LIMIT NETWORK Vol.290

 



 いつもお世話になりありがとうございます。


 お盆のころには一時的に過ごしやすくなりましたが、処暑を迎えたとはいうものの全く暑さが落ち着く気配がありません。リミット研修センター玄関先に咲く百日紅の花は、夏の花の少ない時期に三カ月近く紅の房をつけて鮮やかに咲き、目を楽しませてくれます。毎年この花が散るとき秋の訪れを教えてくれるのですが、今年は何時になるのやら。

 今月は台風が多く、珍しく東から西へと動く台風もあり驚くばかり。線状降水帯が相次いで発生し、記録的な豪雨となった千葉県では、これまでに十三人が亡くなり、浸水被害は床上と床下を含めると四千百棟余りにのぼります。先週は石川・富山県でも大雨特別警報が出されました。被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げ、被災地の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

 世界ではアメリカ、ヨーロッパを襲う異常渇水が深刻化しており、このままいけば農作物・畜産業にも影響が出てきます。ネパールでは氷河湖が決壊して、数百人が死亡・数千人が行方不明となる大惨事になっています。日本では先般の令和八年熊本地震といい、お盆を過ぎてのこの残暑といい、地球は我々人類にとって、極めて厳しい気象条件になりつつあると言えるのではないでしょうか。もしもの時、すぐ避難できるよう防災リュックを再度確認しておいてください。


一、 国内衣料生産は風前の灯火


 異常気象もさることながら、世界情勢も混とんとしています。長引く中東情勢による石油価格もこれからが本格的に上昇していくのではという話もあります。為替もいくら日米が協力介入しても、対処療法的では一時的なカンフル剤にしかならず、時間はかかっても根本的な原因療法にはやく着手しないと、どんどん円の価値が下がっていって輸入コストは上がってゆくばかり。我が業界でも、生地、副資材、人件費、物流費など日を追うごとにあらゆるコスト上昇が止まりません。長期に続いたデフレは終焉し、インフレ時代に突入です。業界の川上から川下まで、この意識転換を徹底しないと消えてなくなります。先般も業界新聞で、『染色整理業界も持続可能な体制を構築するため、適正な加工料金の実現を推し進める』と載っておりました。

 国内の衣料生産に目を移せば、一九九〇年には国内生産比率が五〇・一%(約十億点)ありましたが、二〇二五年には一・一%(五三四一万点)まで激減しています。輸入浸透率は九八・九%。現在、国内で流通する洋服の約九九%が海外製です。

 なぜここまで減ったのか?その理由は長期的なデフレと低価格化が一つ。一九九〇年代以降、消費者が求める低価格に応えるため、アパレル企業は人件費の安いアジア圏へ生産拠点を次々と移転しました。そして、国内工場の深刻な課題が二つ目の原因です。長年の収益悪化に加え、インフレへの転換。近年の物価高や最低賃金の引き上げ、後継者不足によって、国内の縫製工場の廃業が相次いでいます。


二、 後ろめたさを吹っ切る改革


 先般開かれた広島・大阪・岡山の三府県のアパレル被服工業組合青年部合同研修会に息子が初参加させていただきました。二日間の研修を終え、帰ってきてから報告を受けました。それによると、ある商社の方は、今取り組んでいる事業は、利益七〇%以上出る仕事だそうで、今後は利益率の低い仕事はやらない方向だということでした。

 もうデフレへは戻りません。大量生産・大量廃棄の時代も終焉です。すべてのコストの基準となる人件費も、政府主導の最低賃金一五〇〇円まで計画通り上がってゆくでしょう。すると人件費に付随して、あらゆるモノの値段が上がってゆくでしょう。日本の人口も減少をたどります。量の減少は手間がかかり、さらなるコスト上昇につながります。今こそ業界もその流れに逆らわず、値段を上げてゆくしか生き残る道はありません。

 リミットも潤沢な利益が残っているわけではありません。しかし、生産コストが高騰するなか、それに見合った品質の製品を作り続けるため、使用する生地一つをとっても、女性の敏感な肌に優しく寄り添うよう柔軟加工を入れるなど、技術と手間をかけ製造していただいております。こういったこと一つとってもコストです。顧客の少量別注・別寸の納期短縮に応えてゆくため、先日も生産設備を更新いたしました。国内・海外の製造現場をいかに守ってゆくか。待ったなしの真剣勝負です。



  二〇二六年八月三十一日
       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有 木 宏 治




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