リミットネットワーク Vol.231



  いつもお世話になりありがとうございます。


一、 繰り返される緊急事態宣言


 夏を思わせる陽ざしに、早くも日陰が恋しい季節になりました。

 リミット本社のすぐ近くにある研修センターも、昨冬にはあれだけ落ち葉拾い繰り返し、寒々とした枝だけでスカスカになった庭園でしたが、今は若葉が生い茂り、藤棚は花で覆われ虫が遊び、すっかり初夏を満喫させてくれます。新芽が生え古い葉が落ちるので落穂拾いも汗だくで大変ですが、土、水、花と生命の力強さを教えてくれます。

 時候が良くなると人出が増えます。人出が増えるとコロナ感染が増えます。ワクチン接種が遅れがちな状況で人出が増え密の状態になると、感染者が増加するのはしごく当たり前の状態です。さらにコロナウイルスが変異し、従来のウイルスに比べ感染力が強く、死亡率が高く、再感染が疑われる変異株に進化したとすると、これまで以上の行動規制を払わねばなりません。世界の感染発生数も過去最高を更新してきており、昨年来苦戦が続き、ようやく回復の予兆が見えかけた商売への影響が大変危惧されます。

 厳格なロックダウンを集中的に断行しても、一時的には感染者は急激に減少しますが、ロック解除になれば解放感から人々が街にあふれるのは人情。感染者はまた徐々に増加してゆき、同じことの繰り返しとなります。変異株には従来ワクチンは効きにくいといった情報もあり、医薬分野ではやはり感染したとしても重症化しないような治療薬を早期に開発してゆくことが重要なのではないでしょうか。そして我々は、各人ができる感染予防をとにかく徹底しながら、長期のコロナ禍で変わってしまった社会や生活に対応するべく、アフターコロナを見据えた事業変革を進めるしかないと思います。厳しい状況が続きますが、止まない雨はありません。明けない夜はありません。希望をもって果敢に挑戦してゆきましょう。


二、 吾唯足知


 前回の宣言解除後から気温もぐんぐん上昇し、夏日となる日も出始めました。この陽気に準じて春夏商戦も昨年の今頃に比べれば多少勢いがあり、出荷荷物も一回りずつ大きくなりました。今月目立ったのは新規別注案件で、二十から三十枚の物件を多数ご注文いただきました。人出が少しずつ増加し、サービス・製造業も回復基調になってきたのかな、と思っておりました矢先の感染者急拡大。「まん延防止等重点措置」では感染を抑えきることができませんでした。この度の宣言で集中的に人流を減少させ、大型連休明けも引き続き回復傾向となるかどうか。そして世界中の感染者数は減少に向かってゆくのか?

 毎日集荷に来てくれる配送業者の集荷時間が例年とは逆で、少し早くなってきております。ご当地新市は作業服をはじめモンスラ、カジュアルなど繊維企業の集積地です。ドライバーさんに尋ねると、作業服の荷物は多少増えたが、カジュアル関係は厳しいようです。製造業などの作業服は汚れたり破れたりの追加があっても、外出機会が減った一般衣料は想像に難くありません。このような状況で、小口追加のご注文をいただけることに日々感謝しております。もしかしたらアフターコロナの生活は「足るを知る」時代の再来かもしれません。コロナ禍による少子高齢化の加速。世界的な人口減少は単品大量生産からの脱却を推し進めます。「足るを知る者は、貧しくとも富めり」。時代の流れは受注生産の方向に大きく傾いております。多品種小ロット生産のリミット・スマートファクトリーでは、今後もクイック生産に全力を挙げます。


三、 社長は孤独な生き物


 先代が亡くなりはや七回忌、代表交代してもう十三年目になります。最近過去のリミット通信を読み返し、先代の残した数々の呪文のような言葉の意味がよく分かるようになりました。リーマンショックを経てからのコロナ禍。環境が一変しそれに対応すべく、ひとつ、ひとつ、行きつ戻りつの繰り返し。最終決断して指示を出した後、私はどうしてこんなに寂寞たる思いに包まれてしまうのか。周りに理解してもらいたい衝動。孤立感にさいなまれ、誰も知らないところに一人で放浪したい、と心底考えました。先代はよく晩酌しながら「社長は孤独な生き物だ」と漏らしておりました。社長という任に就いた以上、避けては通れない心情なのかもしれません。




  二〇二一年四月三十日
       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有 木 宏 治

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