LIMIT NETWORK Vol.247
いつもお世話になりありがとうございます。
秋分を過ぎ夏の気配も遠く過ぎ去り、秋の長雨が降る時季となりましたが、皆様お変わりございませんか?私はというと、週末に萩の花が一面に蔓延ったリミット研修センターの庭の草刈りを頑張りすぎ、腰痛で困っております。
一、 暗澹たる雲が世界を覆う
ロシアによるウクライナ侵攻から始まった戦争は終わる気配が全く見えず、ロシアではいよいよ第二次世界大戦以来の部分的動員令が発動され、軍務経験がある予備役約三十万人を招集すると発表。しかし、民間人を招集する動きは、都市部で大規模な抗議行動を引き起こしました。今週初めに行われたデモでは千人以上が拘束されたと報道されました。
いったいいつ終わるのか?そしてどのような結末で終わるのか?ヨーロッパをはじめ多くの人々がそう思っているに違いありません。それでもいったん始まった戦争は、両国だけの問題ではなく、世界のいろいろな国々の思惑も絡み、そう簡単には終わりません。
二、 コロナ禍からの脱出と急速な円安
私を暗澹たる気持ちにする一番の原因は急激な円安です。今月の中国工場への工賃送金をみても、調達レートは昨年同月比で二十三%も上昇しています。さらに仕入れの部材・生地、配送費等もすべてコストが上がっています。昨年二月に今後三年間ご利用していただける総合カタログを発刊した時点では、現在のウクライナ侵攻も米国FRBの金融引き締めによる急速な金利引き上げなど全く予想できませんでした。
もちろん世の中のほとんど人が予想できなかったから大混乱している訳ですが、この二年間というものコロナ禍で苦しみ、ようやく社会経済活動の正常化に向けた取り組みが進みつつあったので非常に残念です。
それでも逆から考えれば、人流制限が解除され、新型コロナウイルスを特別な脅威とまではみなさず、まさにこれから社会経済活動の正常化に向けた取り組みが進みつつある現状では、日本経済はコロナ禍が徐々に和らぎ、次のステージへ移行する。そして、すでにコロナ禍から急回復した世界経済では、財政やインフレの悪化につながる懸念が生じて世界経済成長は下がる。今後日本もその悪影響は受けるわけですから、日本経済は回復速度を上げ、離陸はするが急上昇とまでいかず低空飛行がしばらく続く。
来年度がこのようなシナリオなら、作業服市場もまだまだ厳しいので、これまでの値段で購入できるなら喜んでいただけるのではないかと、自分の決断を無理くり正当化している毎日です。
三、 価格厳守の訳
色々な人から「なぜ、値上げしないの?」とよく聞かれます。試行錯誤はしましたが、ギリギリ今の販売価格を守ると決断した要因は、一つには前にも書きましたが、大幅な間接経費削減を断行したこと。二つ目はリミットの場合、昔から多品種少量の女性作業服に特化してきたため、生地の生機ロットも小さく、もともと国内製造の生地が主体で高価格です。よって大手男子アパレルのように糸、生機や附属も海外調達ではないので、為替影響を最小限に食い止めることができました。ただし海外縫製工賃に関しては、百%米ドル払いですので、年初以来三十%も急速に円安に為替が動きましたので頭を抱えました。
それでもこの度の急激な米ドル高は、他の通貨に比べて米ドルだけです。日本と同じように経済状況が低迷している中国も政策金利を引き下げていますので中国元安になっています。そこで中国の総経理に連絡し、昨年度と同程度の中国元があれば工場が回るなら、逆算して同程度の中国元になるよう送金米ドルを下げるので、その分減産してください。と送金加工賃総額を下げるお願いをしました。すると返事は翌日にすぐに帰ってきて、「日本本社に協力します」とありました。本当に総経理には感謝しております。この選択ができたのも、コロナ禍の二年間、一定数の生産枚数を順守して中国生産してきたからです。販売売上が落ちた分、製品在庫が増加しているので為替分減産しても大丈夫なのです。
今以上の円安が続いた場合においては、販売価格改定も再考せざる負えなくなりますが、二〇一五年三月に価格改定して以降七年間、価格を守り続けている裏にはこうした訳があるのです。
四、 いよいよ人流制限のない繁忙期を迎え
今月は三割近く売上が伸びました。同業アパレルの値上げが来月からということもあってか、リミットは値上げしないのですが駆け込み需要に便乗したのか幅広いアイテムに注文があり、繁忙期に大変うれしい結果となりました。しかし内情はいつもこのリミット通信を読んでくださっている販売店の皆様が、値上げしないリミットの内情の厳しさを察していただき、一肌脱いでお客様にご推薦いただけたのではないかと恐縮し、感謝しております。
為替が年初の水準まで戻り、コロナ禍前の売上まで戻せれば、計画実行した経費削減で乗り切ることができます。そのためにはコロナ禍で一足飛びに進んだ世の中に対応する次世代ユニホームを開発し続けなければなりません。
つまり新しい情報収集と製品開発を繰り返すしかありません。今月は素材メーカーの展示会に行き、知人たちと旧交を温めることを得ました。来月には愛媛でエンドユーザー主催の展示会にもb×cブランドを出展させていただき、情報交換を交えながらアパレルとしての使命を全うしてゆきたいと思っています。
二〇二二年九月三十日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 宏 治
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