2008年 1月号

 

 一、通信執筆を引き継ぎました



 いつもお世話になりありがとうございます。

 今年もよろしくお願いいたします。私は、この度、代表交代により社長の職を引き継ぎました有木宏治です。リミット通信も私が引き継ぐことになり、この号より執筆いたします。なにぶん未熟で心もとないのですが、今までどおりリミットの近況などについて、私自身の言葉でご報告いたします。どうかご支援よろしくお願いいたします。

 

 二、新市場確保へ新ブランド「b×c」投入

 

 波乱含みの二〇〇八年の年明け、私は、元旦には出雲大社参拝、四日にはリミット新年互例会と行事が続き気持ちも新たにいたしました。今年は、去年種を撒いて育ててきた分野の刈り取りを効率よく行いたいと考えています。去年一年間かけて努力してきた結果が間違いなかったどうか試されることになりますが、二月初旬に皆様の元に届けますカタログにてその成果を評価していただけたらと思っております。今年は従来のリミットシリーズに、新たに「b×c(ビーバイシー)」ブランドを加えました。従来のリミットのエンドユーザーに新たに展開するのではなく、新しい市場創造を目的にマーケティングを繰り返し、今までワーキングを着て働いておられなかった層に向け開発いたしました。従来のリミットの得意な分野を深耕することも重要ですが、それでは今までの商品交換に過ぎず、新しいお客様に喜んでいただくことはできません。四年前より高級婦人服の直販を手がけ、ユーザー様と直接意見交換をしてきたからこそ、今、市場に何が求められているかが自然と見えるようになってまいりました。エンドユーザー様から教えていただいた情報が、更なる販売戦略、縫製技術、情報技術の高度化を躍進させました。「b×c」ブランドの開発は、新しいものが無数に生まれ、同じく無数の製品が捨てられている現在、生まれたかと思えばすぐに消えていくものの中で、ワーキングウェアの産地、備後の原点に帰って、三百年悠々と紡がれている備後絣にもう一度着目した結果、産地と都会の共生にたどり着いたということです。一日の中でパジャマより長い時間身体に纏い、いろんな場所で、たくさんの人たちとモノやコトを共有する服が消耗品であるはずがありません。「笑顔着」リミットの原点をあらためて感じ、第二創業をスタートさせます。ワーキング業界は国内の市場縮小により迷走しております。しかし裸で働く人はいません。ユーザーに喜んで着てもらえる製品を今年も一生懸命開発し、価値の訴求に努めてまいります。



 三、活性化する人材で新システム稼働へ



 去年は新しい人材が企画や縫製現場に入ってくれ、本当に力を発揮してくれました。年齢の若い方から定年退職して再就職した方までいろいろです。あらためて感じたことは、職場は従業員の年齢の幅が広ければ広いほど活性化されるということでした。熟練の智恵と経験を若い素人が習っていく。高級婦人服の縫製技術がなかった工場でスタートして八年、新たな発見を繰り返し、去年はブランドコンセプトになるドレスも手縫いで仕上げることができました。国内工場で必ず生き残る、そしてその智恵や工夫を中国独資工場の青島や福州にフィードバックし、中国の企画による商品開発をし、中国で販売を手がける。今後の構想がはっきりとしてきました。

 また、情報開発のほうも進化が著しく、更なる合理化を進めるべく、現場を一つ一つ実体験しながらシステム開発を進め、貿易事務、経理事務、企画仕様書と現場との連動ソフトまで、少しずつですが着実に進めてくれました。また、IT系のエンジニアは、二月稼動予定のリニューアルされたリミットグループのホームページの完成に向かい最後の頑張りを示しております。携帯電話による在庫検索に加え、これは業界初だと思うのですが、携帯電話による商品発注も構築いたしました。パソコンによる在庫検索発注システムも新しくなり、直送依頼や別注注文までとさらに進化したシステムとなりました。「b×c」のカタログでは、二次元コードをつけ、カタログではお伝えできない情報の訴求にも力を注ぎました。

 各部門が特化し、連携したからこそ完成した新システムだと思います。職場は社会の縮図だと思うのですが、社風が人を育てるということを痛感しました。



 四、ユーザー情報取得へ新マネージャー任命



 冒頭にも書きましたが、今年は去年努力したことが試される一年になると思います。ユニフォーム業界の中でいわゆる営業部門を一切持たず、あまり周りの情報を聞くことなく、自ら考え、自ら行動する自立型組織を目指して今までやってきました。しかし、本当に正しいものが見えにくくなる現在、ともすれば自己満足の世界に固執していたのではないかと不安に思う日もありました。しかしそれは自ら創り出した価値を、もっと広く、もっと正確に直接に訴求していき、皆様に判断していただくことにより答えが出ると気が付きました。

 そこで、従来からお客様サービスセンターにて受注をしてきたベテラン社員を、マネージャーとして今年度よりお客様のところに直接伺い、リミットに何がお手伝いできるか情報交換することにいたしました。これはリミットの歴史や哲学を理解しているベテランにしかできないことだと思います。ここ最近、食、住分野の偽装事件など顧客の信頼を失う事件の報道があまりにも多いと思います。これはいずれ衣の分野でも重要な課題になると思われます。安全性や品質を鑑み、もう一度国内のものづくりが見直されるようになると、国内に何も残っていなければ、海外進出は本末転倒に終わってしまうのではないでしょうか。目の届く場所で、注文を頂いてから自信のある商品を作り、長く大事に使用していただく。こんなものづくりと販売の原点に戻る日はそう遠くないのではないでしょうか。

 リミット創業以来の信頼を得るために培ってきた長い歴史の重さを考えるとき、私自身が慎重に事に当たらなければと思い直すことが多々あります。リミットも二十年近く前には納期遅れをおこし、お客様に大変なご迷惑をおかけした時期がありました。その教訓が現在のシステム開発の礎になったのですが、それをリニューアルした総合システムと、新しい人材を得た企画と、新部署によるエンドユーザー情報に基づいた販売提案力を生かして、少数精鋭で同質化の競争から完全に抜け出たところから、皆様の発展に貢献できるよう今後も努力していきます。

 よろしくお願いいたします。



  二〇〇八年一月二十五日

       笑顔着

       リミット株式会社

       代表取締役 有 木 宏 治 

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