2016年 11月号
一、振り返れば、一回りの成長と喜び
いつもお世話になりありがとうございます。
穏やかな日差しに黄金色の銀杏の葉がはらはらと舞い落ちていきます。木々は冬支度を始めました。寒い冬の間に力を蓄え、また来る春に命を繋ぎます。こうして生命は滔々と流れる川のごとく途切れることはありません。
私は、企業も有機体だと思います。一つの会社が、大きな社会のうねり中で変化はあっても、本質的には未来永劫続く可能性を秘めていると思います。事実、日本には千四百年以上続く企業組織があります。企業の歴史を振り返れば、その場面、場面で問題を抱えしんどい瞬間もあるでしょう。しかしそれを乗り越えた時、法人としてまた一回り成長し、今まで以上に多くの人びとに貢献できる喜びを味わえるのではないでしょうか。
二、酉年を前に、前年対比クリア
少し遅れましたが、広島あたりは初冬の気配です。日中の陽だまりでは、ポカポカとした陽気がうれしく感じるようになりました。例年だと来月上旬くらいから一気に寒くなりますが、遅れてきた分、木枯らしも二の足を踏んでくれることを願います。
来年の干支は「酉」です。酉は鶏と同じです。新年も朝一番に鳴く鳥ということで縁起が良く、さらに「とりはとり込む」ということで商売に繋がるとされているとか。
今月は上旬から大口注文が続き、受注が久しぶりに昨年対比を大きく上回り、これで九月からの三カ月間の秋冬物累計でも昨年実績をクリアすることができました。今年もいろんなことがありすぎて、あっという間の一年でした。暦はもうすぐ師走を迎えます。来季カタログ制作もいよいよ大詰めです。来年は景気に期待が持てそうです。
三、福州工場移転決定とその顛末
先月のリミット通信でお知らせした福州工場移転の続きですが、先月二十五日に総経理とライン長が訪日してくれ、総経理とは七月末の工場移転に向けた今後の生産予定についてを話しました。ライン長は更なる縫製品質向上のため新市工場にて品質管理講習を行いました。五日間みっちり意思統一することができました。工場移転先としてすでに選定した四か所の候補地を来年七月期限までに、私が直接訪中してじっくり吟味することを確認して、帰国しました。
ところがその後、再びビックリすることが持ち上がったのです。私は、今月三日の祭日、のんびりとゴルフを楽しんでいました。するとこれからティーショットという時に、総経理から携帯に連絡が入りました。急きょ工場移転を今年中にする可能性が出てきたと言うのです。理由を聞いているうちに頭が混乱し、昼食時に落ち着いてこちらから電話を掛け直すことを伝えプレーに戻りましたが、ハーフはゴルフになりませんでした。
総経理は帰国後、工場移転に絡みいろんな人と会うなかで、春節までに移転を完了した方がメリットは多いことが判明し、急いで私に判断を仰いだのでした。問題になったことを列挙すると、既存工場の敷金返金問題、移転先の空き物件物色時期の問題、従業員採用とその時期の問題、好物件を移転時期まで押さえておくコストの問題などなどでした。これらには中国国内の複雑な諸事情が絡むとあって、私はその場ですぐ決断が下せませんでした。そこで一旦家に帰り、頭を整理してもう一度総経理にメールしました。この間の日本での董事会で工場移転に関するお互いのコンセンサスは取れているので、総経理だったらどうするか?総経理が良いと思う方に決定してください、と伝えました。
しばらくして総経理から「では今年中に移転するので、早急に訪中し、工場を決定してください」と依頼がありました。私は、すぐに専務と訪中しました。候補地四か所のうち二か所は、すでに先約済みで、残りの二か所を見聞して、新しい移転先を決定しました。春節にかけて怒涛の工場撤退と入居を繰り返すことになりました。そこは、現工場から西に十五キロメートルほどにある大きな工業団地です。築十年、四階建ての二階部分で、現在の工場より少し広めの千百平方メートルあります。リミット以外の階はすべて電子部品製造工場です。元の入居者も電子関係でした。大変きれいで、ネットなどのインフラも整っています。移転後、環境局や税関の検査を経て、改めて一年間の生産能力証明書を取得することになります。
四、ある再会から得た確信
この度の訪中では、リミットと長年お取引のある販売店さんの現地董事長と若い総経理のお二人との再会も果たしました。お二人とも日本人で、以前から福州市に進出されています。昨年も一度現工場に尋ねてこられ、現地での情報交換をしたことがありました。この度の訪問は、先月のリミット通信を目にされたからです。同じ問題に直面している者同士、打開策で参考になることはないか、ということでした。
若い日本人総経理は、昨年お会いした時とは雰囲気が違い、総経理としてこの一年間にいろいろな困難を乗り越えてこられた自信がみなぎっていました。この度の問題もきっとクリアされることと思います。
リミットの移転先については、そのお二人からも、立地などの好条件に太鼓判を押していただきました。私も成功への確信をもちました。来年三月末には従来の生産水準まで能力を上げていく予定です。その間、今年の春夏物が振るわず、在庫増だったことが「功を奏する」ことになります。
今年は、これが最後のリミット通信です。本当に激動の一年間でした。皆さまはどのような一年でしたか。来年も女子作業服のリミットをよろしくお願いいたします。
ご愛顧に心から感謝しつつ・・・。
二〇一六年十一月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
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