LIMIT NETWORK Vol.260


 本年も大変お世話になりありがとうございました。

 今年のリミット通信も今号で最後となりました。いよいよ本格的な冬の到来です。ここ福山では小春日和の日もあり、ようやく赤く燃えた紅葉がきれいになりました。過ぎ去る晩秋に後ろ髪を引かれる思いの今日この頃です。


 今年もいろいろな出来事がありました。五月には新型コロナウイルスが五類に移行し、それまでの緊急事態宣言のような行動制限が出来なくなり、経済活動も徐々に戻ってまいりました。先日新聞を読んでいましたら、旅行や移動系の利用者はコロナ前を上回っているようです。その拡大をけん引しているのは、人々の移動マインドがコロナ前以上に高まっているのと、主に交通系のアプリ利用が進み、この四年間でDXが進展した結果、企業・個人ともにアプリ活用のすそ野が広がり、利用者が大幅に増加したようです。たしかに私もJR東海の新幹線・電車予約アプリ「EXアプリ」をスマホで利用していますが、レンタカーまで予約でき、時間変更などもすぐにできるので出張する時はとても重宝しています。

 いざ通常生活に戻ってみると、これまでの制限は一体何だったのかと疑問を持つこともありますが、これまでの自粛生活により抵抗力が落ちておりますので、皆様もすでに流行しているインフルエンザなどに罹らないようこれまで以上に気をつけてお過ごしください。

 また一番印象に残っているのは、戦争に始まり、戦争で終わる年になりそうだということです。昨年二月にロシアがウクライナに侵攻してからもう二年近くたっていますが、まだ停戦しておりません。国際機関や双方の内部でも、戦争が長期化すればするほど分断が深まっています。そして、世界が置き去りにしてきたパレスチナ問題が今、これまでにない激しさで世界を揺さぶっています。今年の秋にはハマスとイスラエルの対立が激化し、憎しみが憎しみを生む果てしない暴力の連鎖が続いております。早急に国連に変わる実行力のある国際機関を立ち上げて、一刻も早く戦争が終わることを望みます。


盛者必衰のことわり


 今月は紡績の展示会で大阪に二度出張いたしました。展示会でお邪魔した二社の展示会では、どちらも他社とコラボした生地開発に力を入れておられました。どのアパレルも在庫過多で生地発注も減少気味。アパレルの製品在庫が少なくなれば発注は出ますが、ロットは細かく、希望納期も短いので、受注順に流してゆくしかないので納期はかかります。各紡績がこれまでの巨大な生産設備を保持しているわけですから、空かないように計画するのは至難の業。他メーカーに使ってもらうのも納得です。コラボしたメーカーとの結びつきがそれぞれの強み同士の分野なら競争力がありますが、弱いもの同士だと淘汰されてしまいます。これからの将来、国内でのモノづくりは正念場を迎える危機を痛感しました。

 最近、業界新聞を読んでいると、大手総合会社が繊維部門を切り離したり、整理した記事をよく見ます。国内人口が減少してゆく現実を見据えた決断かもしれません。

 しかし逆転の発想も生まれつつあります。先月号でもファストファッションの暗部について書きましたが先日読んだ新聞に、ある企業が衣服に消臭や撥水機能を施す新事業の話が出ていました。『服を汚れにくく加工して長く使えるようにする。アパレル業界では衣類の大量廃棄が社会問題となっており、若年層や環境配慮への関心が高い消費者の需要をとりこむ。「メンテナンスしながら大事に服を着る『愛服』という言葉を定着させたい」社長談。持続可能な事業展開には衣服を長持ちさせる工夫や新技術の活用が一層求められる』とこのような内容が書かれてありました。


 我が業界も大きな時代の変化を迎えております。その変化をどう読み、今後の展開をどうするか。来月は福州宏正の総経理が訪日し四年ぶりの面会になります。これまで毎年お互いを行き来しておりましたが、コロナ禍でしばらく対面できませんでした。これからのリミットグループの将来を見据えた重要な董事会になりますので、今から武者震いしております。

 盛者必衰のことわりをあらわす。来年も時代の一歩先を見据えて行動し、皆様の期待に応えるリミットを目指します。今年も一年、誠にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。



  二〇二三年十一月三十日
       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有 木 宏 治

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