2008年 6月号
一、縦から横断的コミュニケーションへ
いつもお世話になりありがとうございます。
五月から六月中旬まで夏物売上が低調に推移したまま梅雨に入りました。夏本番に向け大口の引合いも増え始めておりますが、今年の夏物商戦は、事務所にいても例年以上に静かでした。それでも総合企画室は事情がことなっていました。二十四、二十五日に横浜パシフィコで行われる「フューネラルビジネスフェア2008」の出展準備のため大忙しでした。
今年で参加四年目になる展示会は、お客様と直接お会いできる唯一の場。特に今回は長年ご愛顧いただいているお客様を、パンパシフィック横浜ベイホテルの最上階特等席にて、横浜みなとみらいの夕景と美味しいスイーツでお迎えする「リフィンな会」を企画。そしてブース内では昨年大好評だったメーキャップアーティストをお迎えしてのメークコーナーを今年も企画。リミットの関係者と展示会場に足をお運びくださる皆様とのコミュニティーの輪が年々大きくなっていきます。
インターネットが出現して以降、通販では不可能だと思っていたお客様とのコミュニケーションが従来の売り手と買い手の関係を超えたところで実現しています。それは今までの縦割りの関係ではなく、横断的なコミュニケーションとなっています。リミットの中心になっているのは商売のイロハをまったく知らない企画チーフです。お客様のところに訪問しても、来場くださる方に接したときも、すんなりと素人丸出しで接します。こちらがヒヤヒヤしていても、すぐに共感や協力といった強い信頼によって結ばれています。プロのノウハウはシステム化できます。しかしお客様の目線でお互いに共感することはシステム化できません。ですから企画からフェア参加まですべては、労働をするという意味でもお客様と同じ目線をもち得る総合企画室の女性たちだけで行動し、社長の私は参加することも許されません。このようにして各部門が自主的に前へ、前へと事を進めていってくれますので本当に感謝しています。時代が大きく変わりつつある今、リミットも大きく変化しております。
二、相互信頼による問題解決へ
グローバルな競争社会では、人件費の抑制圧力の前に多くの日本企業は、賃金も上げることが難しい状況が続いています。その結果、派遣というシステムも一因だとされるように、いろいろな諸問題が社会の弱い部分から順々に顕在化してきています。理解不能の事件や人災とも考えられる自然災害もあちこちで起きています。そして目や耳に入ってくる情報も十年前の四百倍に増えているそうですが、真に咀嚼できる情報はそのうちいくらくらいあるのでしょうか。一つの事柄にたいして百八十度ことなる情報も飛び交います。確固たる信念を企業も個人も持たなければ足元をすくわれそうです。
そんな中、先代から大きな赤字とともに受け継いだリミットという企業体も利益は今のところ順調に推移しております。私の社長就任とともに非常事態宣言を社内に発表し、毎月の会議でも何度も繰り返し現状分析と利益計画について議論をしてきました。売上が低迷する中、利益を出していけるのも長年のリミット哲学に基づいて行動しているからだと思います。適正在庫の考え方や借入金に対する考え方も納得することばかり。専務時代には理解できなかった戦略的なことも、今になってみればいかに短期で物事を考えていたかと赤面することばかリです。
売上が低迷するなか、今年の利益計画を実現することは精神的にも追い詰められますが、新しいことへのチャレンジが私を奮い立たせます。私がまず幹部社員や全従業員を信頼すること、そうすれば会社も従業員も私を信頼してくれる。お互いの会話は数字であったり、屁理屈であったり、同情であったり、説教であったりしますが、支えていただける皆様が間を取り持ってくれます。最近少しずつ、長く向き合えるようになってきました。
「リフィン」などはそうではありませんが、作業服に関しては私も頭を悩まされています。石油高騰による原材料価格の上昇、中国での生産コストの上昇、それでもデフレ市場で安売りと在庫の氾濫。これでは業界内での体力勝負になり、負のスパイラルに巻き込まれたら最後、脱出することができなくなります。そのような中では、手っ取り早い値上げ策をとることも頭をもたげます。しかし、すべてのお客様に今までの平等で同等な販売価格を守ることの重要性を認識し、私が信頼する全社員や支えていただいている皆様との相互信頼をより強固にすることによって正しい解決の道を模索して参ります。
二〇〇八年六月二十五日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 宏 治
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