2014年 9月号



 一、防災と作業服、期待されるもの


 いつもお世話になりありがとうございます。

 たった一か月の間に、世界経済は大きく変化しています。加えて、人命を奪う豪雨や地震などの自然災害リスクが、ビジネスにも影を落とすようになっています。学者の中には、この百年間の平穏な地球が異常な状態であって、これからは、地球本来の激しい気候変動の姿をみせる時期なので、防災意識を強く持たなければならない、といった研究発表をしている方もいらっしゃいます。

 だとすれば、我々に何ができるのでしょうか?

 作業服は、生地や付属品も過酷な条件下で長年使用できるよう、一般衣料に比べもともと耐久性があるものです。万が一、日々の作業中に緊急事態が起き、作業服を着たまま避難したとき、体温を保ち、身体を危険から守り、高い視認性でいち早く存在の確認をしてもらえるような、より高機能な作業服開発が急がれる時代になったのかもしれません。制服業界に従事している私たちに対する潜在的な期待が、まだまだあると思われてなりません。


 二、消費増税、円安傾向に注視を


 いつもより早い秋の訪れを感じます。商戦も一気に秋冬に移行しました。今年は夏の追っかけを残しながら、秋冬商品を十分積込む前に出荷が始まった状況です。リミットはこの秋は値上げをしておりません。それが安心感につながったのか、月初めより順調に注文をいただいております。来年の消費税増税も気になるところですが、今のところ来年も値上げを予定しておりません。

 しかし、全体の経済状況は、今月に入り急激な円安に動いています。海外での調達コストが増大しているのは事実です。円安で日本の景気が良くなるのであればいいのですが、現実はどうなのでしょうか。貿易赤字は、先月で二十六カ月連続です。それなのに株価も輸入物価も上昇しています。加工を中心とした職場はどんどんなくなり、日本はあらゆる分野で空洞化が進行しつつあります。このままで日本の借金返済が可能なのか、心配になります。

 今後の為替動向によっては、仮に原価の高騰分を吸収する部門がなくなると、意に反して来年の値上げも検討せざるを得ないかもしれません。現実に、海外調達コストの上昇分を商品に転嫁できない中小・零細企業も多く存在しています。はたして生き残ることができるのでしょうか?


 三、順調な増産と在庫積込


 中国工場の増産も順調に進み、在庫の積込も徐々に増えつつあります。とはいえ、売上の増加と共に、生産計画の予測は月を追うごとに難しくなったのも事実です。生地調達も順延気味で、商品在庫のサイズバランスを崩し、納品をお待ちいただく商品も出始めました。今月末には、商品の輸送を船と飛行機両方で行い、お客様のご迷惑にならないよう全力を尽くしております。

 これからが増産効果を発揮する絶好のチャンスになります。働く女性に喜んで着ていただけるモノづくりに、リミットは全力投球してまいります。


 四、日系企業と福州で意見交換


 先月号でお約束した中国工場訪問のトピックです。

 半年前に訪問した時に比べ、従業員の縫製技術のレベルも見違えるように良くなりました。工場に入ると、大きなミシンの音が響いて、たくさんの製品群がラインを流れていました。福州工場として本格的な増産は、はじめての経験です。皆の士気も上がり良い方向に向かっていることを感じました。

 この度の訪中のもう一つの目的は、日本から進出されているある日系縫製企業からの訪問を受けるためでした。是非一度、リミット福州工場を見学し、意見交換をしたいという申し出があり、この度がちょうど良いタイミングでした。先方からは日本人の総経理、副総経理と中国人の営業担当の方、合わせて三名がお越しになり、こちらは私と総経理で、二時間ばかりお互いに意見交換をいたしました。話の中心になるのはやはり従業員の定着と人件費問題、為替を含めた製造コスト上昇という頭の痛い問題ばかりでした。

 先方は、リミットよりも数倍大きな工場で、中国進出も早くから進出された会社です。工場が大きくなればなるほど、管理の面でいろいろな問題が出てくることを私自身、勉強させていただきました。


 五、コピー・ライターの交替に際して


 今月からは、企画部門が、リミットの魂というべきカタログ作りを始動させました。印刷会社と会議がはじまり、社内がざわつき始めました。来年度新商品の決定もほぼ終わっています。今年も部門の枠を超え、カタログ製作の「チームリミット」が編成されました。

 「チームリミット」は、毎年、編成・解散を繰り返し、その都度成長してまいりました。そのメンバーのなかで、十七年間の長きにわたってご協力いただいた女性コピー・ライターさんが、「チームリミット」から卒業されることになりました。初めてお会いしたのは、右も左もわからなかった私が企画室長の助手として、商品撮影現場に同行したときでした。そのときのシーンが、昨日のことのように思い出されます。会議では時に厳しく、時に激しく、お互いが激論を繰り返してきました。その激論を経て、リミット制服の女性着用者に視点をおいて紡がれた至極のコピー・ワークは、今もカタログの中で優しく弾んでいます。

 「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。」

 新しいコピー・ライターさんを迎え、新チームリミットはこれからも皆様のお役にたつカタログ作りに邁進してまいります。

 長い間、本当にありがとうございました。



  二〇一四年九月二十五日
       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有木宏治


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