2010年 5月号

 

 一、 好転する夏物の生産状況



 いつもお世話になりありがとうございます。

 ゴールデンウィーク明けから本格的に夏の到来となりました。その反映なのでしょうか、予想以上に一気に夏物の受注が入ってきました。どのワーキングメーカーも同様の状況で、商品が間に合わず、納期さえ出せない状況にあると聞いております。リミットお客様サービスセンターでも納期短縮のご依頼が後を立ちません。そこで、この機会にリミットの生産の現状についてご説明させていただきます。

 今年二月末にスタートしました中国福州新工場の立ち上がりは、予定より若干遅れていて、目標とする水揚げまでにはまだしばらく時間がかかる模様です。現在のところは、航空便にて急ぎ分をこなしている状況です。その遅れのしわ寄せが国内工場に重くのしかかり、出雲・新市両工場においてもフル稼働が続いています。生産のキャパシティを大幅に超えたオーダーを受けていて、残業で対応している状況です。それでも一部販売店の皆様方には、納期の面でご迷惑をおかけする事態も起きているようです。「リミットさんだから納期は信頼していたのに・・・」とお叱りの御声もいただいております。大変申し訳なく思っております。積み上げてきた信用を取り戻すため、今できることに全力投球していきますので、何卒宜しくお願いいたします。

 幸いなことに原反在庫は十分持っており、急遽スポットの生産工場を手当できましたので、何卒今しばらくお待ちくださるようお願い申し上げます。リミットの場合、同じ商品が十枚足らなかったとしても、それは一件の受注分ではなく、一お客様のあたりの発注が一枚で、合計十件分が足らないといったケースが多くなっています。

 リミットは通信販売をしておりますので、販売店の売上を見て出荷を調整するようなことはいたしません。あくまで先に発注していただきましたお客様から順次商品を抑えてまいります。どうか予定枚数が正式発注の前段階で分かりましたら、少しでも早くご相談いただければ、生産予定を早めに組むことができますのでご協力お願い申し上げます。

 一般的には、インターネット上のデータで確認する在庫に対する不信感も多々聞こえてまいります。しかし、リミットのコンピュータ在庫の数は一枚たりとも狂いがなく、正確ですので今後もご安心してご利用ください。



 二、在庫圧縮の実感



 先日、新市の生産・配送センターに行き、直接この目でその在庫状況を確かめました。数字上では昨年比六十%の製品在庫が減っています。それを実際に見ると、配送センターの夏物の製品棚が空っぽになっていました。先頭の棚から数十列並んだ一番奥の製品棚まで見通せる状態になっていました。手前味噌ですが、努力が功を奏して、デッドストックがなくなっている現実を実感しました。リミットの生産計画の精度の高さにあらためて自信をもちました。

 昨年の今頃は、製品棚はSから4Lまでサイズも揃い、在庫でぎっしりでした。そのうえ棚に入りきれない中国輸入分のケースが棚の横に所狭しと積み上げられ、台車で通るのも一苦労でした。先行きの見えない中、最善策はまず在庫圧縮だと中国青島工場の生産を昨年八月に停止させました。それでも不安で一杯でしたが、半年間上がってくる製品がないわけですから一気に製品は底をつきました。

 しかし問題は、原材料である原反在庫です。原反発注も抑えましたが、製品を作らないわけですからなかなか減りません。改めてリミットは多品種少量生産なのだと、多種多様の生地を見上げながら思い知らされました。



 三、福州工場の立ち上げから学んだこと



 福州工場に関して、一つ思い知らされたことがあります。それは、新しい工場で順調に予定通りに生産することが、いかに難しいかでした。以前の青島工場の状態が、当たり前のことだと思い込んできた私のミスでした。青島工場は何の問題もなく稼働したのでした。しかし、同じ中国でも沿岸部の青島と内陸部の福州では行政面でも様々な違いがありました。そして、その違い以上に学んだことは、目的品質の製品を採算に見合う生産数までもっていくことがいかに困難であるか、ということでした。

 再三再四リミット通信で新規工場立ち上げの意気込みを書いてきましたが、何も分かっていなかったことに恥ずかしさが込み上げてきました。現在おかれているリミットの状況を改善するため、一刻も早く福州新工場の育成に全力を上げます。



 四、災い転じて福となす



 先ほども書きましたように、在庫激減状況で、五月に入り発注が一気に集中してきました。福州新工場も国内工場も必死で縫製しております。この急場を切り抜ける最良の手段は、リミットの工程の多い女性物商品に精通したスポット生産を探すしかありません。ところが、紡績や商社、福州の総経理に問い合わせても、現在中国の縫製工場は大半が七月末まで一杯で皆さん縫い場探しに苦労しているという話でした。

 そこで、「ダメもと」で停止をした青島伸栄工場に現在の状況を説明して頼んでみました。すると快く受け入れてくれたのです。しかも条件も従来の補填していた工賃ではなく、正規工賃で受けてくれました。大変ありがたく、これで助かったと思いました。昨年八月に青島工場を停止して約一年、この間に私もたくさん勉強しましたが、きっと青島工場の総経理も人員を減らし、外の仕事を請けて苦労し、たくさん勉強したのだと感じました。この度の混乱によって、また新しい共存共栄の道が開かれる予感がいたします。



  二〇一〇年五月二十五日

       笑顔着

       リミット株式会社

       代表取締役 有木宏治

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