リミットネットワーク Vol.232


いつもお世話になりありがとうございます。


一、 緊急事態宣言の延長


 広島では例年に比べ三週間も早い梅雨入りとなり、しっとりとした空気に緑の香りが漂う初夏を迎え、今年も折り返し地点の頃となりました。

 三度目の緊急事態宣言発出とその延長が決まり、世の中は閉塞感が蔓延している状況です。ご当地福山市でも今月、緊急事態宣言が発出され、駅前界隈も日中より閉店しているところが多く見受けられるようになり、休日でも公園に子供たちの姿はなく、夜になるとさらに明かりが少なく、まるでゴーストタウンのようです。この状況が来月二十日まで続くわけですから、すでに影響を受けている企業や商店は本当に大変です。

 我々備後ワーキングアパレルも本社をはじめ全国各地で開催される予定だった展示会の中止や延期が相次ぎました。これから先も新型コロナウイルスがどうなるのか誰も確証をもって答えられる人はいません。経営者とすれば、本人自身が感染しない、他人に感染を広めない、従業員を感染させないために、どうするかをまず考え行動すると同時に、事業継続のためにはおのずとやらなければならないことが出てくるでしょう。実行できることを即実行し、なんとか継続し、未来に繋いでいこうではありませんか。ワクチン接種も遅まきながら進行しております。世の中は少しずつですが確かに動き始めています。


二、 非常事態の中で迎えた春夏最盛期


 ゴールデンウイーク明けは気温が上がり、注文軒数・単価も久しぶりに春夏最盛期の勢いを少しは感じさせてくれました。それでも新規感染者数上昇に反比例するかのように、月末にかけて勢いは続かず昨年並みで今月を締めました。今月は配送の応援に入る機会が多く、荷組の手伝いもしておりましたので、どの商品がよく売れているのか一目瞭然に分かり大変勉強になりました。緊急事態宣言下での景気低迷時にはやはり「信頼のブルー」ということで、定番を中心とした青、紺系統に注文が集中していました。反対にピンクや赤系の好景気時によく出る色味は少なかったです。

 大口注文も増えましたが、それにもまして追加の小口が多かったのも、宣言下での販売店の営業自粛が容易に想像できました。それでも毎日、小口が多数出荷されているわけですから、製造業を中心に昨年より回復軌道にあるのではないかと期待しております。また、小口の別注件数が多く、リミットでは初回は四十枚から・追加は十枚から受け付けておりますので、こういった状況下では販売店の皆様から喜ばれております。さらに別寸注文も増加してきており、リミットでは一枚から受けておりますので助かるといった声を今月はよく聞きました。


三、 危機に直面し本質を問う


 新型コロナにどう向き合うのか。企業体力を考慮しつつ、守るのかあるいは攻めるのか。昨年からの騒動は結局のところ、最悪を想定して物事を冷静に考え、そしてそれを実行できるかをずっと問い続けられたような気がします。運を天に任せるギャンブルのような考えでは、事業継続は断念するしかなかったように感じます。この一年を振り返ってみれば新型コロナにより、昨年四月七日に東京をはじめとした七都道府県に最初の緊急事態宣言が出され、十六日に全国に対象が広げられました。この時点から今の世の中の状況を正確に予測できた人は誰もいないでしょう。

 あの当時と現時点では、リミット株式会社の状況も大きく変わりました。この一年の間に小さな決定は多数ありますが大きな決断としては、三十五年間入居した日本生命ビルから本社管理部門が退去し新市工場内への帰還、四十年前に設立した島根県出雲工場の閉鎖・建物売却など、大きな決断の連続でした。その決断を迫られたとき、常に頭にあったのは事業存続の真の目的です。何を最優先にさせなければならないのか。迷ったときは必ず企業理念に立ち返ることです。リミットの存在意義を確認し、自身の意思決定は何が起ころうとも、そこからぶれることのないようにしなければならないのではないかと思うのです。


  二〇二一年五月三十一日
       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有 木 宏 治

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