2007年 2月号

 

 一、供給過多で続く価格競争



 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 ユニフォームメーカーが小売販売価格の値上げをしないようです。低価格が続く中で更に価格競争に巻き込まれて、メーカー・販売店は利益確保が大変です。日本経済は成長段階に踏み出したと言われています。しかし需要と供給のバランスという価格を決める基本の問題には全く改善が見られません。つまり供給過多なのです。だから政府のいう割には、景気がよいという実感がありません。物価も賃金も上がっていません。購買力=需要が小さく供給の数が多いのです。この状態では価格競争、即ち値引き競争は一段と激しくなります。

 以前なら景気が回復すれば、中小を含め多くの企業が好況を手にして息を吹き返しましたが、中国など発展途上国から安価な商品が大量に輸入され供給過多に拍車をかけて問題を複雑にしました。今日の「景気拡大」には明るい見通しはありません。安値競争が激しくなるばかりです。



 二、ユニフォームメーカーは

   消滅の危機にある




 ユニフォームの売上についても一般的にピーク時の売上に比較して、四○パーセントから五○パーセントの水準だと言われています。リミットも三回非常事態宣言をして、激しい合理化を致しました。それでも、素材コストは高くなります。製品は供給過剰、製品価格据え置き状況で利益確保は今後、一段と厳しくなると思います。ユニフォーム販売店も価格競争で現状を維持できるか、廃業に追い込まれるか、大変厳しい状況だと思います。この度、値上げを見送ったユニフォームメーカーは体力勝負で、弱い同業他社との競合をしかけて倒産に追い込む戦略だと思います。それに負けたところから倒産します。メーカーも販売店も命がけの体力競争時代に入りました。

 販売店を通して女子ユニフォームを販売しているリミットも、販売店が廃業して減少すれば大変厳しい条件の中で再び道を拓かなくてはなりません。販売店の将来の状況が大きくリミットに影響してきます。時代の変化を考えてリミット、大阪リミット、リミット通販、日中情報システムがどのように連携し新しい道を切り拓くか。問題意識を持って行動を起し始めています。感じたら即行動を起こす。行動を起せば問題点が見えます。修正しながら前進すれば、必ず道が拓けます。振り返ってみると、リミットが歩んで来た道には迷いが多くありました。

 将来の戦略として、他社との連携も模索したこともありました。この場合、お互いが強い商品を持って連携し、補完し合いながら販売戦力を高めていくことが理想です。しかし大きな問題点もあります。例えばリミットの女子作業服と素材メーカー・商社・男子ユニフォームメーカー等と提携した場合、最初はお互いに自主独立路線を歩んでいても、資本力が弱ければ大手の会社の資本が入ってきます。そのようになれば、ごく自然に吸収合併の流れになって、その後はリミットの経営者も退職に追い込まれます。リミットのノウハウを全て吸収された時点では、リミットの社員も必要なくなり、リミット自体消滅します。安易な道を選べば必ずこのようになると思います。



 三、大手にはない戦略が命



 思い起こすと三十年前、大手ユニフォームメーカーが順調に業績を上げておられる中、同じ分野では参入してもリミットは競争力がないので、女子作業服で参入いたしました。これがリミットの第一歩でした。当時はまだ働くのは男性で女性の働く人は大変少ないために女性は、男性用の作業服を着ていました。しかし働く女性が急増し販売することより、生産が追いつかないという時代に入りました。人材の確保が難しく、国内生産だけではまかなえない状況もうまれ、受注過多で大変な状態が続きました。その結果、大手メーカーも女子ユニフォームの業界に参入してこられました。大手メーカーはその当時から無借金経営をされていました。無借金経営は現在も続いています。

 リミットは大手との三十年間の差を埋めるための闘いが大変でした。そしてその差を埋めるには、大手の会社ができないことで勝負すること以外に方法がありませんでした。

 それは戦略を明確にすることでした。そうなれば戦術も明確になります。つまり、大手がケース単位の受注なら、リミットは一枚からの受注にする。大手が販売価格は営業担当者との交渉なら、リミットは社長が価格を明確にして値引きの交渉は一切しない。事実、平成元年から価格は値下げせず、固定しています。今後も維持するつもりでいます。大手の営業が訪問販売なら、リミットは訪問販売をせず、カタログを郵便配達人に届けていただく。大手が単品大量販売なら、リミットは多品種少量販売にする。大手の納期が正確でないなら、リミットは納期管理に全力をあげ納期管理を徹底的に正確にする。このように大手ができないことをリミットは努力をしました。

 悪戦苦闘の結果、現在リミットの支払いは全て現金にすることができました。

 リミットは大手会社の規模を追わず、体質を充実する事に専念しました。医者から見捨てられたどん底から、最初は這いながら歴史とともにスピードを上げ、追いかけてきました。それを専務が引き継ぎ、私にできなかった企画の充実に努力しています。目標を持ち継続すれば必ず結果が出ます。継続する事が歴史をつくります。企画データの蓄積と、時代に即した情報組織に絶えず変化していけば、リミットは必ず生き残ると確信しています。日々変化させることです。ここまで変化継続し、歴史を作る道をリードしてくれた守り神に感謝します。



  二〇〇七年二月二十五日

       笑顔着

       リミット株式会社

       代表取締役 有 木 伸 宏 

 

 

 

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