リミットネットワーク Vol.244
一、 続く異変
いつもお世話になりありがとうございます。
夏至を過ぎ、暑さが続いております。皆様くれぐれもお身体には気をつけてください。
中国からの入荷は遅れることなく計画通り輸入できておりますが、今月はなかなか暑さを感じることが無く、中旬まで商況が芳しくありませんでした。平年より一週間遅れた入梅後は蒸し暑さが増し荷動きに勢いが出ました。それでも昨年ほどの伸びはなく、先月に引き続きあと一歩というところでした。
地球の異変は引き続き顕著で、熱波が襲来していますヨーロッパですがフランスでは四二・九度を記録したと報じられており、フランス気象庁は一九四七年の観測開始以来、最も早い熱波到来だとしています。熱波、干ばつがこのままヨーロッパを襲えば穀物生産が打撃を受け、さらなる穀物危機を招くかも知れません。また、能登半島では地盤の隆起による地震があり、非常に心配な状況が続いております。大雨や干ばつも発生しており、地球の活動にはまだまだ未知な部分が沢山あることを謙虚に受け止めなくてはなりません。
二、 世界は元の木阿弥に
リーマンショック以降世界の中央銀行は紙幣を刷りまくり、際限なくお金をバラまき続けました。そして金融市場バブルという金余り現象を作り上げ、債券はまた上昇しました。その後、アフターコロナのインフレ傾向、脱炭素の流れ、そしてウクライナ戦争が起こり、世界は逆回転し始め、金融当局はこのままでは経済が崩壊すると予想を立て、金融引き締めに躍起になっています。そんな中でも借金まみれに喘ぐ日本は金利を上げられないジレンマに陥っています。このままウクライナ戦争が長期化し、世界の中央銀行が引き締めを続ければ物価高騰で供給過剰に逆戻りし、欧米は景気後退のリセッション。インフレはたちまちに終息し、日本はこれまでのデフレ社会が永遠に続くかもしれません。
また、世界では物価高への対応をしない政府への不満が爆発し、ストライキや政権交代に発展している国もあります。日本でも先般、岸田首相が物価高騰の要因とみるエネルギーや食料の価格抑制に財政を出動すると表明しましたが、今回の参院選挙にどう影響するのでしょうか。
三、 不思議な力
世界中がアフターコロナの性急なインフレに喘いでいる中、日本では屋外でもまだまだマスクすら外せない光景が続いています。保守的な国民性が災いしているのかどうかは分かりませんが、強烈な外圧が無ければなかなか変われない日本と言われても仕方ありません。少子高齢化が急速に進む日本の平均年齢は四十七歳だそうです。「国民の高齢化により失敗や損を恐れる心理が日本中に蔓延すると、閉塞感が高まるとともに思考停止のバカ化が進む」と指摘されていました。現状維持バイアスが強く、リスクをとって果敢に挑戦するよりも、何もしないので失敗もないほうを優先してしまうそうです。
一昨年の春以降、国内で新型コロナ感染が急速にまん延し、販売が一気に急落しました。頭を抱えましたがとにかく最悪の状況が数年続いても会社が生き残る道を模索し、賃貸で本社が入っていた日本生命ビル退去を決断しました。通販カタログも製作コストを下げるため三年間使えるようにしたり、分散していた出雲工場を閉鎖したり、劇的なコスト削減を次々実行しました。
日本でコロナ終息出口が見え始めた矢先、中国で感染者が出て上海が都市封鎖となりました。そして全く予期していなかったウクライナ戦争がはじまりました。原油は高騰し為替は急速に円安となり、あらゆるコストが想像以上に値上がりしました。そして今また、ヨーロッパではコロナウイルスの症例数が急増してきております。
「今夏商戦がコロナ禍三年間で一番悪い」とおっしゃるお客様もいらっしゃいます。上海ロックダウンによる物流の混乱は続いており、発注分入荷の目処が立たない。納品返答ができないのに、今秋の値上げ連絡を入れるのは非常に辛い、といった声も入ります。エンドユーザーも物価高の先行や原材料入荷の遅れにより企業業績が悪化している中、人件費は思うように上がっておりません。
この度のウクライナ戦争は単なる兵士間の戦争ではなく、世界中を巻き込んだ経済戦争、貿易戦争、金融戦争であり、今後も世界中の国民に長期間影響を及ぼします。
私は二〇二三年度末までは販売価格を変えないと、三年間分のカタログを作成しました。広がる不安の抑制に、ここは抗えるところまで抗ってみます。
それにしても数年前、なぜあのような極端なコスト削減ができたのか。自分でも不思議に思います。
二〇二二年六月三十日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 宏 治
コメント
コメントを投稿