2019年 10月号



 一、被災者の皆さまへ
   お見舞いを申し上げます


 いつもお世話になりありがとうございます。

 実りの秋となるはずでした。しかし急速に発達した台風十九号は、東日本を中心とした広範囲に想像を絶する災害をもたらしました。雨があまり降ってない地域でも浸水したのは、広域な範囲で降雨が同時多発的に増水を引き起こしたかつてない流域型洪水だったからだそうです。西日本豪雨から一年。またしても暴風雨により堤防が決壊し、多数の犠牲者を出してしまいました。被害に遭われた方に心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈りします。

 近年、甚大な被害が多発し、今までに経験したことのないパターンになっているのはどうしてなのでしょうか?地球温暖化、また逆に寒冷化を挙げる説もありますが、産業革命以来の開発の進展と自然の猛威による被害が正比例している気がします。

 まず、災害からの一日も早い復興支援をさらに推進してゆくことが最も大切でしょう。そのうえで、自然の力にあらがうことができないひ弱な人間として、「自然の共生」とはどういうことなのかを考える必要があるでしょう。このままですと、二十一世紀半ばには、今言われている身を守る術では、役にたたなくなるでしょう。


 二、増税、災害、多様性の時代を
   乗りこえる


 消費税増税前の駆け込み需要があった先月と打って変わって、今月の社内は、静かで最盛期とは思えないくらいでした。まさに先月号で危惧した通りでした。過去実績からも増税前の駆け込み後は確かに動きが鈍るのですが、この度は少し異様です。

 まず、景気低迷中の消費税増税が明らかに影響しました。その際、軽減税率採用やキャッシュレス還元などによる不透明感などなど、様々な要因により十月商戦が飛んでしまった感があります。そして、今月中旬までの残暑と甚大な自然災害も影響しています。この状況の影響が業界全体に蔓延していることを皆様も実感されているとは思います。

 在庫調整の大号令は、いつものごとくですが、昨年と違うのは、生地発注を半分にするとか、七割キャンセルしたという話まで聞こえてきます。大幅な生産計画の見直しは、品質安定や基幹設備の維持にまで関わる非常に重大な問題です。必ず、生産現場にツケがまわります。

 生地発注の大幅変更は、修正範囲をしっかりと提示して計画通りに生地を引取っているリミットでは考えられないことです。リミットは多品種少量ですので、バルクの量でビジネスを動かす力技はできません。その資金力もありません。しかし世の中の大量商品は確実にシュリンクしており、多様性の時代は小ロット・受注生産が基本です。来年は、「商品がないない」といつもの繰返しにならないことをお祈りします。

 秋冬商戦の状況は大変厳しいですが、災害被災地のことを思うとそんなことは言ってられません。日々仕事ができることに感謝し、この苦難を乗り越えてゆきましょう。


 三、トレンドは小ロットでオリジナル。
   得意のリミット


 最近、業界新聞などで我々ユニフォームの専門アパレルではなく、末端エンドユーザーから「自分の着用したい制服がないので自分で作りました」とか、「他業界とコラボしてオリジナルユニフォームを作りました」という声を耳にします。自分たちが着るだけでは飽き足らず、欲しい人には販売しますよ、といった工務店さんや他業界さんの記事をちょくちょく目にします。我々のような専門業者としては、非常に残念で力不足を猛省しております。

 こういった動きの共通キーワードは、「オリジナル」「少量」です。つまり我々の言うところの「オリジナル別注」ですね。近年、別注は生産効率やリピート率の低下などの要因により、ロットが大きくなり、我が国の企業数のほとんどを占める中小零細企業に対応できなくなったために起きている現象です。そもそも、「少量」しか必要としない企業が、日本の産業界の主要な部分を占めているのです。その要望に応えられなくなったのです。

 スーツ業界も「吊るしモノ」からオーダーに売れ行きの主流が変わってきているのです。少量でよい商品がほどよい価格で購入できないのなら自分たちで作ってしまおう、と考えるのも当然だと思います。

 ただ、ユニフォームは一度作って終わりではありません。その後の追加やリピートを考えれば、そういう方法では、エンドユーザーも困るのではないでしょうか。そこは我々専門業者の出番。そういった細かい手間のかかるニーズを拾い集めたら、結構大きな商材になるのではないでしょうか。リミットには初回四十枚から受け付けるオリジナル倶楽部と銘打った別注サービスもあります。また昨今受注の増えている専門性に特化したマタニティユニフォームもあります。これからますます個人のニーズは自分仕様に流れてゆきます。

 リミットの企画部隊もこれまでのリミットブランドから、時代の要請に合った分かりやすいこれからのリミットブランドへ進化するべく、来年度のカタログから徐々にリ・ブランディングを進めてまいります。どうぞご期待ください。



  二〇一九年十月二十五日

       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有 木 宏 治

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