2007年 9月号

 

 一、同族経営から更に進化へ



 いつもお世話になりありがとうございます。

 リミットは今まで何度か書きましたように、同族経営方式で経営をしてきました。つまり個人の金は全部会社に貸しています。個人名義の預貯金は一切していません。会社名義の預貯金は、銀行から借り入れの担保として定期預金がありましたが、この度それも今年度で全部解約しました。従って今では個人も会社も定期預金は皆無になりました。現在の金融機関は、昔のように定期預金を要求しません。資金が充分あるのだと思います。

 現在は個人の貸付金は企画・生産会社である大阪リミット㈱に対して行っています。大阪リミットへは青島伸栄服装有限公司が100%出資しています。大阪リミットは中国企業の青島伸栄服装有限公司の子会社となっています。青島伸栄服装有限公司の株式は、専務の会社である㈲宏正商事が100%持っています。

 大阪リミットが中国の子会社ということで、貸付金の金利は中国金利のレートが適用されるので、5%、6%、7%と次々と金利が上がっています。日本の企業への個人貸付金利は3%までと思います。それ以上は税務署が認めませんが、個人貸付金は高い金利を貰いながら増やしました。

 個人貸付金が増えると、その金額だけ銀行借入金が少なくなります。会社は利益が出ない勘定になり、法人税が少なく押さえられます。勿論その代わり個人所得税は多くなります。この方法によって、会社は利を出していないのに、銀行借入金が年々減少したのです。この状況では決算書を見ただけでは経営状態が理解しにくい会社になっていました。これが同族経営方式による銀行借入金の圧縮です。

 リミットは、目標である無借金経営を達成するまで、苦労して返済してきました。そこで現状を鑑みて、個人貸付金も中止することを決めました。個人貸付金を徐々に会社より引き上げながら、会社の利益を増やして内部留保を増やし、会社経営ができるように経営方式を変更することに決めました。個人が会社を利用して利子で利殖するのではなく、個人は会社以外で資産運用を行います。現在では所得税も上がり、個人給料は法人税率と同じ程度になり、節税が難しいのです。そこで会社存続の最低限の体制ができたので、役員の給料を下げ、法人税率以下にして会社の内部留保が増える努力をすることを決めました。



 二、役員は個人資産運用を



 私は今年で退職して会長になり、退職金をもらうことにしています。同族経営方式では退職金支払と個人貸付金で相殺の仕訳処理しますので現金が動かず、会社の資金繰りには関係ありません。しかし会社は退職金によって多額の赤字になります。それを繰越欠損にして次年度より七年以内に赤字解消します。私は、会社は退職金によって銀行借入金が増えたとしても現金でもらいます。

 もらった資金は個人で運用します。私は株や相場は絶対にしません。金などの現物投資のみです。三十年前から金を買ってきた人は値下がりが続き大きく損をされましたが、私は資金がなかったのが幸いして被害はありません。私の始めたのは十二年前です。当時金価格は少しずつ下がるか横ばいが続いていました。そして十年前が底でした。ところが昨年より急騰して底値より三倍くらい高騰しています。遅くから金を買い始めたことで結果的には底値の時に買うことができました。これが人間の運命の不思議ではないでしょうか。資金のないことを嘆いていたのが、結果を見ると資金が無いことで運が向いてきたことになります。



 三、中国の高金利と市場の特性を活かす



 個人資金を中国に送り、人民元で定期預金をすることを考えました。近い将来、人民元の切り上げは不可避と言われており、ノーリスク・ハイリターンの滅多にないチャンスと考えています。現在は一年定期預金で3・37%。五年定期預金で利率は5・76%です。中国は今年五回の利上げがあり、七月、八月、九月連続で利上げがありました。そして利息税も八月十五日より20%から5%に下げられました。加熱する投資熱を押さえるために預金金利を上げたのです。今が最高のチャンスです。人民元はドルに対して最初は八元で為替は固定していましたが、今は少し幅を持たせ、現在は7・55元です。数年でドルに対して四元台に切り上がるのではないかと思います。外貨預金は為替変動があるので最終的な利益は確定できません。しかしリミットは中国に独資工場を持っていますので、為替相場によっては人民元を中国で使えばよいので為替問題は考えなくてもよいと思います。

 皆さんは中国の定期預金にはあまりなじみが無いと思います。旅行で中国に行けば誰でも通帳を作ることができます。一冊の通帳で普通預金、定期預金、外貨預金と大変便利よくできています。この点は日本より進んでいます。しかし中国に住んでいない人が通帳を使いこなすには、信頼できる人とのネットワークが必要です。何故中国と提携強化する考え方になったか。この度の世界的な株の大暴落の時、中国株はその影響は受けず値上がりしていました。これは海外投資ファンドの資金が入ってないからです。中国人同志で株を利用して賭事をしているようなものです。大暴落が起きても海外に資金が出ることはありません。中国国内で誰かが儲け、誰かが損をするだけです。

 この度のサブプライム問題で、世界的な大暴落となりました。日本に比べて欧州が大きい影響を受けたのは、米国がお人好しの欧州に後始末させたと言われています。米国はいつも他国の金を略奪します。米国国債は日本と中国が相当買っています。中国はいつでも国債を売って大暴落をさせると米国を脅すことができます。米国の属国にされている日本は強硬な態度はせず、米国から金を取られ続けています。これでは日本は絶対に大国になれないと思います。

 将来は中国が超大国になると確信しています。その様に主張する記事が多く出るようになりました。私の哲学では強い国と付き合い、弱い国とは付き合わないのが鉄則です。外国と付き合うときの絶対的な条件があります。それは信頼できる人とのネットワークです。私はこのネットワークを作る努力をしました。この結果を出すのは専務の時代になります。世界的な混乱期が絶好のチャンスです。



  二〇〇七年九月二十五日

       笑顔着

       リミット株式会社

       代表取締役 有 木 伸 宏 

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