2011年 4月号
一、お互いに励ましあって…
いつもお世話になりありがとうございます。
東日本大震災が起きて、はや二ヶ月が経とうとしております。この国難の中、人々は復興へ向け確実に前に歩み始めております。災害に遭われたお客様から、これからの復興に向けての力強いお便りが届く度、こちらが逆に励まされるような気持ちがします。大変うれしく、ありがたく感じております。
しかしながら、原子力発電所の事故により発生した農業、漁業、酪農など「食」の汚染問題などの困難は、今後の補償を含め、大きく日本の政治経済の行く末を左右すると思われます。また、原子炉の安定には六~九ヶ月時間を要するようです。この行程通りに回復が進み、それに並行して様々な分野においても、収束への計画が現実性をもって示されれば、人びとの不安も和らぎ、安心して復興に取り組めるのではないでしょうか。
地震と津波による経済への影響は、東北だけではなく日本から世界に及んでいます。まだまだ乗り越えなければならない試練は山積みですが、ともに励ましあって一歩、一歩、解決して参りましょう。
二、原材料リスク回避のために
さて、この三、四月春夏物は、幅広い品番に注文を頂いており、リミットの業績は順調に推移しております。生産状況についても、中国の二工場、国内の二工場とも順調に計画生産できております。若干の問題は、例年になく原材料の生地の手当てに時間が掛かっていることです。中には昨年十二月に発注した生地がまだ確定納期の連絡がなく、五月中旬以降になるものもあります。生地の生産も国内から海外シフトする中で、品質、納期に各社とも苦労されているようです。
リミットは、現在九百種類の製品を企画、製造から発送まで管理しております。しかし生地に関しては、リミットでの計画的な管理が難しいのが現実です。このような状態が長引けば、今後は過去の販売実績から割り出した数量を常時積んでおく製品と、積まずに受注生産していく製品とを明確に分けて計画してゆかねばならないと考えております。
前期には、次のような経験をしました。製品在庫を絞っておりましたので、急激な販売回復に対応できず、大量の受注残を抱えました。それを解消するために、国際郵便で中国工場に生地を送り、クイック生産してまた航空便で戻すという繰り返しで、結局エアーチャージコストがかかり、決算では運賃が前期比六倍に膨れ上がりました。今年は生産環境も整い、生産計画どおりに運ぶ予定でしたが、今度は生地の問題です。なかなか思うようにはいかないものです。
三、多品種少量生産の精度をさらに向上
それでもこの厳しい最中、リスクを乗り越え順調に推移しているのには理由があります。それは言うまでもなく、リミットが独自開発した多品種少量生産システムが大きく貢献していると考えております。一品種で大口受注を主力にした経営環境ではリスクを回避できないと思います。三、四月の顧客販売実績を見ましても、多品種による小口受注の積み上げで売上は構成されております。販売店の皆様も在庫リスクを抱えるよりも好いと判断されているのではないでしょうか。
では、この多品種少量生産にて納期を厳守するという形態は、どのメーカーでも可能なのでしょうか。実は、一朝一夕にはできません。受注窓口から生産工場、さらには配送センターまで、すべての部署の相互コミュニケーションと精度の高い生産販売計画が必須になります。リミットは、今期もその分野に更に磨きをかけ、信頼にこたえるべくシステムの精度を向上してゆきたいと考えております。
四、今こそ、働く意味と歓びと
このたびの震災で私達は何を学んだのでしょうか?強制的な計画停電の中、人々は我慢し工夫を凝らしました。深夜でも昼間のように明るかった東京も、地方の星空を思い出しました。モノに溢れかえる物質文明の豊かさを満腹になるまで享受し、麻痺していたことに私自身少し気がつきました。次から次にモノを消費してゆく世の中から、モノを大事に、大切に使う世の中への転機にしなければならないと思います。日本人が本来持っていたモノを大事にするという文化を改めて思い起こさせてもらったような気がします。
では、我々にできることは何か?リミットは何ができる?と考えていくうち、様々な企業の制服を製造している私達にしかできないことがあるはずだ、と考えるようになりました。そして試行錯誤した結果、商品に同封している台紙にリミットの思いを印刷することにいたしました。台紙ならリミットの作業服を着用されるお客様、一人ひとりに思いを届けることができます。日本が震災から立ち上がろうとしている今だからこそ、働くことの素晴らしさ、また働けることに感謝をし、一人ひとりが働く意味と歓びとを自覚することが、今、大事なことなのではないでしょうか?
二〇一一年四月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有木宏治
コメント
コメントを投稿