2015年 9月号



 一、深まる懸念、「極端気象」


 いつもお世話になりありがとうございます。

 先月末の台風が過ぎた後、残暑をあまり感じません。それは、私ひとりの感覚ではないようです。夏の疲れがのこるこの時期、毎年、厳しい残暑にうんざりさせられるのですが、今年は、美しい黄昏とともに秋風が吹いてきます。

 しかし、今月初旬にやってきた台風十七・十八号の大雨には、そんなのんびりしたコメントは通用しません。関東や東北地方に大規模な水害が起こりました。被害にあわれた皆さまには、心からお見舞いを申し上げます。

 地球温暖化によると思われる猛暑や豪雨など「極端気象」の脅威を、まざまざと見せつけられました。今後、日本ではこの「極端気象」への懸念が弱まることはなく、それに対応した防災設備や住環境整備を進めてゆくことが、緊急課題であるのは間違いないと思います。心して対応したいところです。


 二、常態化する変動に対応できるか


 早めに届いた秋の便りと共に、一気に秋冬物の出荷が加速しました。例年ですと、夏物の受注が引っぱり、ついで薄物長袖が出始め、その後に定番の秋冬物を出荷するといった順番なのですが、ここ数年は異常気象のせいもあり、春と秋が極端に短く、衣替えの前に羽織る商品が極端に売れなくなってきております。この変化は常態化するでしょう。

 今の勢いが来月いっぱいまで続くとよいのですが、スタートが早かったことが不安要因です。秋冬物の在庫は、一か月前倒しで中国工場から輸入して積んでおりました。これも受注日即納率を高める結果となり、受注残が急減しています。秋冬商戦は来年二月までの長丁場ですので、増産した在庫が計画通り受注─出荷となるのか、また、国内生産部門の従業員を五十六%増員しましたが、来春夏のクイック生産の戦力に育つかどうか、今から楽しみなことで一杯です。要するに、リミットの方針が常態化する自然の変動、社会の変動に対応できるか否か、が楽しみなところです。


 三、王道を行き、ワクワク商品を


 先月末にリミットお客様サービスセンターの担当者が、関東方面に市場調査に出かけました。二日がかりでお得意先を回り、いろいろと情報交換をさせていただきました。担当者は、「リミットさんは女性専用メーカーの草分けなのだから、時代を先取りした新商品をどんどん出して、我々をもっとワクワクさせてくれないと!」といったご意見がお客様から寄せられたと報告してくれました。

 九月のロイター短観が発表され、製造業がマイナス八ポイント、非製造業がマイナス四ポイントとなっています。株価も乱高下しております。景気の先行きに暗雲が垂れ込めています。八月の貿易統計をみますと、円安にもかかわらず輸出金額が減少しております。海外で日本製品が売れなくなってきているのです。

 こういった厳しい状況下でも、メーカーとしての王道を突き進んでいる企業はビクともしておりません。それは大企業であろうが零細企業であろうが、それは関係ありません。五里霧中の世界経済のもとで、中途半端な戦略の企業ほど、大変な事態になっていることだけは間違いないと思います。

 この度の市場調査では、「リミットは、働く女性が喜んで、長い間着ていただける服を、創造し続けることが使命である」と、お客様に背中を押していただけたような気がします。リミットは、王道を行くメーカーとして奮励を誓いたいと思います。



  二〇一五年九月二十五日

       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有木宏治

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