2016年 5月号
一、構造不況下の好機到来
いつもお世話になりありがとうございます。
深緑の眩しい季節です。日を追うごとに暑くなってきました。皆様体調など崩されていませんか。
先日は茨城県でも強い地震がありました。熊本地震の収束が見えない状況の中での新たな地震は、今まで以上に恐怖感を募らせます。未知の活断層が多くある日本列島は、どこで地震が起きてもおかしくありません。耐震基準をクリアした建物も倒壊した現実に、住宅も道路も地面の上に構築している以上、いくら強固に作っても強大な自然の力の前ではいかに無力かということをまざまざと見せつけられました。いざという時の備えを十二分にしておくことが大事だと改めて痛感しました。
この状況は、現在の景況感にも共通するところが多いと思います。今の強い不況感の払拭のために各国の中央銀行がいくら財政政策や金融緩和をしても、不安定な土台に立てた政策の効果が薄いのは当然でしょう。もっと根本的なところに要因を求めるべきだと思います。
私は今、根本的に新たな世界へ、新たな行動を積極的に進める好機が到来していると思うのです。
二、国内クイック生産に自信
今月は夏物最盛期ですが、ゴールデンウィーク明けの商戦は低調でした。急激に暑くなったかと思えば雨で気温が急低下で肌寒く感じる日もありました。後半からやっと天候が持ち直し、昨年並みの業績を確保しております。注文傾向といたしましては、大口件数が若干少なく、小口注文が増えております。これも景気の影響でしょうか。昨年の受注残の反省から、定番商品を中心に早めに備蓄しておりましたが、一気に無くなる様子もなく、まだまだ十分に残っております。
この景況感ですと、我慢できない暑さにならないと、購買には繋がらないだろうと予想しています。最盛期の売上ピークは低く、その分八月までダラダラとなだらかな山が続くのではないでしょうか。現在の構造不況下では、誰もが現実的に必要なものしか購買する動機をもたないでしょう。発注に無駄がありません。
こういったニーズに対応するためには、やはり国内クイック生産の充実は大きな意味があります。リミット出雲工場も日々一枚でも多く生産能力を高めるため、新たなノウハウを少しずつ開発、実績を積み上げております。二年目の今年はその成長率に自信と期待を感じています。
三、国内紳士服縫製工場に感銘
全国の百貨店やテーラー店から発注を受けている国内紳士服工場を先般、見学させていただきました。この会社は海外にも工場進出されています。
熟練技術者のノウハウをシステムに融合させ、上着縫製にはじつに二百五十もの工程が必要だと聞かされ驚嘆しました。各工程に繊送ハンガーにクランプされた部品と加工指図書が次々やってきます。この一連の運行が滞ることなく、スムースに次の工程に流れる様はまさに圧巻でした。進行状況も自動的にモニターされ、ボトルネックになった工程には、すぐに前後の工程受持ち者がヘルプできるよう多能工化されているそうです。
この究極の縫製ノウハウとIT技術を融合させた国内工場は、今後も決して衰退しないだろうな、と直感しました。地域としっかり連携し、従業員の採用・育成を地場産業として責任を持って遂行する姿に大いに刺激を受けました。今後のリミットの指針を与えていただきました。
四、つつがなく故会長の一周忌
風薫る日、先代の一周忌を無事済ませました。私にとっては、あっという間の一年でした。最近ようやく暇を見つけては、会長のパソコンデータの整理を少しずつはじめました。パソコンの黎明期、一早い導入で現在のリミット・システムを構築した人ですから、蓄積された文章や表計算、メールなどのデータは予想を超えて膨大でした。あらためてパソコンオタクだったなあ、と感心しております。
先代の八十六年の人生は、初めは苦難の一途でした。しかし、それをどうにか抜け出し、晩年はリミット経営に、四国八十八ヵ所巡礼にと、希望や目標をもった生活を送れるまでになりました。それができましたのも、この文章をお読みいただいておりますあなた様をはじめ、多くの方々から絶えずご支援、ご激励を頂いたおかげです。本当にありがとうございました。
データを整理していて、先代も恐らく現況をみて「新たな行動を積極的に進める好機が到来している」と判断したと思いました。これからも会長の遺志を継ぎ、すべての人に喜びと感動を与え続けられるよう邁進してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。
二〇一六年五月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
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