2013年 1月号
一、再起にふさわしい年へ
今年もよろしくお願いいたします。
いよいよ二〇一三、巳年がスタートしました。今年は、遷宮の当たり年です。伊勢神宮は二十年に一度の、出雲大社は六十年に一度の遷宮があり、私たちにとっても再生や再起がイメージできる年ではないでしょうか。昨年末には政権が交代ました。新政権は、デフレ克服へ日銀がインフレ目標を設定するよう強く求めています。日本が本格的にどんどん変わっていくことを期待したいと思います。
パラダイムシフトが叫ばれてはや数年。過去を引きずりながらの「変化」は、遅速で不明瞭でした。だから、変化を恐れる者も何となく生き残ってこられました。これからは、いよいよ加速度的に自ら変化した者と、変化しなかった者との差が、輸入インフレと消費者物価の高騰により、さらに鮮明に、明確に、現れてくることでしょう。
「時代に乗り遅れてはならない」と、はやる気持ちを抱えつつ、今年も出雲大社へ参拝いたしました。その道中、今では珍しくなった一畑電鉄の厚くて固い切符に鋏を入れてもらいました。そのしっかりと刻まれた鋏跡を凝視したとき、これからのリミットの進むべき道を啓示してくれたような気がしました。
二、新時代、中国との共存共栄は?
昨年、師走のあわただしい中、一年四カ月ぶりに福州宏正工場に行きました。もう少し早い時期の訪中を予定していたのですが、突然領土問題などが起きた関係で、タイミングを見計っていました。胡錦濤氏から習近平氏を中心とする政権交代直後から、反日運動が沈静化したのを機に訪中したわけです。中国も複雑な問題を抱え、習政権が本格的な改革を実行してゆくのには、しばらく時間がかかりそうです。
この数十年で中国では何が一番変化したか、と総経理に質問すると、中国のネット化を挙げてくれました。これまでの政権は、世論に耳を貸すことなく一党独裁で計画実行を速やかに進めてきました。しかし、インターネット社会がこの現実を大きく変化させました。中央集権の政府も、もはやネットによる地方国民のつぶやきを無視できなくなった、ということでした。これには私も妙に納得してしまいました。
総経理との董事会では、懸念していたコスト上昇について意見交換しました。今期については、前期に工場利益が出ているので、現状の工賃で運営できるという話で安堵いたしました。中国工場の経営は、総経理に一任しております。リミットと福州工場は、常に対等のパートナーシップを重視しています。つまり、どちらかがどちらかを管理監督するのではなく、その場面で、事情に精通した方が情報を提供し、お互いの利益を考え、よりよい選択ができるようリードするのです。一方が他方を管理する時代は終わりました。これからはお互いの長所を生かしあい、共存共栄でリードする時代なのです。そのためには、絶え間ない学習が重要です。これからさらに広がってゆくネット社会の中で、他者と協力し、リードしてゆくことの重要性を、再認識いたしました。
三、メーカー受難の時代を生きるために
元旦の新聞で「自作・自販の時代到来」と大きな見出しが目に入りました。ネットや3Dスキャナーなどの普及により、個人がモノづくりをし、それを自ら販売できる時代になりました。つまりリミットのようなメーカーと、個人が対等勝負する時代の到来です。メーカーとして誇りを持ち、より高度で安定した品質のモノづくりへ挑戦してゆかなければ、ユーザーは自分の欲しいものを、自ら創って使用してしまいます。メーカーとしては、本当に恐ろしい受難の時代がやってきました。このことを前提に、リミットも未知の世界に向かって、投資を継続しております。
まず生産・物流です。中国工場をこれからもリードできるよう、今年は技術研修などに積極的に参加し、メンバーひとり、ひとりの技術力向上を図ります。物流のスタッフには携帯端末を持たせ、製品・仕掛の入出庫作業の合理化を図ります。生産計画と連動したより効率的な在庫管理を徹底します。
次に企画・販売では、すでに日本人の三人に一人が持っているというスマートフォンを活用した、ユニフォーム業界初の新カタログを発刊します。その目的は、ITを活用して、ユーザーとの新たな接点を見出すことです。これにより、未開拓の市場で商機を広げ、販売代理店との新たな協調を探ることに期待がもてます。これまでのカタログと違い、商品詳細を動画配信し、従来の限られた紙面上だけでは説明しきれなかった機能や用途を、余すところなくユーザーにお伝えできます。
この画期的な訴求方法を実現するため、昨年よりリミット新市工房の二階を、撮影スタジオに改築しました。「ジャパネットたかた」ではありませんが、これから随時、商品動画の撮影を進めてまいりますので、今後のご活用を、よろしくお願いいたします。また、ご要望等もお寄せください。
本年も誠心誠意、ユーザーに向き合いましょう。
二〇一三年一月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
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