2012年 8月号


 一、主体的に決定する働く女性


 いつもお世話になりありがとうございます。 

 このたびのオリンピックロンドン大会の成果に接して、本当の意味で「女性の時代」「絆の時代」の到来を痛感しました。ちょっと手前味噌ですが、この意味でリミットの企業理念が当を得ていると、うれしく感じました。また、まだまだ開発してゆかねばならない分野が無限にあることも確信しました。皆さまは、オリンピックから何を感じ取られましたか。

 さて、お盆を過ぎても、相変わらずの猛暑。現状では夏物の注文が主体で、秋冬物に切り替わるのは九月後半ごろになるでしょうか。目立つ夏物半袖商品の動きに加えて、ここにきて結構長袖の薄物も動きがよくなってきております。夏の屋外作業、女性特有の「日焼けで黒くなりたくない」といった心理から購買意欲が湧くのかどうかは分かりませんが、とにかく商品はよく動いております。

 また最近ますます、制服の多様化傾向が鮮明です。例えば受付はベストスカートで、軽作業部は薄手の定番、研究部は制電素材の七分袖のロングジャケット、といった具合に、同一企業内の作業種別に最適な制服を選択し、リミット独特のパステルカラーで統一感を演出する、といったケースの受注も増えてきました。単一商品だけの同調から、色味による同調、小物・重ね着アイテムによる同調など、女性の感性と主体性を生かしたバリエーションに富んだコーディネートの多様性には新鮮さを感じます。働く女性は、あらゆる分野に進出しております。そして自己主張をしています。


 二、変化の先取りへ、態勢の再構


 夏の休暇中に東京銀座に行きました。特に目的があったわけでもなく、ぶらぶらと百貨店巡りを楽しんだわけですが、ファストファッションの台頭に本当に驚きました。銀座の目抜き通りで、坪単価で計算して、何着販売すれば採算がとれるのだろうか、と勝手に心配してしまいました。しかもエスカレーターで階を移動すれば、海外の高価格帯の最新ファッションブランドが陳列されています。これが多様化の極致だと妙に納得してしまいました。個人がそれぞれの価値観や嗜好にあわせて買い物をして、百貨店もその傾向を先取する新しいサービスを提供していかなければならないのでしょう。

 翻ってわが業界ですが、海外での大量生産により価格競争が激化し、家電業界の二の轍を踏むのか?ますます商品のコモディティ化は加速し、業界存続を危惧する事態になりはしないか?など、不安要因が次から次へと市場では生まれています。残念ながらリミットは、こういった市場全体の流れを食い止める力はありません。

 しかし、ユニフォームとは何か?を追求し、業界内での横のつながりを強化・連携し、絶えず新しい付加価値を提供することは可能です。そして高品質の商品を必要なときに必要なだけ即応するシステムの構築も可能です。そうすれば次のステージでの存続は可能だと考えています。

 私が銀座を楽しんでいる真っ最中、リミットでは、サーバーを中心とした基幹システムとクライアントパソコンのバージョンアップなど、ハードの総入れ替えを完了いたしました。これは、次のステージで私たちが存続するための投資です。投資金額は高額になりましたが、ツイッターやフェイスブックの力で、国家が転覆する時代です。リミットブランドの進化のカギは、エンドユーザーが握っています。時代がいくら変化しても、それを先取りするように常にシステムを再構築し、リミットも変革を続けてまいります。


 三、閉塞感を打破するために


 最近のニュースには、地球規模での変化や、国家体制の変容を感じない日はない、と言えるほど情報が溢れています。この認識は、私がそれらを意識する立場や年齢になったからではないと思います。インターネットの普及により、膨大な量の世界のニュースが、世界の隅々からやってきて、それに瞬時に触れる機会が増えたからなのでしょうか?

 ただ、そういった大きな変化の中では、簡単に賛成や反対という二項対立的な思考だけでは割り切れない問題が数多く含まれています。たとえば尖閣諸島の領有権問題などは、お互いがナショナリズムを先鋭化すればするほど、問題が複雑になり、拗れてしまうような気がします。世界を見渡すと領土問題や民族問題は、紛争地域で当事者双方が熱くなったばかりに、血で血を洗う悲劇に見舞われた国や地域がほとんどです。

 企業は、この多様化し危機と隣り合わせの時代のそのただ中でビジネスを展開しなければ、生きられないのです。また人々の生活も成り立ちません。それがグローバルな社会だから仕方のないことだと思いますが、それならそういった社会に対応するために、今までの画一的な社会の基盤を壊して、もっと自由な発想をもとに、一から作り変えていくくらいの気概がないと、すべてがうまく機能しないような気がします。

 現代社会は、人々が閉塞感を抱えています。それを払しょくするには、従来の考え方では不可能です。もっと柔軟な思考で、いろいろな意見を収集しながら、自分自身が絶えず積極的に変化するバイタリティーが必要なのではないでしょうか?


二〇一二年八月二十五日

笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治

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