LIMIT NETWORK Vol.272
旧年中は大変お世話になりました。今年もよろしくお願い致します。
一、 決断の福州工場訪問
昨年末に六年ぶりに中国福州工場に行ってまいりました。コロナ禍以降商用ビザ申請が必要になっていましたのでなかなか訪中できませんでしたが、昨年十一月末にようやくビザが不要になりましたので中国工場の総経理とすぐに日程調整して飛んでゆきました。関西空港で福州便の窓口に並んだところ二時間前だというのにすでに長蛇の列で、そのほとんどが外国人で日本人は数えるほどしかいませんでした。これは以前とは違う光景です。
中国に到着早々驚いたのは、福州空港が増築され巨大になっていることと、第二ターミナルまで新築中でした。中国も景気が悪くなったと日本ではよく耳にしますが、こういったインフラ投資は国も増やしているそうです。到着ゲートから空港を出るまで以前よりもかなり時間がかかりましたが出てみてこれまたびっくり。六年前は空港に出入りするたくさんの車にはドイツ、日本、韓国、中国など各国の車種が入り乱れていましたが、この度はそのほとんどが中国のEV車ばかり。日本車が売れなくなるのも納得です。ホテルまでの道中も六年間の間に高速道路は各方面につながり、新幹線、地下鉄と交通インフラは全線整っていました。
翌日朝一から工場に向かい、よく知った面々に久しぶりに再会できました。リミットの工場は建物四階になるのですが、一階には以前入居していた縫製工場は無く、新たに入居した体操教室も退去したそうです。工場の周りも以前はぽつぽつ空き地があったのですが、今は小さな工場建屋がそこここに出来ており、何を作る工場か確認すると、すべてユーチューバーのグッズ製造工場だということでした。詳しく聞いてみると中国の若者たちは希望就職先として、以前は製造業ではなく楽なサービス業が人気でしたが、今はサービス業にも行きたがらず、一獲千金を夢見るユーチューバーになりたがっているとのことでした。
久しぶりの福州は、コロナ禍前の雑然とした熱気は少しトーンダウンした印象を持ちました。この六年の間に景気は冷え込みましたが、何か落ち着きを取り戻し、文化的な進化とでもいうような成熟を感じました。アメリカのトランプ第二次政権もいよいよスタートしました。これからどのようになってゆくか心配は絶えません。
この度の訪中の最大の目的は、昨年九年ぶりの値上げによって販売枚量が落ちたことによる減産が一番の目的です。在庫金額が増加した一因には、インフレに向かって為替や原材料コスト上昇による製品原価の見直しもあります。今年も原材料高騰などの状況が続けば、作業服の販売数量が増えることは難しいと思います。そこで今年一年で在庫金額を急激に落とすため、総経理に生産の半滅を指示しました。総経理もどういった方法なら実現可能なのか協議をし、工場の運営方法を根本的に見直しすることになりました。これまでの右肩上がりの中国経済状況であれば、なかなか理解を得られなかったと思います。しかしながら今の状況なら日本がたどってきたデフレ下での戦略を理解してもらえると考えていたものの、久しぶりの訪中で突然の生産半滅を告げられた総経理の心境を思うと、今回は私も覚悟の訪中でした。
作らなければ在庫は必ず落ちます。皆様、製品在庫は十分あります。サイズ切れがおきても国内工場でクイック生産できますので、どうぞ安心してご注文ください。
二、 業界の先行きは
先日、業界展示会に行かれた販売店の社長とお話しする機会がありました。その方はここ数年、猛暑対策としてファン付きやペルチェ式、水、氷や保冷剤を使用した作業服の新商品展示にはどのアパレルも力を入れているが、自分が探しているのは従来の作業服進化版で、これらの提案はあまりない。もちろん建設業など一日外で仕事をする人には重宝されるが、自分が継続的に販売している定番品の新商品開発にも力を入れてもらいたいと話をされました。製造業を中心に資材コストがどんどん上がるなか、作業服価格もどんどん上がり購入に二の足を踏むユーザーは増え、追加の数枚しか出ない状況が続いている。そんななかで他地区から若い営業マンが値下げ販売で商売をとられるケースが増えている。このような状況でまわりの販売店仲間も縮小や廃業が増えている。業界の将来像が描けないと嘆いておられました。
残念ながらお話を伺いながら明確な回答が私にはなく、ただただ頷くしかありませんでした。それでも答えはやはり川下にあると思います。エンドユーザーや販売店に新商品開発の種はあります。これは昨年、周年のご挨拶に一年間動いてみて確信を得ました。そこでリミット新年互例会では、今年はお客様をご訪問する機会をつくり、お互いの情報交換に充てる年にしようと宣言しました。有益な情報をまたシステムに組み込み、更なる通信販売の向上と新商品開発を目指します。
こちらから一方的に送付するリミット通信だけでなく、お客様のお困りごとに一つでも役立てるよう御用聞きの精神を大切にしたいと思います。その積み重ねが売れる製品開発につながり、業界の中で生き残って行ける道ではないかと感じています。
二〇二五年一月三十一日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 宏 治
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