2012年 7月号




 一、変容の時代、リミットの課題は?


いつもお世話になりありがとうございます。

梅雨が終わるかと思うと局地豪雨、そして急激な酷暑の夏到来です。九州北部各所で豪雨による甚大な被害が相次ぎ、お客様の安否に気を揉んでおりましたが、リミットからのファックスによるお見舞いが未達のお客様は皆無で、皆さまご無事で安堵いたしました。一方、北海道や東北では、低温注意報が出されるなど、どうも普通ではありません。

豪雨から猛暑へ、すなわち「極から極へ」の自然界の変容は、私たちに何を問いかけているのでしょうか?そして、寒暖の差が激しく労働環境の著しい変化、働く女性たちの快適を支える衣服を提供しているリミットのこれからの課題は、一体何でしょうか?


 二、在庫増で値崩れ、値上げは何だった?


この七月は、中旬まで長雨による低温が原因で、先月の低調な販売の流れを引きずり心配しておりました。梅雨明けと共に、再度見本出荷が増えはじめ、受注状況も日を追うごとに改善されました。結局、出荷ベースでは昨年に少し届かないところですが、大幅に回復しました。最近は夏物も九月になっても受注が継続する傾向があります。夏物在庫は六月の不調もあり、まだ残っています。在庫状況に照らして、国内工場でのサイズフォローを機能させて、来期まで持ち越さない努力が生産計画の腕の見せ所です。

今年はどのメーカーも驚くほど在庫を積んでいると聞いています。生産コストの問題から現在では、国内生産が激減しています。ところが、海外生産のコストもじわりと上昇する傾向にあります。その状況を意識し、そして昨年の商品不足の経験をふまえ、前もって今年用のコストの低い商品を生産し、在庫を切らさない努力をされているのだと思います。しかしいくらコストの低い在庫でも残ってしまえばコストカットの意味がありません。それだけ資金負担になってしまいます。それに無原則的な海外生産では、どこの工場も同じ時期に受注がピークを迎えます。そうなると海外工場は当然、足元を見てきます。

そしてここにきて、売上減の在庫増を恐れ、掛け率変更による値崩れの兆候も出始めていると聞きます。投げ売りの様相です。もしそうなら、これまで販売店が苦心してエンドユーザーに説明し、ようやく納得を得てきた値上げは、一体何だったのでしょうか?自己都合だけで、相手を振り回すだけ振り回す。どこかの政党のやりかたのようです。


 三、真のコストダウンは「安定」

 
一方、去年の生地生産が逼迫した経験から、アパレルでは今年は仕込みを十二分にして、既に製品在庫が潤沢に残っているため、生地発注も製品輸入も激減しております。一部の紡績では去年との反動があまりにも酷いので、これから生産調整のため、工場の休日を増やし、結果的に既に発注済の生地生産のリードタイムが長くなるというのです。どうしてこのようなことが繰り返されてしまうのか?年間生産計画というものはないのでしょうか?「足らないから積む、残ったので押し込み販売をして積まない」こちらも「極から極へ」の繰り返しです。過去から学ぶことはないのでしょうか?

生産は一定量が長期間続いてこそ、品質の安定やコストダウンが可能になるのです。市況に振り回され続ければ、必ず疲労して問題を起こし、結果的にお客様にご迷惑を掛けてしまいます。受動的対策ではなく、主体性を持った能動的対策を業界として推進してゆかねば最後は体力勝負になるだけです。


 四、中国生産信頼への確信


今月の梅雨明け前の三日間、福州工場の総経理が来日しました。日本の新聞では、中国経済の低迷について連日記事が載っています。しかし、直接総経理と話をしてみると、中国は広くてそれぞれ地域特性があり、一括りにできる話ではない、ということが解ります。沿岸部と内陸部の差も依然として大きく、改めて直接情報を得ることの重要性を痛感いたしました。

一段の品質向上を目指し、日本の生産現場と意見交流を続ける総経理の真剣な眼差しを見て、リミットの生産は来年以降も絶対に大丈夫だと、確信いたしました。


二〇一二年七月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治

コメント