2009年 8月号

 

 一、時代認識を変える



 いつもお世話になりありがとうございます。

 こちら広島ではやっと梅雨が明けました。しかし夏らしい太陽をあまり見ることなく、いきなり残暑の季節となってしまいました。

 新型インフルエンザが、この季節に流行の兆しです。お気の毒に亡くなられた方もでています。冬になると猛威を振るうのではと騒がれておりましたが、厚労省は、大流行を宣言しました。一昔前なら、天災や疫病などが猛威を振るうという時代は、歴史の大転換点であったということを思い出したりします。社会的にも天変地異が起きるかもしれません。本当に時代認識を変える必要があるでしょう。

 

 二、青島工場廃止、福州工場創業の意味



 私は、この時代をポジティブに捉え、今までの流れを無にして、ビジネスモデルを一から構築していくには絶好であると、完全に発想を切り替えています。

 こういった前向きな考え方に転換できたのは、一九九五年以来長年にわたり生産を続けてきた青島工場の生産中止を決断できたからだと思います。この工場は、創設以来、一度も納期遅れを出したことのない、多品種少量生産ができる素晴らしい工場でした。ではなぜそのような優秀な工場での生産を止めたのでしょうか。結論から言いますと、私が一から創った工場ではないからです。青島工場は先代社長、すなわち現会長が一から作った工場でした。会長は工場経営から出発しましたので生産については熟知しています。

 しかし私は工場生産経験もなく、全くの素人です。生産を勉強する一番の近道は一から工場を立ち上げることでした。そこでこの不況を逆手に取り、同じ中国の福建省福州に一から工場を作ることにしました。正式稼動は来年からになりますので準備期間は十分あります。パートナーはすでに見つけてありますし、設備もCAD・CAMを中心に最新鋭を導入する予定です。来年までの半年間は現在の商況なら国内工場で十分対応でき、海外生産はストップですので在庫金額も大幅減少いたします。

 ひとつの歴史が終わり、また新たな歴史が始まる。これからが本当の挑戦です。



 三、リミットに新たなウェブのサービス



 現在の商況に対応するには、売上減に対して固定費などの経費を削減していくしか方法がありません。しかしこの方法を長期継続することには限界があります。

 メーカーとしての王道を突き進むことが与えられた使命と考えるならば、技術力を中心に評価が行われる新市場を自ら開拓してゆくことこそが、私達リミットに与えられた命題です。市場が縮小していく中、新市場創造は困難を極めます。しかし働く人がいる限り方法論はあると考えています。いい例がリフィンです。時間はかかりましたがこの六年で大きく成長しています。企画、生産、販売の方法を柔軟に変化向上させながら、お客様の目線でモノづくりしていくことが成長の近道であると考えます。

 リミットに関して販売面では新しいサービスを提供することになりました。この盆明けよりWEB注文に限り、一枚のご注文からでも三%(上代価格の三十八・八%)値引販売を実行しております。まだ活用されていない販売店がありましたら、是非FAXかお電話で専用のIDとパスワードを取得していただきたいと思います。WEBでのご注文は、弊社お客様サービスセンターの受注入力作業が無くなり合理化になります。お客様にとってもメリットがあり、弊社にもメリットがあるシステムです。弊社システム部門が半月かけて作成したシステムですが、販売店の皆様にも好評で新規IDパスワード取得申し込みの返信FAXが盆明けに集中しました。今後ともリミットWEBサービスのご利用をよろしくお願いいたします。



 四、共生によるグローバルな発展を



 このリミット通信が皆様のお手元に届くのは、注目の政権選択をかけた衆院選直前になると思います。この度の選挙は今までの選挙とは違い、政治だけでなく将来の日本のあらゆる分野に強く影響を及ぼす天下分け目の戦いになると思います。

 私は一九八五年、中学三年生のとき初めて海外研修旅行に行ったのがアメリカでした。当時は日米貿易摩擦時代で、子どもの目からもアメリカでの私達日本人への応対はあまり良くありませんでした。それでもソニーのウォークマンをはじめ、Made in Japan にアメリカが憧れていた時代でした。私は子どもながらに工業製品の評価を通して、日本に誇りを感じていました。

 しかし今、日本の製造業はどうでしょうか。グローバル化でどんどん世界に工場を移し、国内雇用者は少子高齢化や未曾有の不況の影響もあり、急激に減少しています。真のグローバル化を目指すなら、一国だけの繁栄を目指すのではなく、現状を踏まえた上で共生の中での発展をもう一度最初から構築していかなければならないときが来たように感じます。 



  二〇〇九年八月二十五日

       笑顔着

       リミット株式会社        

       代表取締役 有木宏治

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