2008年 11月

 

 一、長い一年でした

 

 いつもお世話になり、ありがとうございます。

 今年最後のお便りになりました。今年のはじめに代表取締役社長を交代して早くも一年。あっという間と言えばあっという間だったのですが、私個人としては、ものすごく長い一年だったというのが偽らざる思いです。まるで二、三年たったように感じられてなりません。

 そして、この一年自分自身の思想や哲学による経営はできたのかと問われれば、市況や状況に振り回された一年であったと、自らの非力を反省しせざるを得ません。

 これより先は来年度に向け、しっかりした経営計画を立て、即実行していけるよう残り少ない二〇〇八年を有意義なものにしたいと考えております。



 二、突然の足踏みから新たな決断へ



 さてこの十月以降、アメリカ発の未曾有の金融不安で予想をはるかに超えた実体経済の減速にあたふたさせられました。気ばかりが焦り、自分の立ち位置が的確に理解できていなかったように思います。確かに目標であった適正在庫は予定通り決算には間に合いました。これは成果です。

 しかし、来年から大幅な増産体制に切り替えようと思っていた矢先に、市場に急ブレーキがかかりました。建設業界をはじめ、すべての業界に激震が走りました。衣料業界はその割を食う業種の最たるものではないでしょうか。ユニフォームは直接的には会社に利益を生みません。市況が後退を始めれば必ず販売が落ちていきます。だからこそ要所要所に防波堤を作りながら、勇気をもって一旦後退することも大切と考え、あらゆる計画の見直しを進めています。

 生産に関しては、先週中国青島工場に行き、増産幅の縮小を話し合いました。逆に国内縫製の製品は順調に伸びておりますので、来年度に向けて更なる効率化を押し進めます。

 来年度カタログの商品撮影も終わり、新カタログでは、更なるお役に立てる進化したリミットを皆さまにご理解いただけるという自信はあるのですが、このまま売り上げが低迷した場合の生き残りも考え、前に後に足踏み状態の自分がおります。しかし、それは断固とした決断、実行のためのものだと思っています。



 三、地域、会社組織を核として



 先日、いつもカタログ出陣式を挙行していただく備後一宮 吉備津神社の御鎮座千二百年祭があり列席させていただきました。献幣使として神社本庁副総長をお迎えしての荘厳な祭典の後、場所をホテルに移して直会があったのですが、地元の名士を始め、まちづくり推進委員会の皆様や近隣神社の宮司の方々、たくさんの皆様がお集まりになりました。直会の最中、吉備津神社宮司より「今から千二百年前、備中吉備津神社より御分霊され、備後に創建された時の宮司はあなたのご先祖様ですよ」と親しく声をかけて頂き、初めて神社と私どものつながりを具体的に教えていただきました。平安初期以来、悠々と備後一円の人々の心のよりどころとして親しまれてきた吉備津神社。またそのお祭りを盛り上げるべく、たくさんの地元の方々が一致協力して成功させた祭典でした。

 最近、地域行政の破綻、崩壊、また地元産業の低迷など悪いニュースばかりを耳にしていましたが、地元吉備津神社を核にし、地域の人々が奉仕活動を通じて喜び合う様を目の当たりにし、迷っていた私は目からうろこが落ちたような感銘を受けました。

 今の状況は日に日に悪化の一途を辿っております。しかしながらリミットという組織を核として、日々たくさんの人間が生活を営んでおられる事実を厳粛に受け止めなければならないと千二百年祭で痛感しました。あらためて自分の責任の重さを知ると共に、互いが助け合って生き延びることが大事だと教えていただきました。厳しいアゲンストの風の中、背を低くしてでも、一歩、一歩前進して行きます。

 今年も一年、リミットを応援していただき、本当にありがとうございました。



  二〇〇八年十一月二十五日

       笑顔着

       リミット株式会社

       代表取締役 有 木 宏 治

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