2012年 6月号
一、勇気と希望の一助として…
いつもお世話になりありがとうございます。
カラ梅雨を心配していたら突然、この時期としては珍しい進路をとった台風四、五号が襲来し、各地に被害の爪あとを残してゆきました。皆様のところは大丈夫でしたか?最近では、リミット通信を書くとき、異常気象に触れるころが多くなりました。それは天災というどうすることもできないものに対する恐怖心なのでしょうか。昨年の東日本大震災があまりにも甚大で、いつも心のどこかに不安があるのだと思います。
心配なのは、天災だけではありません。ユーロ圏で起きている経済・金融問題も次から次へと発生し、日本経済へ与える懸念も深まる一方です。こうした恐怖に慄きながらの生活は、結局負の連鎖を増長するようです。こんな時こそ、小さな努力を積み重ね、経営者にも働く人たちにも勇気と希望をもっていただけたらなと、感じる毎日です。私たちの天職であるユニフォーム製造がその一助となれば、とも感じます。
二、さらに予測精度の向上目指して
商況は、五月に一気に皆様のもとに出荷できた分、この六月中旬からは受注も落ち着いてまいりました。昨年の六月は、四、五月の溜まった受注残を一気に出荷しましたので、売上金額も一気に増加した。今年はその反動で受注残が少なかった分、昨年同月比で出荷枚数は下落しました。それでも定番を中心に受注が先行しておりますので、七月以降の受注残が徐々に増加してきております。
今夏受注の特徴としては、ここしばらく低迷していた今どきの表現でいう鉄板の定番半袖などに注文が集中し、薄手の長袖などは逆に十分残っているような状況です。これから本格的な梅雨の肌寒い日が続けば、このあたりの商品も動き始めるのではないかと期待をしております。生地替えなども影響し、在庫積み込みに時間を要した商品などは、今なお一部入荷待ちとなっているものもあります。これは、来期生産計画の反省点となり、今後の課題も明確になりました。八月の新システム導入を機会に、生産計画では商品分析を更に深耕し、分類項目を増やし、予測精度向上を図ります。
三、働く意味と商品価値の本質
日本を代表する家電三大メーカーも大きな損失を抱え、転換点を迎えております。自社製品の製造にこだわり続けたことが、世界的な競争に乗り遅れた原因だとする論評もあります。しかし私はそうは思いません。それよりも大事なことは、使用者と対話をし、本当に欲しいと思えるものを、独自開発してゆくことのほうが大事だと考えるからです。すぐに結果は出ないかもしれませんが、オンリーワン商品を持つことは、独自の成長戦略を持つ上で欠かせない条件だと考えます。一から開発してゆくところに企画の苦悩と喜びがあります。製造者には、使用者に対して価値の伝道者としての使命も生まれるわけです。
先般、シャープと提携した台湾の鴻海精密工業では、労働環境に耐えられず自殺する工員が続出し、暴徒化した一部従業員によって一時操業停止に追い込まれたという記事を読みました。同じようなことが以前アップルの委託工場でも続きました。製造者が、自ら組み立てている製品を手にした使用者の喜ぶ顔を想像しながら仕事に従事していたなら、ここまでの悲劇は生まれなかったと考えます。大量購入、大量生産による価格競争力も大事ですが、本質のところを理解しておかないと大変なことになります。
先週の日本経済新聞に、「二〇一二年上期のヒット商品番付」が出ておりました。どれをみても、ひとつ上の価値を感じさせるモノばかりで、既存分野を磨きに磨き、トガッタ感があります。長いデフレの中、ふと気がつくと価格競争に巻き込まれてしまいがちですが、それでは突き抜けた商品は開発できません。モノのありふれた今だからこそ、メーカーとしてもモノづくりの機能的価値と目的的価値の二つをよく吟味した製品開発を心がけたいと思っています。リミットでも失敗をおそれず、高い価値ある商品の創造に挑戦していくことを改めて重視するよう話をしております。
昨年新商品として出した「風ぬける脚長パンツ」も、夏場のアクティブワークで涼しさをいかに実感してもらえるか、を課題として商品化しました。節電が大前提のこの夏一押しの商品ですので、ぜひ見本をご請求ください。
四、ユーザーから学ぶために
リミット作業服とは異なる別ブランドの話で恐縮ですが、今月の末、横浜のパンパシフィック横浜ベイホテル東急で、二日間にわたり「リフィンメッセ in 横浜」というエンドユーザー向けの学びの集いを開催いたします。
リミットのこういった取り組みは、日々実際の現場でご活躍されている女性の方々にとって、少しでもプラスになる情報を提供する場です。そして今後の商品開発において参考となるご意見やご要望をお聞かせいただく場としても力を入れている行事です。オンリーワン商品を開発するには、エンドユーザーとの価値観の交換と共有が重要だと考えます。それを実現するためにそれ相応の企画開発費を継続して投入してゆくことの重要性を、あらためて感じております。
二〇一二年六月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
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