2011年 5月号
一、気がかりな夏
いつもお世話になりありがとうございます。
ここ広島では連日初夏を思わせる陽気になりました。節電が求められているので、今夏の暑さが気がかりです。
被災地もこれから本格的な夏を迎えます。蒸し暑くなれば避難所で生活される方々の健康面も気にかかります。政府が発表した被災地支援が予定通りに運ぶことを祈っております。
一方の東電による原子炉停止への工程は、事実の発表が後手後手になり、計画通りに進むのか懐疑的です。先日、被災地にボランティア支援に行かれた方のお話を直接聞かせていただきました。仙台空港に降り立つと、本当に何にも無くなっているそうです。そのありさまに、ただただ泪が止まらなかったとおっしゃっていた言葉が、今も胸の奥に残っております。
二、小口受注に活路を
五月、春夏最盛期も終盤になりました。中国の独資工場も順調に増産しており、生産計画どおり推移しております。売上も順調に伸びておりますが、生地供給がもう少し短納期で、受注品番がもう少し狭まって固まれば更に飛躍できるような感じを受けます。しかしそれは昨今の情勢から考えれば贅沢な悩みで、効率は少し悪かろうが小口注文を沢山いただけることが、リミットにとってはありがたいことだと改めて感じます。
先般、ある販売店の社長とお会いしました時、「昨今の商況は低調で価格が特別安ければ別だが、リピート追加が主で、新規買い換えは非常に少ない。下手に営業すると買いたたかれる場合もあり、営業に行くのが怖い」とおっしゃっていました。“営業に奇策無し”エンドユーザーとの普段の信頼構築が基本だと改めて感じます。リミットは通信販売ですが、月に一度は必ずリミット通信にて現状をお伝えしております。同封する製品情報にも工夫を重ね、販売店に訴求する情報と、エンドユーザーに訴求する情報をしっかり区別してお知らせできるよう努力いたします。
リピートの小口追加が増えており、ご注文品番が多品種にわたっております。そのために生産計画は進捗にいつも以上に神経を使っております。中国からのエアーも駆使して対応しておりますが、現時点で受注残が昨年比二十%増えております。昨年は生産体制が不十分でしたので、その後の六、七月と受注残が増加し続けました。今年は現在の注文残は六月上旬には大半が消化するものと思われます。昨年対比で在庫金額も計画的に増やした生地在庫以外は減少しており、借入額も減少し、次の行動を起こすことがいつでもできる体制にあります。
三、今、秋冬物まで現価格維持
今、一番気がかりなのは販売価格のことです。生産資材の値上げによるコスト増は、現在のところなんとか吸収できております。しかし、海外のインフレを背景としたコスト上昇は今後も待ったなしです。
リミットでは、今年の秋冬は販売価格維持をいたします。しかし現段階で来春夏の価格維持ができるかどうかはまだ結論が出せない状況です。情報ではワーキング業界を含めた大半のアパレルメーカーではこの秋冬で、値上げが実施されると聞きました。リミットは、女性物で国内生地にこだわるあまり、リミットの商品は価格が高い、というイメージが一般的だったと思います。しかし、今やそれは過去のことです。ここにきて価格競争力も出てきたのではないかと思います。
小口の別注にも力を入れておりますので、ぜひご検討ください。
四、被災地発情報が現状打破の基
東日本大震災の後しばらくは、被災地以外の場所に住む人々が元気を出し、いつも通りにお金を使うことが結果的に被災地を支援することになる、行事なども例年通り行おう、という雰囲気もありました。しかし、連日震災の報道を耳にしていると、日本人特有の「惻隠の情」を隠し切れないのだと思います。あまりに大規模で、あまりに広範囲に渡る影響に、日本全体に拭いきれない喪失感という雲が覆いかぶさります。
私は最近、被災地発の前向きな明るいニュースしかこの現状を打破できないのではないだろうか、と考えるようになりました。もちろん時間が掛かると思います、まだかと苛立つこともあるかもしれませんが、それをすべての日本人は切望していると思います。
その時まで何とか耐え、互いに励ましあいましょう。
二〇一一年五月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
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