2019年 9月号
一、台風とエネルギー対策
いつもお世話になりありがとうございます。
昨日までの日に焼けた肌をなでる風に秋を感じるようになりました。ようやく猛暑が終わるようです。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
先般、関東南部を襲った台風十五号では、千葉県を中心に長引く停電や断水などの影響で日常生活に支障をきたす日々が続いています。吹きとばされた民家の屋根は、修理の目途がつきません。これも被災者を疲労困憊にさせています。改めてリスクマネージメントの重要性を浮き彫りにしました。
行政の初動も遅れ、見込みの甘さが目立ち、厳しく批判されています。大震災の時の教訓を生かし切れなかったことは残念ですが、裏を返せば日常生活がいかに電力に頼っているかということをまざまざと見せつけられました。そして、そのシステムがいかに脆弱かということも、よく分かりました。いざというときのためのエネルギー対策は今後の最重要課題だと強く感じました。
二、特殊ミシンを国内増産に活かす
例年のことですが、厳しい残暑が落ち着いた九月中旬以降、秋冬物が本格的に動き出します。今年は、別の意味で注目の秋です。ずばり消費税の問題です。来月からの増税を前に、前回増税時と同様、駆け込み需要と思われる注文も入り、備蓄在庫の出荷が目立っています。春先は、出荷量の動きが少し鈍く心配しました。しかし、ここにきてようやくたくさんのお客様のもとに、幅広く出荷されています。
今月も昨年同月実績をクリアできると思うのですが、実は、増税後の来月以降がどうなるかが心配です。景気の先行きもあまりよくない模様です。しっかりリスクマネージメントしたいと考えております。
先月号でお伝えしたように、中国福州工場は順調に生産を進めてくれています。そこで国内新市工場の生産を加速するため、今月特殊ミシンを追加導入いたしました。これは、今まで熟練縫製者しかできなかった工程を、今年入社した素人でも作業可能とするものです。増産と売り上げの増加に期待が膨らみます。受注残を少しでも減らす努力と即納できる計画生産をいかに構築するか、また、来年にかけてこの課題解決に新たな生産環境をどう活かすか、という課題の解決に全力を傾けます。
三、新OSと新しい価値創造へシフト
ところで、マイクロソフトのWindows7のOSのサポートが二〇二〇年一月一四日で終了します。それに代わるのはWindows10です。これに対応する新システムで全体が作動します。現在急ピッチで導入を始めております。これは、大きな投資ですが、避けては通れません。これを最新のネット社会に対応できるよう研さんの機会にしたいと積極的にとらえています。
これからは、データなど形のない資産からデジタル技術を使って価値を生み出す新たな経済の時代がはじまります。新たな市場が開発され、いわば値段のつかない豊かさを享受させてくれます。有り余るモノを作ることで嵩上げしてきた成長は破たんし、低成長でも豊かさや幸せを感じられる新しい経済活動への入口に我々は立っています。私たちリミットは、そのような視点に立った通信販売の質的向上に努力してまいります。
四、うす味が最良の道
先日、新聞に面白いことが載っていました。要約すれば以上のような内容でした。
米軍の日常食へのくだりで「食べた記憶がうすければうすいほど、それだけ飽きがこないというわけである」、実際に「飽きない味とは何か」まずは「高級料亭の料理も食べ続けると飽きる」が口癖だったのはセブン-イレブン・ジャパンの鈴木敏文氏。日清食品の安藤社長は、濃厚な味でおいしすぎると「満足感」がありすぎる。これでは当分リピートはないと指摘している。オリジン東秀の創業者である安沢秀雄氏は自ら病を患った時、食べる意欲が萎えた。そこで毎日食べても飽きない味は「うす味」であり、「濃い味」は飽きてしまう。お客様が自ら味をプラスできる程度がちょうどいい、としている。食のロングセラーは「完成品」ではなく、時間をかけて育てる「生成品」ということだ。
私たちのユニホームビジネスも同じで、もしかすると、エンドユーザーは飽きない「生成品」に価値を見出しているのではないでしょうか。働く人一人一人は、企業が採用した同じ制服を揃えて着用します。その意味するところは、派手なファッションセンスを競うのではなく、制服の機能的価値を認めたうえで、なるべくそれぞれの個性という味をプラスできる余地を残した「うす味」の妙味に意義を認めていることにあるのではないでしょうか。
言い換えると、決して奇をてらうことなく、常に材料や製法を変えながら「うす味」商品で、じっくりじわじわと売上を伸ばすことが最良の道、ということではないでしょうか?
二〇一九年九月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 宏 治
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