2019年 6月号
一、梅雨入り宣言なし?
いつもお世話になりありがとうございます。
時代が令和になり、はや二カ月が経過しようとしております。一時の喧噪から醒めて、社会的に落ち着きを取り戻しつつあったのですが、十八日夜、山形県沖を震源とする最大震度六強の地震がありました。本当に驚きました。被災されました皆様には心よりお見舞い申し上げます。
何度もこの通信で書いていますが、自然界が大きく変容していることに強く不安を感じます。身近な例ですが、この原稿を書いている時点で、中国地方は、まだ梅雨入りをしておりません。このまま梅雨入りがなく、梅雨明け宣言がでる可能性もあります。
そのような異例なことは、過去に一度だけ記録されています。四国と近畿地方で梅雨入りのなかった年があったそうです。この通信が皆様のお手元に届いた時点で梅雨入りがまだならば、記録上最も遅い梅雨入りになるか、梅雨入りがないことになると思います。梅雨時期のじめじめした空気感も嫌なものですが、田畑の作物への影響などを考えると、降雨の異常は、本当に深刻な問題です。
夏を思わせるような陽気から一転、過ごしやすいのはいいのですが、どうもしっくりこない陽気の変調に市況も戸惑い気味。自然界は何に怒っているのでしょうか?
二、気候変動にAIで販売予測
一気に暑くなった先月と打って変わり、過ごしやすかった今月は、夏物の動きも芳しくなく、出荷に私の応援を必要としないので、新市へ出向かない日もありました。五月は稼働日が大型連休のため短かったこともあり、夏物商戦の最盛期ももう少し長く引っ張るのではと期待しておりました。しかし期待は外れ、今月は例年どおりの落ち着いた動きとなりました。まだまだ定番品には在庫があり、梅雨の蒸し暑さを体感しなければ半袖は動かないのかもしれません。来月以降に動きがでることを期待しております。
一方で、国内工場の繁忙期は続いております。今月も幅広い品番にご注文を頂いています。例年あまり動かなかった商品にもわずかながら動きが出ています。さらに幸いなことに、今年の新商品も人気が高く、本当にありがたい限りです。
多品種化がすすみ、それに連動して、生産計画をたてることが年々難しくなっています。商品品番が増えるごとに、全体の販売予測はどんどん複雑化するのは当然です。今では、中国工場にも多品種少量生産で需要傾向にコミットしているのです。ときどき、そのことを「リミットは偉いなぁ」と密かに思い、自画自賛しております。
販売予測は、なかなかデータ通りにうまくいきません。生産はしたものの、結局大量のデッドストックを抱えることになる場合も、ありえることです。将来は膨大な過去の販売実績データを基に、AIである程度まで生産予測をすることができるとは思います。
現在、食料品の賞味期限による大量廃棄処分が問題視されています。これと同様、先日新聞に国内で一年間に定価販売される衣服は、全生産点数の半分に満たないとするデータが掲載されていました。売れないものは生産しない努力。これはメーカーに突き付けられた大きな課題です。これにもAIの販売予測が有効な回答を導くかもしれません。
三、足元からのサステナビリティ
業界ではサステナビリティなど横文字が飛び交っておりますが、ご存じのように、広く環境・社会・経済の三つの観点からこの世の中を持続可能にしていくという考え方のことを言います。このような大きなテーマにどこから手をつけるのか、という問題があります。売れないものは生産しない努力もサステナビリティでしょう。ですがこれは、もう少し将来のことです。いま重要なのは、まずは誰でも行動できる足元の問題から着手することなのです。
そこで、リミットでは今月より、見本商品に限り今まで続けてきた出荷・返却日付の記載した見本ラベルの装着を中止することにしました。紙資源の有効活用と見本ラベル装着時の製品への汚れや装着部分の負荷を減らすことが目的です。最近は見本返却ルールを大きく逸脱するお客様もいらっしゃいません。また、見本ラベルに代わり、出荷商品に同封する納品書伝票に見本返却期限を新たに印字することにしましたので是非ご活用願います。
少しでも余剰品やゴミを出さない活動に、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
四、身の引き締まる
組合七十周年の記念式典
先日、福山で開催された広島県アパレル工業組合創立七十周年の記念式典と祝賀会に参加いたしました。
式典で挨拶された平謙介理事長からは、同組合の歴史や一九四九年設立当時の新市町界隈の原風景などのお話があり大変勉強になりました。また近年、産地企業の経営者の世代交代が顕著になるとともに、商品力や提案力で勝負する新たな競争時代になるというお話しに、地域経済成長の一翼を担う立場になりつつあることをあらためて自覚させられ、身が引き締まる思いでした。
また、来賓の枝広福山市長からは、大概、○○産業組合とか△△工業組合などの名称機関は、各県の県庁所在地に設立されているケースが多いが、当組合は広島市ではなく、ここ福山市新市町に設立されている。なんと素晴らしい歴史ではないかと称賛されました。確かにその通りです。当組合に所属する企業は多数ありますが、リミットも新市町で創業した企業として、胸を張って歩んでいこうと誇らしく感じた素晴らしい式典でした。
二〇一九年六月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 宏 治
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