2017年 8月号
一、お盆休みはいかがでしたか?
いつもお世話になりありがとうございます。
お盆を過ぎて、少し空の青が濃くなり、日差しが幾分和らいだような気がします。今年は山の日の祭日を挟み、長いお盆休みのところも多かったのではないでしょうか。いかがお過ごしでしたか。皆様も、お墓参りに行かれ、心静かにご先祖に手をあわせられたのではないでしょうか。何をご報告されましたか。私は今年前半の無事を感謝し、後半も何事もなく平和に乗り切れますようにとお参りいたしました。
二、難しい廃番・リニューアル・新商品 投入の見極め
今月も夏物の受注は引き続き順調です。来月以降の指定納期もそれなりに入っています。秋雨前線が早い時期に活発化すれば、秋冬物商品への移行が前倒しになります。また、薄手の長袖など季節と季節の間の端境期商品が久しぶりに注目を集めるかも知れません。
最近、杢調が特徴的で底堅い人気があったジャケットの生地が生産中止となりました。生地がなければ廃番になってしまいます。しかしこの杢目が好きで着用していただいていたお客様は困ってしまいます。時間をかけてこの杢調に似た生地をさがし、既存製品のイメージを大切にしたデザインでリニューアルすることにしました。
一方、昨今、売れ筋商品が毎年のように変化しています。そして、その予測が難しいので、多品種を備蓄しなければその変化に対応できません。大量の備蓄にはリスクがともない、それは年々高まっています。在庫を極力少なくしながら廃番にする商品を見極め、それに新商品を置き換え続けることがアパレルの使命です。
海外の委託工場で数年間分を一気に生産し、製造コストを下げる生産方式では、まさしく資金力の競争になります。途中のサイズ切れや在庫切れは一切フォローしないというのでは、販売店かあるいはエンドユーザーがある程度在庫をもたざるを得なくなります。販売店では、そうなるといきおい抱えた在庫を優先販売するのに躍起になってしまいます。
リスクを警戒してそれに備え、かつリスクをとりながら挑戦しなければならない、というのは大変難しいものです。
三、一般衣料業界の動向に危機感
最近、一般衣料の通販が急速な伸びとともに、一種の地殻変動が起きているかも知れません。お客様から求められなければ、一切声掛けをしない専門店が出現しています。さらに試着用の衣料品と靴だけを置く売り場も登場しています。小売り大手の丸井グループは、プライベートブランド試着品だけを置いた売り場を、六店舗で試験的に導入し、それを拡大するようです。商品をショップで試したうえで、ネットで購買するお客も増えているようです。誰に勧められることもなく、空いた時間にじっくり選べる通販の強みが人気の背景にあるといわれます。また、購入した商品を荷物にして持ち帰りたくない来店客のニーズが背景にあります。ここまでくると、行き過ぎではないか、と考えてしまいます。しかし、この状況を見ていると、作業服業界もそれを着て働く人たちのことを第一に考えなければ、最終的には何もかも他所の業界に持ってゆかれるのではないかと危機感をいだきます。
四、福州工場の稼働と人材
最近ご報告していなかったリミットの中国福州工場は、新工場に移転してから初めての夏です。福建省は、中国でも特に暑い地域です。工場は、最上階にあるので、従業員の夏バテを心配してメールを送りました。すぐに総経理からも残暑見舞いを頂きました。今年の夏は七月の終わりに台風が通過したこともあり、雨が多く、そこまで気温が上がらなかったそうです。今週にはいり、外気温は三十八度くらいに上がるそうですが、工場内は三十度前後でもう夏は終わりに近づいているので大丈夫だ、という返事でした。生産の方は産休などで従業員が減っているので先月と今月の生産高が落ちていますが、秋には産休明けで復帰してくれるのでこちらも安心してください、との報告が添えられていました。
新工場移転を機に、縫製工さんが若干名辞めました。以前の工業団地では縫製工場が少なく、募集の張り紙をしてもなかなか面接に来てくれませんでした。この度も募集の張り紙を出したところ、今の工業団地には縫製業も多いので面接希望者は度々あるようです。しかし、リミットの凄まじい多品種少量生産の様子を見て辞退する人も多いそうです。やはり人集めには苦労しているようです。
企業は人が土台です。根気強く採用を続け、採用すれば必ず良い人材に育て上げてくれると、総経理には全幅の信頼を寄せております。
五、乗り切りましょう、一難去ってまた 一難の時代
それにしても東・北日本の冷夏はどうしたのでしょうか。このまま秋に移行されたら日照不足で農作物を始め、多方面に重大な支障をきたす事態になります。関東の水不足は解消された模様ですが、一難去ってまた一難。各地で真夏の天候不順が続きます。一カ月前には、猛暑の夏だと予想されていましたが、最新鋭の天気予測でも、まだまだ分からないことは多いのでしょう。
政治や経済の分野では、全世界的で今までの体制を揺るがすような出来事が相変わらずです。先のことは蓋を開けてみないとわからない不確実性もますます顕著です。こちらも、一難去ってまた一難、残暑に負けず、この時代をともに乗り越えて参りましょう。
二〇一七年八月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
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