LIMIT NETWORK Vol.258

 

 いつもお世話になりありがとうございます。


 秋分を迎え、朝夕は少しずつ秋の訪れを感じられる季節となりました。

 とはいえ日中はまだまだ暑い日が続き、今月前半は秋冬物の出荷に勢いがなく、後半になって徐々に勢いが出てきました。気候だけでなく景気の影響も多分に受けているとは思います。昨年は大口受注が複数入り、三割近く伸ばしていたので売上ダウンは仕方ないのですが、円安・物価高も高止まりで国内と海外の工賃が逆転しており、来年の値上げまで打つ手がなく頭の痛い問題です。


一、 新カタログ製作


 混沌としたなかでも、企画の方は来年度カタログ作成が佳境に入っております。前回のカタログはコロナ禍ということもあり、「はたらく。笑う。 生きる。」をテーマに三年間廃番を出さず、価格を変えず、一日も早くコロナが終息し日常が戻って欲しいといった願いを込めたカタログでした。

 前回発刊から三年。コロナの完全終息には至っておりませんが、世の中は間違いなくアフターコロナが進み、市場環境は一変しました。今だからこそ改めて「リミットが製造するユニフォームの可能性」について再考し、多種多様な職場ではたらく女性たちが、自らの一着を選びやすいように、職種カテゴリーや働く現場シーンをテーマごとに分類し、機能性や躍動感に共鳴していただける臨場感のあるカタログを創ることにいたしました。新商品も三年の時間がありましたので多数取り揃えました。久しぶりにリミットの新たな世界観をご提案できるようまい進しております。こうご期待を。


二、 相互理解は情報公開から


 昨年はお盆過ぎから残暑が弱まり、九月初旬の商戦スタートも順当でした。今年は九月が飛んだ感じになりましたが、こうなると懸念されるのが在庫過多の問題です。どのアパレルも増加しているようで、金融機関も警戒しております。先日も銀行の担当者が来られて在庫の話になりました。そこで百聞は一見に如かず。試算表の在庫金額だけではご理解いただけないでしょうから、どうぞ倉庫をご自身の目で見てやって下さい。とご案内し、直接ご説明いたしました。

 多品種小ロットのリミット。製品アイテムごとに種類、色、サイズ別に整理している居並ぶ棚。中国からの入荷日付の入った段ボール箱を古い順に前列に整理している工程作業やハンガーもののラック。ビニールのかかった正反生地を種類ごとに整理整頓している棚、裁断場に保管している使用日付とその時の使用メーターをラベルに記入済みの残反の数々。品種ごとに分けた裏地類。もちろん仕入れ商品も色・サイズごとに整理整頓してあります。

 販売店の皆様なら容易にご想像がつくでしょうが、あらゆる業界を担当している銀行の担当者さんは、「こんなに種類があるんですか?」と目を丸くしながら一生懸命、携帯で撮影してました。女性物なので、一アイテムの製品在庫は少ないのですが種類が多いのです、と説明するとよく理解できましたと納得されていました。また、このように倉庫を見せてくれるアパレルが無くて、と嘆いておられました。


三、 日中関係


 それでもコロナ禍からこのかた、棚に入らず箱のまま鎮座している製品が少しずつ増えてきているのは事実。中国福州工場では生産枚数を一定にしておりますので、本来なら減産すべきですが、そうすると一枚当たりの工賃を上げて支払総額を合わせなければならず、それでなくても円安でコスト増になっているので悩ましいところです。

 現在、中国も景気が悪くなっているので、物価もこれまでのペースで上がらないと思い、中国の総経理に減産の依頼をしましたら、現在工場のある福州の工業団地では、国の指導で半導体の新工場が建設中で、他の工業団地のように失業者がいないので今の加工賃総額を減少するのは厳しいと返事がありました。減産後の増産時に人が減っていたらどうすることもできません。ここは一時的な減産のため、今までの総額を堅持することにいたしました。

 今、国内水産物の輸入を停止している中国ですが、お互いの現状を説明し、相互理解ができる場があるだけ、私は幸せ者だと心底感じています。



  二〇二三年九月二十九日
       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有 木 宏 治

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