2011年 6月号
一、多品種少量生産の功罪
いつもお世話になりありがとうございます。
ここ広島では先月下旬には早々に入梅となり、週末は雨が多く、スッキリしない天気が続いております。しかしながら商況は六月に入ってからも、春夏物の受注量は衰えることなく月末を迎えました。昨年は中国工場の立ち上げで生産が遅れ、受注残が溜まっていくばかりでしたが、今年は定番を中心に在庫が計画通りに消化されております。ただ、節電の影響からか昨年まで注文の少なかったポロシャツなどを中心に、幅広い商品に注文を頂いており、昨年ほどではないにしろ、六月中に大半が消化されるはずだった受注残が消化しきれておりません。この原因の一つ目は、生産効率化のため、計画的に生産を減らしている商品にも注文が殺到したという背景があります。今までの販売実績から、計画的に廃番に移行する予定商品もあります。
お客様のご迷惑になるべくならないよう、廃番予定のものはカタログや受注窓口、WEB等でアナウンスするようにしておりますが、生地がある限り、リミットでは注文にお応えしております。今年はこれまで販売実績の少なかった商品も多数動いておりますので、国内工場の生産スペースは早い時期から一杯になり、お客様にはご迷惑を掛けることとなりました。原因の二つ目は、紡績での生地上がりの長期化があります。定番でも品番によっては、例年の二倍納期がかかっているものもあります。ユニフォーム業界の急激な回復の影響もあるとは思いますが、紡績の生産体制の変化も大きく影響しております。リミットの場合、多品種少量生産ですので、必然的に生地の種類も多くなります。今年は状況を鑑み、早め早めに発注をしてきたのですが、こちらの思惑通りにはなかなか進みません。一枚の制服を製造するということが、いかに数多な工程を経て成し遂げられるか、震災の車生産ではありませんが、改めて生産の難しさを痛感いたしました。本格的に暑くなる前に納められるよう、海外はエアーで、国内の二工場は残業しながら頑張っております。何卒、今しばらくお待ちくださいますよう宜しくお願い申し上げます。
二、原材料に異変その懸念払拭に向けて
中国、国内での計画生産体制がしっかりと出来上がり、人材も次第に育ちつつあるリミットにとって、安定した原材料の手当ては非常に重要な問題です。縫製も物づくりの拠点が海外に移転して戻ってこないように、原材料の手当ても同じ道を歩んでおります。今後ますます、糸と機は生産地が分離し、糸は原綿を売ることで儲け、国内での一貫したデリバリーは困難になっていきます。機と染と仕上げは一貫した管理のできる現メーカーの役割として、商社との垣根は今後ますますなくなってゆき、生地メーカーや商社がOEMとして川下に下りてくれば、小売の形態もますます変化してゆきます。物の流れが変化すれば、必然的に生産ロットや品質も変化して参ります。今一番困っていることは、ここ一年の間に現在流通中の生地が、糸の生産を中止したり、染料が海外に変わり色が合わなくなり、生地そのものが生産中止になるものが一部出てきていることです。生地メーカーも生産を海外に移転した場合、生産ロットの小さなものは合理化により中止します。当然事前に連絡はあるのですが、丸一年かけて他メーカーで準備しても、以前のそのものズバリの色はなかなか出せないのが現実です。リミット配送センターのほうでは、なるべく製品の色目を合わせて、デリバリーするように対応しております。それでも色ブレによりお客様にご迷惑をお掛けする場合もございますので、リミットでは今後、生地が他メーカーに変更して、かつ色ブレなど懸念材料がある場合は、リアルタイムに対応できるリミットWEB在庫情報のほうで、品番ごとにお知らせして参る所存です。すでに生地納期が掛かっている商品に関しましてはWEBに載せてありますのでご参照ください。何卒、販売店の皆様も、現時点で提供しております正確な情報をWEBでご確認いただき、今までの追加注文商品で、生地変更後の色ブレ懸念の場合は、見本を一度、御引取りいただき、エンドユーザーにご確認のうえ、本発注してくださいますよう、重ねてお願い申し上げます。
三、結束してバリューチェーンで変革を
原材料の流通が世界的に変化する中、多品種少量生産体制を貫くリミットにとって、今後どのメーカーと取り組むのか?生産の拠点はどこで、どう作るのか?といった課題は、非常に重大な決断を迫られます。今、一番大事なことは、川上から川下まで一貫したバリューチェーンで結ばれた各段階が、価格・品質・安定供給について、業界を挙げて、エンドユーザーに誠実に対応してゆかなければ、物づくりの根本から変えなければならない状況になるかもしれないということです。先日の日経新聞に米ヒーレット・パッカードが、日本向けに販売するノート型パソコンの生産を、中国から東京都内の工場に全面移管する、という記事が載っていました。人件費は高いが、生産効率の向上と納期圧縮により、採算を確保しながら販売台数が増やせると判断したそうです。震災から百日が過ぎ、人々の購買意識は確実に変化しました。この状況で、やはり働く女性の制服は必要とされていることが改めて証明されました。リミットは昨年、中国に独資工場を創りました。海外では今秋冬は在庫の積み増しをします。そして今年は、今秋冬で国内工場増強に投資します。生産効率化のため品番圧縮をしながら即納を可能にするためには、国内工場の人員を増やし、クイック生産キャパを増強いたします。今後のリミットにご期待ください。
二〇一一年六月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
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