LIMIT NETWORK Vol.255

 

 いつもお世話になりありがとうございます。


 青空が恋しいこの頃、いかがお過ごしでしょうか。日の長さが嬉しく感じられる季節の到来とはうらはらに、今年もはや半年が過ぎようとしており、時の早さに無常を感じます。

 田畑を潤す梅雨は恵みの雨です。ただ近年の気候変動により豪雨や空梅雨になるのも心配です。世界に目を広げれば、北大西洋の一部では海水温が急激に上昇しているらしく、北海では海洋熱波に見舞われており、海水温が通常よりも最大で五度高くなっている所もあるそうです。カキなどの生物や藻などの植物が今回の欧州海洋熱波で死ぬ可能性は非常に高く、特に浅瀬では超高温になる可能性がある、とイギリスの大学教授は述べています。

 この海水温の上昇の理由は分かっておらず、海底火山の噴火や海底での地割れから高温の地下水が吹き出しているかもしれません。どちらにしても海水温の急上昇が海洋生物を死滅させたり、台風、ハリケーンやモンスーンの巨大化、強力化につながるかもしれず、我々地上に住む生き物は、干ばつや豪雨による食料危機もありえます。

 温暖化云々で騒いでいる間に地球は本来の凶暴さを取り戻してきており、今後諸島の消滅や水没という事態もありえるかも知れません。


一、 止まらない円安


 円安が止まりません。現在あらゆる業界の値上げラッシュは、原油高、電気代高騰や賃上げなどもですが、やはり今の円安水準が最大の要因だと私は思います。製造原料でも輸入に頼らなければ何も作れない状態です。これでは貿易赤字は拡大の一途です。

 わが業界でも生地や付属、ナイロン、段ボールや紙とあらゆる部材が、どんどん値上がりしております。来年の物流二〇二四年問題では配送費高騰も避けられないと思います。

 リミットではコロナ禍の三年間、前例のないあらゆる経費削減を断行し、商品カタログも初の三年間共通化を実行し、値上げせず、廃番も出さず販売価格を死守してまいりました。しかしながら、仕入値上げは止まることを知りません。仕入ロットも増大し、多品種少ロット生産には大変厳しい状況が続きます。よって利益を考えると、来年三月販売分からは二〇一五年三月以来、九年ぶりの商品値上げをお願いせざるを得ない状況です。最終的な値上げ率はまだ決定しておりませんが、二桁%の値上げになろうかと予想しております。市況が厳しい折に心苦しいですが、何卒ご協力のほどよろしくお願い致します。


二、 価格改定は一発勝負


 今月は昨年並みの売上水準でした。前半は非常に苦戦をしましたが、後半になって追いつきました。お客様に聞いてみると、アパレル各社の春夏物の値上げが出そろい、ユーザーへの説明に時間を取られ、商談スタートが大幅に遅れたと聞きました。また、昨年からの立て続けの値上げにより、ユーザー説明も今回は非常に厳しかったとおっしゃっていました。これはよく理解できます。値上げ率を抑えながら複数回値上げするやり方は、毎期の利益計算は確かにしやすいと思います。

 しかしながら毎度値上げが続けば、ユーザーの価格に対する不信感はぬぐえなくなります。昨今の経済情勢はユーザーもよく理解されていますので、最初の値上げ交渉は難なくご理解いただける先が多かったと思いますが、何度も繰り返されると厳しいです。とくに販売の中心となる中小零細製造業や店舗販売業者のユーザーは、コロナ禍で疲弊したところに原油高、電気代高騰で製造コストが上がり、政府による補助金も無くなり、受注量は回復傾向にあっても人手不足で値上げも賃上げもままならない状況です。この状況での作業服販売は非常に難しく、引き続き今秋冬のアパレル値上げもあり、先行きが見えない。と前出の販売店は話します。

 「値決めは社長の最重要課題だ」と独り言のように繰り返していた先代の言葉が重くのしかかります。


三、 五十五周年に向けて再始動


 新型コロナの感染症上の分類が五月に五類に移行して以降、徐々に街には人手が戻り、ここ数年中止になっていた行事も再開され、再始動が明らかとなりました。

 しかし、この数年間にモノづくりの生産背景は一変しました。今日も付属屋さんから廃番の連絡がありました。国内から海外生産以降にあたり、これまでのものが生産中止となり、代替を選択せざるを得ません。採用にあたっては物性試験もせねばならず、コストばかりかかります。このようなことが仕入れのあらゆる分野で広がっています。私は、今、これまでより本当に価値あるものを製造できているのだろうかと悩むときがあります。

 価格に対する付加価値をどうやって挙げてゆくか。これはあらゆるモノづくりのメーカーに突き付けられた喫緊の課題ではないでしょうか。「値上げをすれば販売数量が落ちる」当たり前のことのように業界ではささやかれますが、他業界では価格が上がっても、それに勝る高付加価値を乗せ、売上も販売数量も伸ばしている製品は五万とあります。

 リミットの来期カタログでは、コロナ禍三年間に開発してまいりました新商品を一挙掲載いたします。設立五十五周年に向けて再始動を宣言する記念カタログの創刊です。

 歴史的な苦難からの再構築を内外に宣言するため、企業ロゴも一新して再始動します。ご期待ください。



  二〇二三年六月三十日
       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有 木 宏 治

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