2018年 6月号
一、いざ、というときのために
いつもお世話になりありがとうございます。
柔らかな彩りの紫陽花が薄曇りの空に映えています。今年もはや半年が過ぎ去ろうとしております。皆さまいかがお過ごしですか。
先般の大阪を震源地とした地震には本当に驚きました。私は、ちょうど週明けの朝会議の前で、幹部と机を挟んで話をしておりました。ここ日本生命ビルも一瞬ぐらぐらと揺れ、思わずお互いに顔を見合わせすぐにテレビをつけました。画面に関西中国地区の地図と震度が表示され、阪神淡路大震災発生時の湾曲した高速道路の光景が脳裏をよぎりました。皆、画面を食い入るように現場情報を探っていました。
最近、桜島の噴火など北海道から九州まで火山活動が活発化し、地震も全国各地で頻繁に起きています。しかも最近の地震の特徴として震源の深さがほぼ十kmということで、これは日本列島を横断している中央構造線と同じ深さだそうです。つまり私たちは、大災害が懸念される環境に生きているということなのでしょうか。
皆さま、いざ、というときのための備えを、心がけておきましょう。
二、アパレルレンタルの謎、解明
先日、新聞でアパレルレンタル会社の記事を読みました。なぜレンタルがそこまで流行るのか、私は疑問に思っていましたが、それを読んで妙に納得してしまいました。
人を世代や時代でくくるのは偏見が入り込みますが、あえて言うなら、アパレル好きな私の同世代の友人は皆、人からどう思われようが自分の好きな服は好きで、皆ファッションセンスに自信を持って少々尖っていました。どこで見つけてきたかというようなブランドに執着心を持っていました。ところが現在は、服のデザインや種類は多様で、執着心をブランドへ注ぎ尖って自己表現することは二の次になります。組み合わせを考える時間がもったいない、そもそも服を買いに行く時間もお金ももったいない。そこでもっと手軽に選択、返品ができる仕組みに彼たち彼女たちはお金を払うのです。ニーズはどんどん変化しています。コーディネートで自己主張などしなくなったのです。
そうなると、ズバリ自分のコーディネートに自信がない人が時代をリードし始めたというわけです。
三、今夏気候と受注見通し
例年より早く梅雨入りしましたが、ここ広島では前半は雨の少ない、比較的過ごしやすい気候ではなかったかと思います。後半はいよいよ梅雨本番で雨の日が多く、台風の到来も多く予想されている模様です。一説には、二〇〇四年の夏に似ているとのことです。
そこで、二〇〇四年を改めて振り返ってみますと、全国的に高温傾向が続き十個の台風が上陸し、被害は甚大でした。あのときは、夏物の受注が九月いっぱいまで引っぱりました。今年もそれに似た状況になるのでしょうか。もしそうなれば、中国で生産が遅れている夏物がその分だけ遅れて入ってきます。秋冬物は夏物ほど一気に受注が集中しませんので、昨年の在庫もありますし、九月に航空便を一度飛ばせば間に合うのではないかと思っています。
四、生産の哲学があれば、期待される中国生産
その中国生産の遅れについてお話しておきます。
今月は日々の受注も日を追うごとに落ち着いてきましたが、昨年対比の受注残は現時点で倍ほどあり、今週は新市・出雲両縫製工場とも残業して納期死守に全力を挙げております。
先日、繁忙期の現状について中国福州の総経理とメールでやりとりいたしました。以下は総経理からの返信内容です。
「春節以降、福州工場の改革を巡って、生き残りをかけた壮絶なドラマがありました。過ぎた今、この三カ月振り返ってみると本当に大変でした。本当に品質どころではありませんでした。経営者としてこういう風に言うのが失格でとても恥ずかしく思っておりますが、ライン全員をクビにして、工場を一時休業する覚悟で臨んだ改革でした。人手不足の状況であえて実施した改革でした。将来につながればいいなと思ってやった改革でした・・・。」
中国の総経理も試行錯誤しながら、道を探してくれていることが伝わってきます。私は大変な苦労を総経理にさせてしまったなぁと反省しました。もっと早い段階で指導やアドバイスをしていたら、ここまで総経理を追い込むことはなかったかもしれません。しかしこの度の経験は福州の総経理やライン長にとって、近い将来の糧となる貴重な体験だったと思います。
この世は流転です。思い通りに事は運ばず、流されたり逆流や淀みにはまったりしてしまうこともあります。しかし、哲学さえあれば向かいたい方に櫂を漕ぐことはできます。総経理が、今秋冬にはきっと盤石な生産基地を築いてくれると信じています。
二〇一八年六月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 宏 治
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