2013年 4月号
一、大切なのは無になる時間
いつもお世話になりありがとうございます。
初夏を思わせる陽気になりましたが、天気はうつろいやすく、週末に激しく崩れてしまうことが多いように思います。最近では爆弾低気圧という言葉を聞いても驚かなくなりました。
今この瞬間に、世界中で起きた事柄を、日本の広島県福山市の、さらにまたその片田舎の路地裏を歩きながらでも知ることができる現代。私は、人間が世界中で生起する経済や自然現象などの驚異的な出来事に翻弄されているような気がします。膨大な情報が行き交うインターネット社会が広がれば広がるほど、誰もがその情報にアクセスしているので、詰まる所大切になるのは、情報量の問題ではなく、いかに高い意識を自ら維持し続けることができるか否か、かもしれません。
逆説的に言うと、一切の情報を遮断してしばし沈思黙考、無になる時間が本当は大切なのかもしれませんね。
二、「現場が考える」をテーマに
四月の販売状況ですが、先月後半から気温の上昇とともに、日を追ってまとまった注文が入るようになりました。それでも天気の具合で受注件数の少ない日もあり、現在の株価のように一本調子の右肩上がりというわけにはまいりません。受注内容を分析すると、まとまった注文で底堅いのは、やはり定番商品です。これは、従来ユニフォームの不足分を追加していただいているからだと思います。
新たな傾向は、サービス業向け商品のラインアップに動きがでていることです。新規の問い合わせや見本の請求も多くなっているのは、黒を基調としたb×Cシリーズがよく出ています。
来月より、リミットの企画研究所のスタッフを増員し、商品動画の撮影をはじめ、発信する商品情報量の強化をします。新商品についても、機能、スタイリッシュなデザイン、品質において定番に負けない製品を開発してまいります。例えば、「現場が考えるエプロン」をテーマに、現場が企画した商品の開発に力を入れております。
販売成績が上向いてくれば、それに連動して生産現場も活気づいてきます。目的品質を保ちながら、更なるリードタイムの短縮にこれからも挑戦いたします。
三、進む円安に効果的対策
日本銀行による「異次元の金融緩和策」により、需要は拡大してゆくのでしょうか?円の価値が下落することは、リミットにとっては輸入コストの増大に繋がりマイナスです。
一方、輸出企業にとっては輸出が増え、為替差益によっても利益は増えます。設備投資が増えて経済が上向くというのが日本銀行の狙いです。しかし急激な円安は物価上昇圧力を高めます。これに消費増税が重なれば、インフレ率は一気に上昇する可能性があります。長期金利は、大量の国債買い入れにもにもかかわらず、反転する恐れがあります。貿易赤字も恒常化してきております。そしてすさまじい勢いで進む高齢化も考慮しなければなりません。家計貯蓄率の低下による資金不足が明らかとなれば、二%のインフレになる前に金融危機につながるかもしれません。
こうした状況でリミットにできることは、政府・日本銀行の経済政策で予想されるリスクを踏まえてどう対処してゆくかです。リミットでは今月に入り、今後の更なる円安を考慮し、中国での加工賃半年分のドルを前もって調達いたしました。作業服業界を取り巻く環境は、今後一気に商品値上げへと変わってゆくでしょう。
四、企業文化と哲学と
リミットのIT化の歴史は、オフコンによるシステムから、パソコンのみでネットワークを構築するシステムへの切り替えに成功したことに大きな意味があります。近年、スマートフォンの急激な普及により、パソコン端末の出荷が著しく低迷しております。こんどは、スマートフォン端末に対応し、ユーザーコミュニティーをいかに創造してゆくか?そのための情報戦が非常に重要だと思います。
情報戦を制する最も大事な要素は、企業文化だと私は考えます。発信するコンテンツやその裏付けとなる哲学がなければ、価格競争に巻き込まれるだけです。企業を組織としてならしめている根幹がしっかりと全社的に意識統一されていなければ、これからビジネス界は、ウェブ世界だけでなく、実店舗でも生き残ることが難しい社会になると思います。
二〇一三年四月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
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