2018年 9月号


 
 一、災害と成長戦略の選択


 いつもお世話になりありがとうございます。
 夜半の虫の音が、ようやく秋の訪れを告げはじめました。

 酷暑で参っていたところに台風が襲ってきました。台風二十一号の強風と高潮による関西の大きな被害は、ご承知の通りです。突風による被害と長引く停電でご苦労された話も多々お聞きしました。

 そのすぐ後、今度は北海道で震度七の地震が発生。一時、全道が大停電になり、水道も止まってしまいました。集中型のインフラがいかに脆弱かをまざまざと見せつけられました。谷間や水田を埋め立てた造成地で液状化が発生し、本当に日常生活に戻れるのかという根源的な不安が払拭されずに残っています。

 このところ続いている自然災害の爪痕を検証すると、自分が住んでいる所は、もとはどのような土地で、そのまま住み続けることができるのかどうか、とか、万が一の時にはどこに逃げればよいのか、などの根本的なことから再検討することが減災と生活再生につながるような気がします。

 南大阪では台風から数週間たった今、見渡すとブルーシートに覆われた屋根が多く目立ちます。その中には、現状を熟慮し、商売の継続を断念される商店も多いようです。時間経過と共に、緊急課題から将来課題へと問題は移行しているそうです。

 また、この間の災害はもう一つの問題を示しています。関西と新千歳の二つの国際空港が同時に全面閉鎖されました。異常とも言える観光人気があった札幌と大阪両都市では外国人観光客が激減し、インバウンド景気も一気に冷え込みました。日本経済の正体が見透かされた思いがします。これまで、観光立国日本を前面に押し出して経済成長に繋げる戦略を選択してまいりましたが、それは自然災害が起こらないことが大前提なのです。今後人口減少が避けられない日本は、どんな成長戦略を選択してゆけばよいのでしょうか。被害に遭われた方々の一刻も早い復興をお祈りいたします。


 二、希望をうむ業界仲間との会合


 中旬の週末、いつも懇意にしてくださる気の置けない業界仲間との会合がありました。いつも業界内のいろいろな情報をうかがうことができる非常に有意義で前向きになる楽しい会合です。業界内の川上から川下までがざっくばらんに話ができるこの会は、私にとって大変貴重で今後も参加し続けたい大切な会です。

 ですが今回は、やはり災害直後ということもあり、商売の話どころではないという雰囲気でした。それに加えて、残暑も災いし、ショップ売りは月末、納入は来月末が最盛期ではとの話でした。アパレルの仲間と話をしてみても、生地や運賃の値上げ問題、ファスナーなど付属の納期問題なども、共通した大きな頭痛の種でした。前向きな明るい話題がでることは余りありません。

 それでも、どのような状況にあっても、なんとか光明を見いだそうとすることは希望でした。


 三、国家主席の無期限任期と景気の後退


 先月末、中国の総経理が来日した話は既報のとおりですが、総経理自身、この度の中国経済の衰退を身近に感じていると話をしてくれました。そしてそれは中国経済衰退だけに止まらず、今般の習国家主席の無期限任期決定は中国の後退を意味し、決して発展の道は歩めない愚策だと教えてくれました。永遠に交代がないということは、傍若無人に振舞っても誰も意見が言えないまさに唯我独尊状態です。

 アメリカとの貿易摩擦に端を発する経済低迷の対処としては、大幅減税しかないでしょうとのことでした。

 翻って、果たして日本はアメリカの意向に中国のように異を唱えることができるのでしょうか?


 四、諸事情を鑑み、重要なお願い


 秋めいた風が吹いた今月初旬、少し動きが出始めたと思っていたら、災害でよい予兆はかき消されました。昨年同月は早くから注文も増えたので業績が伸びましたが、今月は苦戦しそうです。

 弱り目に祟り目というのでしょうか、今月、物流会社から運賃引上の通知がありました。リミットは長年、積載面積の小さい袋出荷がメインです。助手席や他所の箱荷物の隙間でも積めます。よってこれまで、極端な運賃値上げ交渉はしたことがありません。ところがこの度は、交渉の余地もなく来月より値上げが伝えられました。

 つきましては誠に不本意ではございますが、別紙の通り運賃価格を改定させていただくことになりました。弊社商品をご愛顧いただいております皆様には諸事情ご賢察の上、今後とも何卒ご愛顧賜りますようお願い申し上げます。



  二〇一八年九月二十五日

       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有 木 宏 治

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