リミットネットワーク Vol.241

 

一、 春なのに


 おぼろ月夜の美しい頃となりました。桜も満開となり、今春は地域行事なども久しぶりに再開され、日常が戻ってきた感がします。

 しかしながらこの続く空の彼方では戦争により瓦礫の廃墟となった街が今そこにある事実を受け止めなければなりません。そしてほかの国や他民族への武力による侵攻が許されない行為であることを各国政府や国際機関が徹底的に示し、孤立化しないようどう枠組みを変えられるのか。足元では新型コロナ感染、原材料・物流コストの上昇、ウクライナ危機と、アパレルメーカーにとって気がかりな問題が山積しております。国内では全国的にまん延防止解除となりましたが、下げ止まり感も否めません。繁忙期はこれからが本番です。まずやるべき目先のことに集中しながら、変化に合わせて一歩一歩対応してゆきます。


二、 久しぶりの活気


 三寒四温を繰り返しながら、季節は着実に春に向かっています。桜の開花も週末の人の出に大きく影響します。ここ福山もまん延防止は解除されましたがなかなか感染者数が下がりません。よって晴れた週末の日中は駅前を中心にウインドウショッピングを楽しむ人たちでそれなりに人出はありますが、平日の二十一時以降は寂しげな飲食店のネオンが目立ちます。三回目のワクチン接種も遅ればせながら徐々に進行しているのでしょうが、このまま緩やかに感染者が増加に転じ、第七波に突入するといった不安がどこかにあるのかもしれません。

 そんな心配を他所に今月は順調に注文をいただき工場もフル稼働に切り替え、日々の出荷に追われる忙しい月となりました。在庫は十分積んでいますので受注日即出荷率が上がり、久しぶりに現場の活気が戻ってきました。これからの二か月間も、さらにドタバタできるようにただただ祈るだけです。


三、 グローバル社会の明暗


 少しずつ好転する注文状況のなか、どうしても気になるのは為替と世界のコロナ感染状況です。為替は先日一日で三円以上急落し、一時百二十五円代と七年ぶりの円安水準まで下げました。リミットの為替調達は昨年、だいたい三年間のスパンで為替予約を入れましたが、昨年以降どんどん円安傾向に拍車がかかり為替利益の先食いとなり、この秋に予約期間が満了になりそうです。毎月の工賃調達を考えると、どこまで円安になりコストアップするのか非常に頭の痛い問題です。

 円急落と同じ日、中国上海ではコロナ感染拡大を受け都市封鎖に追い込まれました。中国最大都市のロックダウンの衝撃は大きく、金融や物流など多方面に影響が出ています。今月に入り中国も各地で感染者が出て、ゼロコロナを目指す中国の都市封鎖があちこちで実施されています。リミット福州工場の総経理からも、近隣の省で感染者が出ているので福建省もいつ都市封鎖になるかわからない状況。工場操業もそうだが、物流などもいつ止まるかわからないので早め早めに輸出すると連絡が入っています。これは中国だけのことではなく、韓国やベトナムも感染者の高水準が続いています。そしてすでに日本も感染者増加の兆候が出てきています。

 このように世界中がつながっているグローバル社会の中では、ある地域の一つの出来事が引き金となり、瞬時に世界の複数地区に伝播し、思ってもいない形で多大な影響を及ぼすことがあります。この度の戦争も欧米諸国側の経済的大打撃は火を見るより明らか。世界は日々あらゆる課題を抱えながら混沌として回り続けます。一日も早い停戦を祈るばかりです。


  二〇二二年三月三十一日
       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有 木 宏 治

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