2005年 10月号

 

  一、人口減少時代の

     労働力と付加価値製品


 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 リミットは現在、国内生産で高級婦人衣料をつくっています。昔のように従業員の採用に困ることはありません。しかし、人口減少時代を迎えていることもあって縫製には若い人が集まりません。世界では日本だけが経験することです。どのようになるか予想がつきません。最近外国人労働者を受け入れたらどうかという声も出ているようです。外国人労働者の問題点として次のようなことが言われています。

 先進国のなかで最も外国人労働力を活用したのはドイツで、戦後、東西分割による労働力不足に直面して、外国人労働力を入れた。低賃金・単純労働者が多かったために、人数が増えると社会福祉費も教育費も増大した。さらに、社会不安定要因となるのを防止するために財政支出も増えた。そこで外国人労働力を急速に抑制したが、貧困層は行き場を失った。結果税収は減り財政収支は悪化した。

 外国人労働者を入れることは大変問題も多いようです。もし、これが安易な道であり、私の信念の困難な道を選ぶ方をとるとするとそれは、日本の中高年のもつ技術力の活用でしょう。例えば、リミットの出雲工場は平均年令が六十才近くなっています。しかし長年、技術を習得しているので多品種少量生産の方針を持ち込んでも混乱を起こすことなくこなしています。

 人口減少時代を迎えるのであれば、当然リミットは将来の扱い商品を慎重に考えなくてはなりません。作業服は大量生産によるスケールメリットが競争力の根源でした。これから人口減少、工場の海外移転とユニフォームメーカーは二重の責めを受けます。このままでは当然、企業経営は悪化していきます。その解決方法は一つしかありません。今までの商品から高付加価値商品の生産への移行を断行することです。付加価値を拡大することです。それには二つ方法があります。一つは販売価格を上げることです。もう一つはコストを下げることです。販売価格はそう簡単に上げられません。これからは技術開発によって他企業ができない製品を開発し、より高い値段で売るしか企業経営を安定させることはできないと思っています。リミットは価格維持と付加価値商品の開発に努力することが生き残り策だと思い、頑張っています。

 

  二、0金利の終焉、

     20万社が倒産予備軍に


 

 十年間続いたゼロ金利は、本来淘汰されるべき企業の延命に力を貸してきました。金利が上がる方向に動き出せば、これまでゼロ金利という安全ネットに救われていた企業の多くが、急な坂道を転げ落ち始めます。東京商工リサーチの情報事業統括本部長、荒谷紘毅氏によると、日本の中小企業で元本の返済が困難と見られるような債務を背負っている企業は二十万社程度ある。年間の倒産件数の十年分を超える企業がいわば破綻予備軍として安全ネットのうえに滞留している計算になる。バブル期の過剰投資による多額の債務をいまだに返済できていない企業は少なくない。銀行は大企業向けの不良債権については積極的に処理したが、こうした中小企業向けの債権は大半が手つかずのままだ。金利を引き上げたからといって、これらの企業がすぐに破綻するわけではないが、真綿で首を絞めるように、徐々に追い込んでいくだろう、ということになります。

 リミットは売上が落ちる中で手形支払から現金支払いに変えました。内部留保が増えたので現金支払いにしたのではなく、手形発行金額を銀行から借りて長期借入金に振り替えただけです。負債合計は手形が銀行借入金に変わり、今までと同じです。このことを銀行に理解をしてもらい借り入れをしました。あらためて振り返ると、手形を止めて銀行借入金を増やしたことは精神的に大変安定して前向きの行動を起こすことができたと思います。その結果として、利益を出して返済に充てることができました。全てがプラスに作用したと思います。

 私はいつも物事を簡単に考えます。誰が見ても短期借入金を長期借入金に変えれば資金が楽になることが解ります。手形支払を現金支払に換えれば苦しくなると思うことが間違いです。リミットは返済そして借り入れを繰り返しながら少しずつ借入金を少なくしました。現在の借入残高は最高時から半減しました。手形決済のためにする気苦労を、利益を出す気苦労に変えれば会社の発展に大きく寄与することができます。そして精神が安定して健康生活を送ることができます。物事を簡単に整理し、決断と行動を起せばこんな夢が実現できるのです。

 

  三、エネルギー危機、さらに新しい挑戦

 

 かつてリミット生産は新市工場でしていました。そして、備後地区で織られて岡山で染色した生地を買い、製品を作っていました。その後の販売方法は今と同じです。世界最適地生産は商品を顧客が手にするまでに、生地・付属・製品は延べ数万キロを移動しているのではないかと思います。一リットルの燃料で小型車は十キロ走っても、大型トラックは三キロ、ジャンボの貨物機は百メートル、大型コンテナ船は二十メートルしか移動できないと言われています。グローバル・サプライチェーンは莫大な石油浪費と背中合わせです。販売店に聞くと、最近は一枚の配達も多くあると聞きます。さらにエネルギー浪費の多頻度少量配送の波が押し寄せています。

 なおも石油は暴騰しています。石油の奪い合いになって断末魔の動き方をしています。一度原点に帰って反省しないと、環境破壊で人類の破滅に繋がります。リミットは新しい時代の夢を描き生産の原点に帰り、新市で最高級婦人衣料を生産し、究極の販売戦略に挑戦しています。挑戦を続け変化する限り、どのような時代が来ても生き残ることができると確信しています。目先の悪い状況で振り回されず、新しいことに挑戦を、と繰り返しいっています。

 

  2005年10月25日

 

    笑顔着

      リミット株式会社

      代表取締役 有 木 伸 宏

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