知りませんでした。インターネットで調べてみると、一九五七年より開催された歴史のある展覧会で、昨年の第五十一回通販部門の銀賞は、あの有名なカタログハウスの『通販生活』でした。審査基準は、「印刷技術が特に優れており、企画・デザインにおいて製作意図が果たされているもの」「印刷技術、企画デザインにおいて創造性に富み、将来に示唆を与えるものと認められるもの」の二点です。 リミットは、女子作業服の製造通販業者として、全国の職場で日々活躍する女性の皆様に喜んでいただけるカタログ作りに長年取り組んでまいりました。考えてみますと、今回の受賞の源泉は、「チームリミット」としてずっと作成に力を貸してくださっているカタログ作成会社の皆様。取材、撮影にいつも笑顔でご協力くださる作業服を着て毎日職場で働かれている女性の皆様方。そして日々全国の職場にリミットカタログをお持ちいただき、リミット制服をユーザーの皆様にご説明くださっている販売店の皆様方の、情熱と努力が凝縮したことだと思います。あらためて皆様に心から御礼申し上げます。 丁度今、リミット総合企画研究所のスタッフたちは、来期のカタログ撮影のため、東京に出張しております。この受賞を誇りにし、また新たなリミットの道を開拓していきたいと考えております。  二、福州工場にミシンの轟音 先週私は、中国の福州工場に、副社長と専務を連れて行ってまいりました。私は、二ヶ月ぶり、専務は今の工場予定地を決めて以来約一年半ぶり、副社長は初めての訪問です。...

2010年 10月号

   一、日本の技術力を再確認    いつもお世話になりありがとうございます。  先々週、東京で開催されていたジャパン・クリエーションに行きました。繊維の総合展示会に相応しく、あらゆるジャンルの生地、附属品などの素材を見てきました。優れた素材でも機能性の観点からみると、作業服というジャンルには使用が無理なものもたくさんありました。しかし、一つの素材が後加工により全く逆の機能を持ったり、全く別の表情や触感になったりする様はまさに驚きでした。日本の高度な技術力を垣間見ました。このような業界を挙げての総合展示会も、政府の事業仕分けの対象に上がり、今後の活動に支障をきたすような記事も目にしました。非常に残念なことだと思います。  このたびの出張では、紡績の来春夏展示会も行きましたし、来年のカタログの撮影場所も見つけることができました。大変有意義な出張でした。アンテナはたくさん、さまざまな方向に広げておかないと、と痛感させられました。    二、堅調な受注、自社生産充実    十月も終わろうとしておりますが、生産の方は相変わらず受注残に追われております。その影響もあり、九月の売上は、昨年同月比一割強伸ばすことができました。  国内も中国も生産現場は残業をしています。なおかつ中国生産は製品ができればすぐ飛行機で日本へ出荷させる対応をとりました。それでも現時点でも注文残は昨年同日比八倍を抱えております。現在も注文は、毎日休むことなく入ってまいります。昨今の経済情勢の中、非常にありがたいことだと痛感しながら、これからの生産体制を考えると何とか早く注文残を消化しなければと焦っております。  生産の増減は、一朝一夕にできるものではありません。昨年から今年にかけて注文状況が一変しました。ちょうど今年二月の中国新工場立ち上げと重なりました。五月の連休明けから注文が一気に増え始め、七月には注文残がピークになり、昨年同月比で十六倍の残を抱えていた時もありました。それから徐々に新工場も軌道に乗り始めました。    三、不安定な環境下の生産体制構築    ところが、今度は生地、附属品の納期が遅滞する状況になってまいりました。紡績も一変に状況が変わりましたので、糸からの生産になれば納期がかかって当然です。リミットは計画生産ですので、まだ生地...

2010年 9月号

   一、秋冬商品準備を急ぐ    いつもお世話になりありがとうございます。  ようやく朝夕は秋らしい爽やかな風が吹き始めました。しかし、ここ広島ではまだまだ日中の残暑が厳しく、上着を羽織ることを躊躇します。異常気象といわれる天候によって、結果的に夏物の販売をずっと引っ張るカタチで九月を終えようとしています。とは言え、秋冬商品の受注も徐々に加速してきており、今後の展開が気になるところです。  今夏の懸案事項であった受注残の問題は、現時点で、昨年同月比四倍まで解消されました。夏物は在庫が薄い状態で受注が先行し、追っかけ生産により何とか納めることができました。これから本格的な商戦に入る秋冬は、気候がずれて受注のややペースが遅くなっています。現在、中国青島工場と中国福州工場から次々と製品が入荷しつつあります。従って夏物受注時ほどの混乱はないと考えております。新設した福州工場も、日を追うごとに生産高が増えてきており、来季春夏に向かっては軌道に乗ってくるものと予想しています。    二、今夏の混乱から学ぶ当面の準備    今年の春夏の混乱から感じることは、定番商品の底力と提案商品のフォローの難しさです。  定番品に関しては今後中国の自家工場の生産力をつけていけばよいことですが、提案商品はシーズン毎に売上の差が開くので、生産計画の悩みがつきません。適正在庫を徹底して追及するためには、どうしてもクイック生産のできる国内工場が必要です。今季春夏は国内工場がフル稼働して夏物を追っかけましたが、来季のことを考えると今から準備をせねばなりません。  ところが、中国工場もなかなか従業員が集まらなくなり、これが不安要因です。そして、中国の縫製業も、かつての日本と同じ道を歩んでおります。この備後にも昔は大きな下請工場がたくさんありましたが、現在では独自ブランドを持った、特殊な技術力のある小さな工場しか残っていません。そこで、来季に向かって国内工場での人材の育成に注力することにいたしました。いくらリミット企画研究所が優れた製品を開発しても、量産するところがなければ社会の役に立つことはできません。そのために人材の育成が欠かせません。  これには長い時間がかかります。二、三年先を見越して育成し始めなければ間に合いません。募集はすでに始めており、現時点で...

2010年 8月号

   一、求められる自己変革  いつもお世話になりありがとうございます。  酷暑が続く毎日ですが、皆様体調など崩されてはいませんか?今月初旬に訪れた中国福州工場は気温三十八度で茹だるような暑さでした。今では中国でも福建省は一番暑い都市として名前が挙がっているそうです。  ビジネスも熱く、訪れる度に進化している工場や町並みを見ていると、為替に一喜一憂している日本経済が本当に小さく感じてしまいます。私たちが次のステージに進めるように自己変革を繰り返さなくてはと痛感いたします。問題の核心は、私たち個々の戦略にあるのではないかと思います。  二、秋冬物と福州工場の態勢  もうすぐ九月になり、そろそろ秋冬もののシーズンです。しかし、今年は残暑が厳しいこともあり、秋冬は十月以降になる予感がします。春夏の品薄状況を見越して、早くも大口物件の発注も出始めていますが、秋冬物は春夏物に比べて期間が長いので短期間に集中することはないと思っています。ただ、春夏の残が九月以降でもキャンセルされず残っているのが若干気になります。現時点でも受注残が昨年比の五倍あります。受注残の消化が最も優先される課題ですが、国内工場もフル生産でここ数年記録したことのない水揚げができております。  一九九五年五月号のリミット通信を開いてみると、中国青島工場設立当時の記事が出ています。国内縫製では採算が難しくなり、中国に進出した経緯が載っています。しかし国内自家工場の灯火だけは残し、社員が誇りを持って工場に来られるように積極的に拡張する旨の記事に目がとまりました。現在では当時に比べ、技術力は格段に上がり人員も増え、素人でも採用後の教育で、高級婦人服も生産できる工場に成長しました。この成功体験を活かし、現在新しい福州工場にすべてのノウハウを伝承しております。日を追うごとに福州工場は成長し、水揚げも徐々に増えております。  問題もあります。人の採用、定着はなかなか難しく、工場のある工業区周辺には募集の立看板が目立ちます。これは一朝一夕には解決できないと腹を決め、青島工場でフォローしながら規模拡大を計ってゆきたいと考えております。  三、いよいよ長期の為替予約終了に目処  現在の会社の状況ですが、約半年間海外生産をストップしていたので七月末の海外を含めた総在庫は...

2010年 7月号

   一、集中豪雨被災をお見舞い申し上げます    いつもお世話になりありがとうございます。  今月中旬、西日本を襲った集中豪雨によって、広島県内でも大きな被害が出ました。台風などの自然災害が比較的少ない瀬戸内でも土砂災害の様子がニュース映像が流される度、自然の力に恐怖を感じました。それと同時にグローバルな世界経済の激流の中で、一本の流木のように飲み込まれている日本を見ているようで背筋がぞっとしました。皆さんの地域は大丈夫でしたか?被害にあわれた地区のお客様の復興を、心からお祈りいたします。  今年は残暑が厳しいと発表されています。しかし、天候は自然の摂理ですので人間が予測することも実際にはかなり難しいのではないでしょうか。近年各地で被害をもたらしているゲリラ豪雨なども、都市のヒートアイランド現象などが原因として上げられていますが、そのメカニズムは殆ど分かっていません。  すっかり梅雨も明け、ここ広島では毎日暑い日が続いております。くれぐれもご自愛ください。  二、あえて困難の道を選択  七月も終わりに近づきましたが、最高で十三倍になったお客様の注文残は、現在、昨年同日比十倍で推移しております。もちろん注文残のトータル金額は縮小傾向にあり、これから日を追うごとに解決されることと思います。  製品在庫金額は昨年と比べ三分の一に落とすことができ、資金面ではかなり楽になりました。現在のような経済環境の下で財務面を再強化できたことは、今後においても皆様のお役に立てる環境整備ができたことになります。大変ありがたいことだと思っております。  ここ十年、リミットは、皆さまに納期の面でのご迷惑をおかけすることはありませんでした。生産計画は、極めて順調でした。しかし今年は、昨年の反動で、生産計画に狂いが生じ、その対応に追われる日が続きました。  現時点の経済環境は、決して好ましいものではなく、今年秋にかけても追い風はあまり期待できません。こうした状況では、安易に在庫を積むことで乗り切るのではなく、更なる生産計画の精度向上に挑戦することが必要です。それは決して、安易な道ではありません。しかし、この困難への挑戦は、納期のリードタイム短縮と、限りなくゼロに近い在庫の両面を可能にする最善の方法だと確信しています。  三、本格稼働間近...

2010年 6月号

   一、今秋へ試行錯誤の福州工場  いつもお世話になりありがとうございます。  今年も憂鬱な梅雨の季節になりました。夏至も過ぎましたので、少しずつ日が短くなっていきます。もう今年も半分が過ぎるのですね。しかしこれからが本格的な暑さを向かえるわけです。お互いに体調など崩さぬよう心したいものです。  さて、今月中旬に四ヶ月ぶりに福州工場に行きました。二月の立ち上げ時はまだスタッフの人数も少なかったですが、順次縫製経験者の採用を進めたため、この度の訪中時には人数も増えていました。工場内にミシンの音が一層大きく響いて、活気がありました。  しかし、新たに採用した縫製経験者の従業員たちは、リミットの多品種少量生産には慣れていないようでした。限られた同じ製品をひたすら縫製することに慣れてきたのですから、無理もありません。今回も同行した企画室長がラインの変更を指示しながら試行錯誤を重ねています。工程分析を繰り返しております。  多品種少量のクイック生産実現に向け、日夜工夫を重ねる中国工場を見ていると、企画研究所での商品開発からマーケット投入までのリードタイム短縮化や、国内工場も更なる技術向上をしなければと、焦りを感じました。  一方、世界を牽引する中国経済も、最近では上海の株指数の下落や不動産バブルの急速な冷え込み、自動車販売の減少、インフレ懸念などが取りざたされています。上海万博後の景気後退も囁かれております。そして昨今、賃上げを求める労働争議のニュースが伝えられています。リミットの福州工場ではまだ人材の募集をしています。同じように近隣の工場も入り口には「工員急募」の立て札が出ています。求人数が求職者数大きく上回っている印象を受けます。コスト維持に不安はありますが、リミット品質を貫ける自社工場があるという安心感と、文化の違う中国に信頼できるパートナーである総経理がいてくれることが大変ありがたく思います。もちろん、これからも苦労が予想されますが、今秋を目標に生産力アップは益々拍車がかかってきます。  二、次世代先取がリミットの使命  最近の業界紙上では、作業服業界の記事が少ないような気がします。その背景では、リーマンショック以降、過剰在庫削減に徹してきた各社が、この夏の揺り戻しで、急遽中国にスポット工場を探し求めているようです。し...

2010年 5月号

   一、 好転する夏物の生産状況  いつもお世話になりありがとうございます。  ゴールデンウィーク明けから本格的に夏の到来となりました。その反映なのでしょうか、予想以上に一気に夏物の受注が入ってきました。どのワーキングメーカーも同様の状況で、商品が間に合わず、納期さえ出せない状況にあると聞いております。リミットお客様サービスセンターでも納期短縮のご依頼が後を立ちません。そこで、この機会にリミットの生産の現状についてご説明させていただきます。  今年二月末にスタートしました中国福州新工場の立ち上がりは、予定より若干遅れていて、目標とする水揚げまでにはまだしばらく時間がかかる模様です。現在のところは、航空便にて急ぎ分をこなしている状況です。その遅れのしわ寄せが国内工場に重くのしかかり、出雲・新市両工場においてもフル稼働が続いています。生産のキャパシティを大幅に超えたオーダーを受けていて、残業で対応している状況です。それでも一部販売店の皆様方には、納期の面でご迷惑をおかけする事態も起きているようです。「リミットさんだから納期は信頼していたのに・・・」とお叱りの御声もいただいております。大変申し訳なく思っております。積み上げてきた信用を取り戻すため、今できることに全力投球していきますので、何卒宜しくお願いいたします。  幸いなことに原反在庫は十分持っており、急遽スポットの生産工場を手当できましたので、何卒今しばらくお待ちくださるようお願い申し上げます。リミットの場合、同じ商品が十枚足らなかったとしても、それは一件の受注分ではなく、一お客様のあたりの発注が一枚で、合計十件分が足らないといったケースが多くなっています。  リミットは通信販売をしておりますので、販売店の売上を見て出荷を調整するようなことはいたしません。あくまで先に発注していただきましたお客様から順次商品を抑えてまいります。どうか予定枚数が正式発注の前段階で分かりましたら、少しでも早くご相談いただければ、生産予定を早めに組むことができますのでご協力お願い申し上げます。  一般的には、インターネット上のデータで確認する在庫に対する不信感も多々聞こえてまいります。しかし、リミットのコンピュータ在庫の数は一枚たりとも狂いがなく、正確ですので今後もご安心してご利用ください。  二、...

2010年 4月号

   一、地球の異変に思う  いつもお世話になりありがとうございます。  桜の季節も終わりましたが、今年はなかなか暖かくなりません。関東では、四月半ばに雪が降りました。この天候不順で、野菜の価格急騰が社会問題化しています。寒さのせいで、これから最盛期を迎える夏物出荷の動向も出足が鈍くなっています。ゴールデンウィーク明けに一気に動き出すのか、それとも景気低迷で今年の夏も商機を逸するのか、判断が付かない状況です。  ハイチ、チリ、インドネシア、中国の青海省などで壊滅的な被害をもたらした大地震が続きました。アイスランドでは火山噴火があり、全欧州の空港が閉鎖されました。物流に影響が出て経済的な損失が問題になっています。ひとたび自然災害が起きれば、人間がどれだけ無力かを痛感させられます。  私は、毎朝息子とジョギングをしているのですが、数日前にまだ真新しいセミの抜け殻を木立の幹や根元に数個発見し驚きました。自然環境の限界がひたひたと迫っているようにも感じさせられました。地球が悲鳴を上げているように思います。  二、「価値の連鎖」を紡いで  先週、紡績と染色工場を見学させていただきました。企画チーフの勉強が主な目的でした。企画チーフは、今回が初めての見学でした。私も十年前に、同じ工場で勉強させていただきました。その頃と比べると、規模も人員もずいぶんと縮小していました。しかしその反面、合理化による短ロット・短サイクルを実現され、高機能製品の開発にも力を入れられていました。  綿花から糸ができる様は、何度見ても神秘的な工程です。しかしその原料となる綿花もインド、アメリカ、トルコ、エジプトなど諸外国からの輸入に頼っています。長繊維の原料となる石油も輸入です。アイスランドの火山噴火は、物流の停滞を現実のものとしました。もし地球規模で物流がストップしたなら、私たちは、服さえ作ることができないという現実を痛感しました。そして、紡績工程、織布工程、織物染色、ニット染色、プリント工程と、あらためて私達アパレルの前段階までにいかに手間が掛かっているかを再認識することができました。また、その製品を譲り受け、裁断し縫製する責任を痛感いたしました。  工場では、繊維の基礎知識講座もしていただき、企画チーフも大変勉強になったようです。これからの提案に活かせ...

2010年 3月号

   一、よい土地によい種をまく  いつもお世話になりありがとうございます。  三寒四温の言葉通りに気温が暖かくなって参りました。桜の開花が早い今年は、この『リミット通信』がお手元にとどく頃、皆様の地域では見頃を迎えているかも知れません。  さて、販売の様子ですが、ピンク、白やイエローなど明るい色の商品がよく動いております。これは今年の特徴です。リミットもこれらの色のように、行く手にようやく薄日が微かに見え始めた感じがいたします。この予感を大切にし、お客様に更に喜んでいただくための方針をしっかりと出していかなければと思っております。確かに焦りもありますが、焦ってもしようがないのです。 よく大地を耕し、種をまかなければ稔りある来年、再来年はやってきません。よい土壌によい種を蒔けば、後はすべての取引先の皆様やすべてのお客様、そして会社の皆が一致協力して一生懸命育ててくれます。厳しい時だからこそ、素直にありがたいという感謝の気持ちが自然と湧いてきます。  二、文化の相互理解から再スタート  さて、先月日本から輸出した縫製設備一式の設置が終った福州新工場のその後についてお知らせいたします。春節明けの平成二十二年二月二十二日と二並びの縁起の良い日からスタートし始めました。といっても従来から働いている核となる人材以外の募集は、春節明けから始めましたので、まだまだ本格稼動まで道のりは険しいです。今月は初旬と下旬に二度に分け一週間くらいずつ、企画室長と日本工場の各責任者が訪中し縫製指導をしてくれました。現地総経理も資材輸入の引取手続きに四苦八苦しております。並行して行なわれている内装工事の確認をしながら、また、新人工員との通訳もしてくれています。本当に忙殺状態です。おかげで、先月初旬のガランとして何もなかった工場は、このひと月ですっかり様変わりしました。  実は、人材の募集は容易ではありません。現在の中国景気を象徴するようにどの工場も大々的に人材募集をしています。争奪戦もあるようで、先週採用した五人が今週はもう来なくなるなど、採用した工員の人数がまだ安定しません。人員が安定するまでにはもう少し時間が掛かりそうです。そういう事情で、安定した製品を目標通りに量産できるようになるのは、もう少し先になるでしょう。しかし急ぐ必要はありません。一歩一...

2010年 2月号

   一、新期へ回復の気配  いつもお世話になりありがとうございます。  リミットグループも二月から新しい営業年度がスタートしました。新期早々の十日には、新カタログ発送出陣式を執り行いました。例年同様、備後吉備津神社宮司をお迎えして、無事発送が完了しました。今年は特に専務が中心になって、最悪期からの再起の決意を込めた式典になりました。と言うのも、あいにく私は、中国福州出張で出陣式には参加できなかったのです。遠くはなれた中国から、私も全社員と心をひとつにして、出陣式の成功と商戦の成就を祈念いたしました。  ところで業績の方ですが、昨年末よりこの三ヶ月は、昨年対比で少しずつ上昇しております。今月も順調に回復に向かっております。売上分母の小さい閑散期ですが、三月以降の繁忙期に向かって期待ができる状況だということです。このまま順調に推移することができればと願っております。  昨年度は、売上が減少する中、中国青島工場を停止させ国内工場をフル稼働させました。これにより、半年で在庫を前期比三十%減少させ、中国での工賃補填も減少させたことが資金繰りを楽にしてくれました。今月に入り、大口の引き合いもちらほら出始めています。  制服は企業活動の必需品です。景気による一時的な落ち込みがあるにしても、今後その反動としての「突然の増産」も怖いところではあります。  二、福州新工場稼働へ奮闘  今回の訪中は、春節までの一週間でした。目的は、中国福州の新工場にて、一月上旬に日本から輸出いたしました縫製設備の引取り、設置、設定と縫製技術の確認まででした。一ヶ月ぶりの新工場は、内装も終わり、設備も搬入されておりました。なによりうれしかったのは「福州宏正服装有限公司」と金文字の社名が玄関門に掲げられていたことでした。いよいよスタートするぞと鳥肌が立ちました。  しかし新工場に入った直後から、先行きの大変さを思い知らされ、意気消沈しました。搬入した特殊ミシンは梱包のままでした。訪中までに中国ジューキに組立てをお願いしていたミシンも手がつけられていません。現地で購入したミシンは、電源プラグさえついていません。配線がむき出しの状態でした。  幸い日本から新市工場の若手責任者とミシン調整専門のベテラン社員、企画研究所室長の計四名が同行していました。すぐにそれ...

2010年 1月号

   一、 今年もよろしくお願いします。  いつもお世話になりありがとうございます。二〇一〇年も一ヶ月が終ろうとしています。遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたします。  今月は、リミットグループの決算月です。一昨年末期から続く苦戦の影響で、売上高は二桁減となる見込みです。売上を落とさず持ちこたえたブランドもあります。しかし、作業服の分野は大幅な減収になりました。デフレ不況をいやという程実感した今期でした。  この結果を冷静に受け止め、二月からの新しい期にどのように生かすか?年末はそれを熟考し、頭の中を整理することに充てました。その方向が見え、落ち着いた雰囲気で元旦を迎えることができました。  不易流行を見定め、今年も皆様のお役に立てるよう邁進していくつもりです。  二、マイナスから勇気を得る  この状況で、マイナスの現実をいかにプラスに変換するように振り向けるか。今までの物事の見方を変え、多角的に見つめなおすことにより、見えてきたことが沢山ありました。  例えば、社員一人ひとりの多能工化もその一つです。リミットグループは国内縫製工場、企画、受注、生産計画、財務、システム、配送などすべての部門を合わせても総勢二十名です。この二十名の各々が任務を専門特化し、それを総合することで大きな仕事ができるシステムを構築しています。  常識的に見ると、新たな取り組みをスタートさせようとしても、それぞれ仕事で手一杯です。さらなる合理化をして、少数精鋭組織を目指すとしても、そのシステム開発を進めるには、それ相応の時間とコストが掛かります。そこで人を増員せず、次の合理化の足がかりとなる方法は、と考えたとき、それぞれの分野の専門職が他の部門を経験して、多能工となり、新たなシステムが開発されるという方法をとることができました。仮に好況時であったなら一定の混乱が予想されるこの方法の選択ができたかどうか分かりません。マイナスを受け入れ、少しでもプラスに生み出すために智慧を絞った結果です。  生産面でもマイナスをプラスにする努力をしました。昨年夏、長年の生産拠点、中国青島工場を閉鎖、今年春から新たに中国福州工場が稼動いたします。昨年夏以降の海外生産の中止によって、在庫を大幅に減すことができました。来期からは、青島工場への工賃補填もなくなり、...