2013年 8月号



 一、気候変動と製品企画デザイン


 いつもお世話になりありがとうございます。

 酷暑が続いております。暦の上ではもう秋なのですが、ここ数年、秋を満喫した記憶がありません。春もそこそこに初夏を迎え、連日の真夏日のあとは長引く残暑。やっと涼しくなったと思ったらもう木枯らし一番、といった印象です。酷暑、猛暑のおかげで仕事が忙しくなり、嬉しい悲鳴の方々もおられると思いますが、本当に体調を崩しやすい時期です。今年ほど熱中症を意識した夏はありません。

 ところで、制服を作っている私たちは、働く人たちが少しでも楽に仕事に専念できるよう、酷暑に対応した新しい生地やデザインを開発する使命があります。急激に局所を長時間にわたって冷却することは、外気との内外気温差で余計に体調を崩す心配があります。また、吸水速乾や接触冷感も重要ですが、制服は着る人と見る人がいて成立するもの。見た目に涼やかなデザインや色も、重要なポイントだと思うのです。もうすでに来年の新商品を決定する時期となっています。このような気候変動が続くようなら、春夏・秋冬商品の在庫期間も含め、改めて機能やデザインを考え直す時期に来ているのかもしれません。


 二、品質管理、日中の相互理解へ


 お盆明け、八カ月ぶりに福州工場へ行ってきました。最近は悪化する日中関係のせいか福州へ往来する人が少なく、関空からの直行便は、水・日曜日の週二便に少なくなっていました。この度の訪中目的は、品質検査の重要性を相互に理解し合い、具体的な検査方法や日本での再検品で不良と判断したポイントの意識統一が大きな目的でした。中国で作ろうが、日本で作ろうが、リミットブランドの製品である以上、お客様に対してはリミットが一〇〇%責任を負わねばなりません。しかし、委託工場ではなく、リミットが完全管理できる独資工場でも、品質一つをとっても完全に相互理解をするには、それ相応の努力が必要です。耳にタコができるくらいしつこく繰り返し、品質管理の意味を伝えます。通訳を介しながらそのやり取りするのは、本当に根気のいる作業です。そして、そこをクリアしない限り、一歩も歩を進めることはできないのです。


 三、消費税率の変更と企業経営・生産


 リミットの今月はお盆の休暇もあり、一年で最も落ち着く閑散期です。売上のほうは横ばいでした。秋冬商戦を前に、年間カタログの追加希望を先月皆様にお聞きいたしました。今のところ昨年に比べ、カタログ追加要望の件数が少ない状況です。その結果、だいたいご希望通りの部数を追加でお送りできることと思います。追加の少ない理由は、はっきりとは解りません。春先に例年より多くカタログをお送りしたからなのか、紙面のカタログからデジタルなカタログへの移行が進んでいるからでしょうか? 

 このような状況下で、消費税率の引き上げには、懸念が生じます。先般公表されたGDP成長率はプラス二・六%でした。これだけ見れば先進国で一番となりましたが、住宅投資や設備投資、在庫投資などの企業分野で見ますとマイナスで、民間部門の景気はピークアウトの状態です。果たして経済政策は成功するのでしょうか。

 それでも、企業経営と生産の現場は、時の経過とともに求められる変化に対応し、時代の先端を見極め、行動することが求められます。税率の変更で経済がとのような方向に進もうとも、時代の流れをいち早くキャッチし行動することが、リミットの業界における存在価値であり、本当に大切なことだと改めて痛感しております。


 四、天の時・地の利・人の和


 私事で恐縮ですが、この夏は週末ごとに野球漬けの毎日でした。三か月間の短い期間ではありましたが、次男が通っている小学校の子供会ソフトボールチームの監督を任され、一年生から六年生の子供たちと暑い夏を過ごし、真っ黒に日焼けいたしました。私の中学三年の長男のほうも、豊橋で行われました全国中学校軟式野球大会に見事出場し、貴重な経験をさせてもらいました。私自身も子供たちに多くのことを学ばせてもらいました。野球チームも企業も、勝利という目標を持った同じ組織体です。勝ちを掴むには、「天の時・地の利・人の和」が大事だということを改めて痛感した夏でした。


  二〇一三年八月二十五日

       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有木宏治

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