2015年 10月号
一、大切な内省の時間
いつもお世話になりありがとうございます。
日の出は遅く、日の入りは早くなり、朝晩は肌寒く感じる時候になりました。豊作に感謝する各地の秋祭りも終わり、いよいよ冬支度です。かと思えば、日によっては日差しも強く残暑が戻ってきたようにも感じます。
しかし、時間は正確にすばやく流れています。年初に立てた目標が何だったか思い出しているうちに、今年も終わってしまいそうです。慌ただしく過ぎ行く時間ですが、このリミット通信を書いている時は、まるで時間を止めたかのように、冷静に自分自身を省みることができる私の大切なひとときです。
きっとみなさまも、それぞれの方法で自らを内省する時間をもっておられると思います。いつかそんな話題で話し合える空間を作ってみたいものです。いかがでしょうか。
二、「リフィン」女性に寄り添い10年
秋冬商戦も今月でおおかた落ち着きますが、商況はあまり芳しくありません。上衣は今月に入り、定番を中心に昨年並みの出荷枚数まで上げてきましたが、下衣は三割減の状況です。景気の不透明感が漂う中、ズボンまで新調する余裕がないのが実情だと考えます。今はやがて来る状況に対応できるよう、新たに投資をした出雲工場を、来春までにある程度軌道に乗せることが重要課題です。
一方、リミットの子会社が運営する高級婦人服「リフィン」ブランドは、ようやく十年目を迎えました。今月、十年の節目を更なるステップアップの機会として、新コンセプトブックと新カタログを発刊しました。「リフィン」は、この十年でお客様に認められるようになり、上々の業績です。今月は新たにショッピングモールにも出店しました。小口需要が中心ですが、すでに商品が動きはじめております。需要にこたえるために新市工場は、リフィン専用に生まれ変わりました。この「リフィン」ブランドで培った企画開発力や縫製技術の蓄積は、リミット全体のブランド力を大きく成長させてくれるものと確信しております。
更に子会社では今月、取材誌『クリーンスマイル』の続号を発刊いたしました。内容は、「二子玉川ライズ」の取材で構成しました。最新ビルメンテナンス業界の現状把握がテーマです。「二子玉川ライズ」は、ネットショッピング楽天が全面移転してニュースでも取り上げられ話題になりました。『クリーンスマイル』は、全国のみなさまに発送するのですが、個人様などからも、インターネットでの注文を多数いただいております。
市況が動かないなら、このように自ら動かしてゆくしかありません。その柱になる理念は、「いつの世も、働く女性たちに寄り添うブランドでありたい」ということに尽きます。
三、中国生産順調に推移
中国生産工場の方も生産計画通り、順調に稼働しております。経営形態は、リミットの独資工場です。中国国内での販売は全くありません。したがって、昨今の中国製造業不況などの直接的影響は全く受けておりません。
しかしながら、広大な中国市場の減速は、日本経済に影響を与えています。日本の国内総生産成長率は、二期連続で低迷しました。この状況下で日本政府は、「技術革新による事業創出」や「女性の活躍」などを政策として掲げています。これによって名目GDPを高めようとしていますが、具体案や持続性に乏しく、うまくゆくかは疑問符です。安易な財政出動がよい結果をもたらさないことは、現在の中国の状況を見れば一目瞭然です。
その中国も、今回の減速に対症療法的に対応するよりも、早く「新常態(ニューノーマル)」な状態に国を誘導し、持続可能性のある社会整備を優先させるでしょう。それによって日本は、一時的にデフレに戻る可能性があります。ですから日銀もただ追加の金融緩和に走ることなく、政府とともに新たな経済政策に本気で乗り出す必要性があると思います。
冷静に日本国内をみると、リーマンショック以降、今の状況が「新常態(ニューノーマル)」ではないかと思えます。市況が落ち着くまでの過程にいる、と考えてはどうでしょうか?活況を呈した過去と比較し、日々一喜一憂、右往左往するのではなく、新しい常態が固まるまでは動かず、じっくり世の中を観察することが、いま、最も大事なことだと考えるようになりました。そうすれば、目から鱗が落ちたように、見えなかったことが次々と見えるようになりました。そのうち、「あの不況はとてもありがたいことだった」と言える日が必ず来ると思います。
二〇一五年十月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
コメント
コメントを投稿