2017年 4月号
一、偉大な経営者のご逝去にさいして
いつもお世話になりありがとうございます。
光る風に萌黄色の新芽がなびくころ、思いもかけない哀しい知らせが届きました。去年、あんなにうれしそうな顔を見せてくださったのに。いつもこのリミット通信を読んだ感想をわざわざ伝えてくださるほど、気にかけてくださっていたのに。残念でなりません。尊敬していた偉大な経営者は、散る花のごとくこの世を後にされました。教えていただいたたくさんのお言葉を胸に、真っすぐ前を向いて歩み続けます。どうか天より先代と一緒に見守っていてください。今まで本当にありがとうございました。
二、可能性あふれる中国新工場
先月の中国工場の話題の続きです。新しいきれいな工場に引っ越しをしました。何ら違和感がありません。以前からここにいたのではと勘違いするほど整然とラインが流れ、順調に製品ができ上がっていました。これでいろいろなトラブルに見舞われましたが、まずはひと安心です。広さも十分余裕があり、いつでも増産態勢にもってゆけます。新しいサインボードの掲げられた四階建て工場を眩しそうに見上げながら、武者震いした訪中となりました。
三、不確実な受注から予測可能へ
今月は花見日和とまとまった降雨が短いサイクルで続きました。また、昨年に比べ肌寒い日が多かったように思います。そのせいか、出荷状況も現時点では秋冬物が六割、春夏物が四割といったところです。連休明けに定番の春夏物が一気に動きそうな予感です。
数年前から受注状況は、ここのところの空模様と一緒で、ネット注文やFAXが怒涛のごとく入り受注処理に追われる日の翌日は閑散としているという繰り返しで、明日が全く読めません。営業が毎日動いていれば、近日中にどのような注文をいただけるか見当がつきます。しかし、リミットは、営業マンがいない通信販売の企業なので、そういう方法で販売予測ができません。大口注文の追加に備える、あるいはモデルチェンジに際しては、余計に在庫を準備しておく必要がありました。それを勘に頼るのではなく、過去の個別の実績データから販売が期待できる時期やシーズンを計算します。それに基づきFAXなどで事前にお問い合わせを入れ、適正在庫を維持するようにしています。営業にかかる余計な時間を、過去データを基に次の戦略構築につなげるための分析時間に充てるのがリミット流です。
というわけで、過去データを基礎に今は来季に向け、新商品開発やカタログ制作はすでにスタートしております。今の成果は前期の努力の結果。来期の成果は今期の努力の結果。この繁忙期、日々の処理に追われると同時に、せっせと種をまき、育てる時間にも充ててまいりたいと思います。
四、カジュアル衣料業界でも過剰在庫解消へ
最近、カジュアル衣料のストライプインターナショナルやユニクロなどの大手も、見込み生産で生じていた無駄な在庫を減らす取り組みに力を入れています。流行り廃りの激しい一般衣料業界の長年の課題だった過剰在庫の解消に本格的に取り組み始めました。その方法は、大量の在庫商品を出してきた従来の受注を改めることです。あらたな受注生産方法を開発し、どのような発注に対しても即応できるシステムを構築すると、需要の読み違いによって発生していた余分な生産は防げます。
ただし、デメリットもあります。多品種少量クイック生産になるため、納期がかかることと生産コストは割高になることです。ですが、そのデメリットを勘案しても、無駄な在庫を圧縮する方向性は、やはり今後の市場の変化を見据えてのことだと思います。人口減少、国内の生産拠点の減少などを考慮すれば、受注生産による定価販売で利益を残してゆく方法が最も効率的だと私も考えます。
私は、リミットの生産販売哲学にふと疑念が頭をもたげる瞬間がありました。が、カジュアル衣料業界の動向を知ると、リミットに間違いがなかったと胸を張れます。最速で消費者の好みを製品に反映してゆける企業しか生き残れないのは、どの業界も同じなのかもしれません。
五、今後二期で粗利益率向上を実現
今月でき上がってきた決算書とにらめっこしています。私なりに直近二期で、喫緊課題の中から販売管理費圧縮を図ることを優先させてきました。これについては前期で一応の成果を上げることができました。今後二期の課題は、製造原価の抑制と粗利益率の向上、としたいと思います。そのためにどのような方針を出してゆけばよいか、思いはめぐります。
国内のクイック生産強化のため、出雲工場に素人の新人を投入し、工場の刷新を図りました。当然、人件費だけが増加し生産は上がりませんでした。しかし今年三年目を迎え、種から芽を出し、葉が出て茎が伸び、この時期のツツジ花のつぼみのごとく目覚ましい成長を見せてくれています。あと少しです。売上に比例して、生産水揚げを向上できれば必ず粗利益率は上がってきます。中長期を見据え、忍耐強く方針を貫きます。
来月の繁忙月もどうぞよろしくお願いいたします。
二〇一七年四月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
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