2018年 11月号
一、優しくも厳しい自然
いつもお世話になりありがとうございます。
平成最後の年の瀬も迫り、例年より遅い初雪の便りが届きはじめました。リミット通信は、今年最後の発行です。
今年もいろいろなことがありました。振り返れば、特に天災が多かった年でした。身近に自然災害の脅威を目の当たりにし、自然への畏怖の念を強く感じた年になりました。自然をコントロールするなど笑止千万だと言われているような感覚になります。優しくもあり、人を寄せ付けない厳しさもあるのが自然なんだと改めて感じました。
改めて被災者の皆さまにお見舞いを申し上げます。
二、議論を深めたい外国人の受け入れ
今年の経済面の印象は、インターネット通販の勢いがますます隆盛を極めたことでした。しかし、大規模な災害が発生し、ひとたび電力供給がストップすると、その力を発揮できないといった現実が露見しました。電力の復旧も簡単にはいかないことも思い知らされました。
また、急激に物流が増える中、運送会社の苦悩や、生産現場の人手不足もクローズアップされました。そこで登場したのが、海外からの労働力の受け入れを緩和して人材不足を乗り切るという政策です。この問題は、本質は何かをもっとしっかり把握し議論を尽くさなければならないと思います。拙速にことを行うと、最終的に受け入れ側も受け入れられた側も不幸になります。法律ができて、いったん動き出し、人材が来日してからでは手遅れです。
社会はますます複雑で多様化の時代を迎えております。議論に議論を重ね、しっかりとした指針に基づいて行動しなければ、まとまりのある社会集団は築けません。この時代に、海外から人材を受け入れることで問われるのは、結局、受け入れ企業が人材確保や生産向上のために示す行動指針の内容です。このことをしっかりと肝に銘じたいと思います。
三、生産哲学構築へ一歩
さて、「寒さも徐々に厳しくなってまいりました」とは言うのですが、今年の冬はエルニーニョだそうです。つまり暖冬になるとの予測です。防寒用製品をもたないリミットですので、エルニーニョ予測に助けられてか、今月は順調に注文を頂いております。
今年は春先に中国福州工場の生産が一時的に減産し心配しました。しかし総経理が大英断を下し、福州工場は新たに生まれ変わりました。現在、順調に増産を続けております。毎年、生産面では問題が発生し減産を余儀なくされてきましたが、来年はいよいよ、リミット生産計画の真価が問われる年になると思います。そうなると当然、増産の要である人的資源の強化、個々の技術的強化が求められます。そのために、中国福州工場と国内二工場での増員、今月より更なる縫製品質向上とクイック生産に繋がる技術指導への再投資をはじめました。
またその根幹をなすリミット独自の生産哲学を構築すべく関西から指導講師を招き、一歩踏み出しました。毎月二日間の勉強会をスタートさせ、型・裁断・縫製・仕上げを総合的に技術指導していただき、一つ一つ学んだ知識を再現しながら知恵の段階まで昇華させる取り組みです。時間はかかりますが次の世代に繋がる「リミット生産哲学」を必ず構築します。ご期待ください。
四、人間性の回復運動へ揺り戻しか?
来年は新しい元号がはじまる元年です。消費増税を景気後退要因として大変な時代になるとの予測もあります。だからこそ、今大事なのは将来に対する明るい希望ではないでしょうか。東京オリンピックも目前に迫ってきます。ユニフォーム業界も素材やデザインがどんどん変わり、一般衣料に近くなってまいりました。職場という公の場での装いはこれからどのように変化してゆくのでしょうか?楽しみです。
ですが、現代社会はどんどん多様化が進み、人々は、それぞれの狭い内的な世界に耽溺し、個別化する傾向があります。言い換えると、他者とのコミュニケーションが希薄でも生活できるような社会になったのです。IOTやAIが急速に世界に拡散し、生身の人間がもつ感情や感性でひとが動かされる世界がどこか隅に追いやられた感がします。
現在、モノも服も飽和状態にあり、自分の着るべき服も自身では判断できない現実がまさに到来しようとしています。こうした状況になると、いつか来た道ではありませんが、十四世紀初頭の西洋ルネッサンス時代に立ち返るような人間性の回復運動など揺り戻しの動きが出てくるかもしれません。そして改めてその職場にふさわしいユニフォームとは何なのかが問われる時代に入るような気がしてなりません。次代の変化に取り残されないようリミットは、アンテナをさらに拡張します。
いよいよ師走を迎え気忙しい毎日ですが、くれぐれもお体を大切になさってください。
今年もありがとうございました。来年も女子作業服リミットをよろしくお願いいたします。
二〇一八年十一月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 宏 治
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