2006年 1月号
好きな仕事を楽しむ会社を目指して
何時も大変お世話になりありがとうございます。今年もよろしくお願い致します。今年の会社の年頭挨拶には下記の文章を参考にして、従業員皆が好きな仕事を楽しみながら、会社を発展させようと話しました。
『人間には、得手なものと不得手なものがある。自分の得手なものをもし発見できないとすれば、それは一生の不幸である。仕事にしても自分の不得手なものを選び、ズルズルと従事していたら、仕事に対する意欲さえ起こらなくなる。反対に、自分の得意なものを発見できた人は幸せだ。会社の上役は、部下の得意なものが何かを見極めて、その配置を考えるのが経営上手というものである。社員も、自分の得手なものを上役に申告することだ。そのためには、一刻も早く自分の得手なものを発見し、それを大事に育てることが大切である。』
会社を活性化して強い組織にするには、社員に大好きな仕事をさせることだと思います。私の時代は人の採用が大変困難でした。来てくれる人は皆採用していました。不足している部門に配置し、性格に合わない仕事にも就いてもらっていましたので離職も多く出しました。離職の最も大きな原因は世代差で若い人の心がつかめないことでした。しかし、専務の時代になり若い人の気持ちを掴み、私には考えられない人事異動をしています。最近は新卒を採用せず、派遣社員をいれています。派遣社員は職種と能力を指定しています。もし力不足の場合は交代させています。実力を認めた人には正社員になるように交渉しています。結果としてリミットグループはみんな好きな仕事に専念している組織になり、人材が安定しています。
私の時代は給料が高くても不満がありました。今は給料だけではなく好きな仕事をして達成感もありモチベーションも高くなっています。最近、専務はみんなの給料が安すぎると言うようになりました。本人の能力に応じた給料を出すことを大きな課題として取り組んでいます。勿論、現在の売上減少の中で給料を上げることは困難です。確実に安定した利益を出せる体制をつくるのが前提です。しかし、昨年で子会社が赤字を脱出したので、必ず実現できると思っています。
好きな仕事について実例を書きます。
関連会社の日中情報システム㈱の責任者は大学三年の時に難病認定の病気になり、一年休学しました。治療の結果小康状態になりましたが、学業継続と中途退学の選択を迫られ、結局大学を卒業しました。就職はNEC東京本社に決まったのですが直後難病が悪化し、再入院で就職を断念し病気治療に専念しておりました。コンピュータが趣味で勉強をしながら治療をしていました。七年前、縁がありリミットで情報システムの勉強をしながら治療をしないかと本人に持ち掛けました。在宅勤務でも再入院になっても、システムは情報会社に発注しているので困ることはないと告げたところ、会社に来るようになりました。やがて情報会社に出向して情報システムの勉強を始めました。一年後、青島伸栄服装有限公司の総経理の長男もリミットから情報会社に出向し、一緒に勉強を始めました。中国の青島伸栄服装有限公司は、大学に行ける能力があっても家庭の事情で行けない青年を集め、情報の教育が始まりました。そうこうしているといつの間にか難病の社員が休むこともなく元気になっているのです。彼らの成長が、情報会社と連携して基本システムを再構築できたことにつながったのです。六千万円の投資、一年三ヶ月で稼働という驚異を実現しました。リミットグループの決算は一月です。決算で問題なく新システムが動けば、再構築が完全に稼働することになります。
好きな仕事をしていたら、難病のことをすっかり忘れてシステム再構築に没頭していたのです。病気の八十%は精神的な問題とも言われています。好きな仕事を見つけた人はどんな条件でも最高の幸せを掴むことができるのでしょう。難病を理由に可能性を認めないで声をかけなかったら、日中情報システム㈱の現在は存在しません。また、リミットはオープンシステムの再構築が遅れ、IT時代のビジネスへの対応が遅れ将来の利益を損なっていたでしょう。会社の運命そして人の運命に、あの時、あの人に会わなかったら、と思うことが多くあります。出会いによって運命は大きく変わります。
さて、多分相手が難病と解っていればこちらから声をかけないのが一般的な「常識」でしょう。非常識を実行させた私の守り神に感謝しています。自分の好きな道を見つけることができなかったフリーターは年々増加し、〇一年の四一七万人(十五~三十四歳)から一〇年には四七六万人に達するという予測も出ています。フリーターを毎日新聞社会部が下記のように取材しています。
「記者(二十八)が待ち合わせをした男性(三十一)は、どこにでもいる同世代の若者に見えた。昨冬、インターネットで知り合った若い男女三人と関西のウィークリーマンションで集団自殺を図った。自殺未遂の男性はなぜ死にたかったのか、繰り返し尋ねても理解しづらい。『誰にでもできる仕事。やりがいはないです。』月収は手取りで十七万円。両親と暮らす自宅のローンがまだ二十五年残っている。昼食は三〇〇円の仕出し弁当。家で飲むビールだけはぜいたくをする。二本目が空いたころに眠る。三十五歳を過ぎたら正社員にはなれないだろう。『僕には技術も学歴もない。口下手だし、うまく意欲を見せる自信がないんです』アルバイトを続けるうちに年を取り、友人は減っていく。一人で孤独な生活、最後は自殺」。
こんな青年に何故なったか。親が子供の特徴を見つけてその特徴を褒めて育てたら、特徴に自信を持つ青年に育ったと思います。自分の特徴を生かして好きな仕事ができる人は幸せです。会社は特徴がある人の組織集団をつくり、家庭でも旅行先でも自分の好きな場所で自分の好きな仕事をしてインターネットで結び、大きな仕事を完成させていく夢のような時代がくると思います。私は現にその様な行動をしています。リミットグループはその夢の実現を目指してインターネットで国際的なネットワークを作り、少ない人員で大きな仕事をする究極の会社に向かって今年は行動を起こします。
2006年1月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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