2012年 11月号




 一、リミットにとって安定の一年


 いつも大変お世話になり、ありがとうございます。

 二〇一二年も残すところあと一か月となりました。内外で問題が噴出しましたが、リミットにとっては大変充実した一年になりました。顧みて、皆さまに大変感謝いたします。

 「企画・生産・販売」のうち、「生産」については、国内工場でのクイック生産を含め、生産計画通り安定いたしました。昨年、生産力が上がらずご迷惑をおかけした中国福州工場は、多品種少量生産にも慣れ、安定した実績を残しました。

 三月に実行した十七年ぶりの値上げも皆様のご協力のもと、販売に影響なく順調に移行できました。リーマンショック時に急降下した業績も徐々に回復し、五年ぶりの新システム入れ替えの投資も順調にいきました。
 さて、この一年は、皆様にとってどんな年だったでしょうか?


 二、リミットと販売店の普遍的関係


 いよいよ来年は、「企画・生産・販売」の「販売」の年です。リミットは長年、「女子作業服」を企画し、全国の販売店に「通信販売」する、という差別化戦略を徹底してまいりました。通信販売とは言え、ユーザーに直販するのではなく、販売店を通しての間接通販という形態です。
 その最大の理由は、企業が制服を購入する場合、そこには人が介在し、様々なサービスを提供しなければならないからです。そこでエンドユーザーへの販売サービスは販売店の皆様にお任せし、リミットは販売店の皆様へ、システムを駆使した通信販売に徹底しました。どんな時代になろうとも、売り手と買い手の間のサービスが根底にあり、モノはただその間に介在するだけです。これはリミットにとって、普遍的な関係です。


 三、スマートフォンでの受発注開始


 リミットはコンピュータを駆使し、販売店の皆様にいかに速く、いかに正確に、必要な情報とモノを提供するか、だけを考え、これまで邁進してまいりました。情報化社会はよりグローバルに高速に、IT技術もさらに進化を続けています。今ではタブレットやスマートフォンなどの登場により、会社にあったPC以上の性能をいつでも手軽に携帯できる時代が到来いたしました。

 この進化により、リミットが皆様に提供できる情報は限りなく広がります。来春の新カタログからは、スマートフォンによる発注システムをスタートさせます。また、今まで総合カタログの限られた紙面上では商品スペックしか提供できなかった商品情報を、さらに詳しく、エンドユーザーが選択しやすい形で皆様にご提供できると思います。

 今後においてもIT技術はどんどん進化し続けるでしょう。リミットは女性が笑顔で働く服の開発と、販売店の皆様がエンドユーザーに安心して販売できる環境を、インターネットを駆使し、リアルタイムでご提供し、今後も共存共栄をさらに強化すべく邁進してまいります。


 四、時代に適応し迎合せず


 国会が解散し、選挙モードにまっしぐら、何かと気忙しい師走がさらに落ち着かない様相です。政治家の金融緩和発言に、為替や株価が敏感に反応を繰り返します。日本の長期デフレ状態は、本当に失われた二十年なのでしょうか?過去の高度成長期を経験してきた人たちからすれば、「失われた」と表現するのが妥当かもしれませんが、バブル期を経験していない私からすれば、今日の状況が当たり前で、金融政策による仮需で高揚を煽るアメリカのほうがどうも胡散臭く感じます。

 ピークを過ぎれば落ちるのは世の常。世界に先駆けて低成長時代に突入した日本は、逆からいえば先例がない分、フロンティア精神で挑戦できるのではないでしょうか。まさに時代は量から質への転換点です。インフレもデフレも行き過ぎた結果でしかありません。リミットの精神は、時代の流れに適応しながらも迎合することはありませんでした。

 仮需要で需要を煽り、バブルを起こし自滅の道を歩むことなく、自らのバリュープロポジション(自社しか提供できない価値)を磨き、コツコツと実需のみをベースとした堅実経営を続けてゆくことが、来年のリミットの目標です。
 少し早いですが、よいお年を。


  二〇一二年十一月二十五日

       笑顔着
       リミット株式会社
       代表取締役 有木宏治

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