2014年 3月号



 一、東日本大震災の風化を懸念した地震


 いつもお世話になりありがとうございます。

 週末ごとに暖かさを感じる陽気になってまいりました。歓送迎会などでしょうか、街中の人出が増えていることが実感できます。消費税増税の対応と年度末の中、皆様はお忙しくされていると思います。

 そんな慌ただしい今月十四日午前二時頃、布団の中で激しい揺れを感じました。半身を起こした状態でしばらくは、身動きがとれませんでした。マンションにいるせいか、横揺れが大きく、棚に立てかけていた額が大きな音を立てて落ちました。時間にすればほんの数十秒だったのでしょうが、恐怖はただならぬものでした。

 揺れがおさまり寝床を飛び出し、すぐにテレビをつけました。伊予灘を震源とする地震が発生し、福山では震度四を記録しておりました。東日本大震災から三年目を迎えた直後だったので、もしやと不安がよぎりました。ふだんめったに地震の無い当地ですので、先日の地震をきっかけに枕元にはようやく懐中電灯を常備させることができました。三年前の教訓を風化させないことが、大事なことだと改めて感じた揺れでした。


 二、消費増税と大口、小口注文の狭間で


 増税前の駆け込み注文は、中旬からの陽気も手伝ったのでしょうか、月末に向かうほど増えてゆきました。リミットでは、三月中にご注文いただければ、出荷が四月以降でも五%の消費税を維持する旨をホームページや納品書でご案内しておりましたので、駆け込み注文が途切れることはありませんでした。そのため、秋冬商品には、品切れのサイズが出始めました。国内工場は、今月に入り、残業して注文に対応しています。

 この状況を反映して売上は、五カ月連続の増加です。内容を見ると、その大半が小口注文です。昨年と比べ、注文を頂くお客様軒数が増加し、小口の積上げが売上を押し上げているのです。来月から本格的に春夏物定番商品が動き出す見込みですが、やはり増税後の景気がどうなるか本当に心配です。

 今月は大口注文の案件もたくさん頂きました。しかし、最終的に決まらなかった案件もあり、案件を頂いた段階で確保していた在庫が、結局宙に浮いたケースが出ました。案件が不成約の場合、確保分が無駄になるケースは珍しくないのです。大口案件にはいろいろなご事情もあるとは理解しております。しかし一方で、繁忙期は小口の注文件数が集中します。大口案件の成否を早めにご連絡いただけたら小口注文をいただく多数のお客様のお役にたてたのに、大口受注と小口受注の狭間で痛感しました。

 これからの繁忙期はなるべく早く、本発注をいただけたら、限られた商品をできる限り多くの販売店にシェアできます。そして、その先のエンドユーザーに喜んでいただくことができます。これは、この仕事に関わるすべての人たち共通の願いだと思います。どうか、ご理解をよろしくお願いします。
 

 三、お荷物追跡システムと動画のご活用を


 今年は商品開発と同様に、より活用しやすいシステム構築にも力を入れております。繁忙期を前にシステム部門では、お客様から荷物到着の問い合わせが多いということで、リミットホームページ上に「お荷物追跡システム」を追加作成いたしました。出荷した商品が今どこにあるのか、いち早くご確認できますので大変重宝していただいております。是非ご活用ください。

 また、カタログ紙面上ではご説明しきれない特徴を、ピンポイントでご説明する動画作成も順次進めておりますので、是非、リミットのホームページまでアクセスしてください。


 四、ブランド価値を高める作業服メーカーへ


 十九日付、日経新聞のコラム「大機 小機」に、「原発再稼働と経常収支」という題目がでていました。「貿易収支が赤字になり、経常収支も赤字になった大きな原因が、原発停止による火力発電用の化石燃料の輸入増加ではない」という論でした。原発が再稼働すれば、経常収支が三兆円前後改善されるが、それは経常収支を底上げするだけで、経常収支のトレンドを変えるほどの影響はない、というのです。

 二月の貿易統計が八千億円の赤字と発表されていますが、輸入増加品目は自動車や半導体、電子部品などの完成品や部品が増加しており、輸出増加品目では鉱物など燃料となるものが増えております。この内容をみますと、かつての製造立国日本という姿はなく、いつの間にか燃料をどんどん輸出して、海外で加工された完成品を輸入する発展途上国になってしまった感がします。

 二十年前、私たちが作った作業服を着て、部品を加工・組み立てし、世界に誇る高品質製品を作り上げていた技術者たちは、一体どこにいってしまったのでしょうか?日本の産業構造が劇的に変化してしまった以上、発展途上国との低コスト生産競争の渦にどんどん引き込まれてゆき、日本人の収入がどんどん減ってゆくのもいかしかたないのかもしれません。それでもリミットは、作業服を創るメーカーとして、ユーザー企業のブランド価値を高めるため、技術力の更なる向上を目指さなければ、と改めて考えさせられました。


  二〇一四年三月二十五日

       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有木宏治

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