2005年 7月号
一、 ストレスから突然の病
いつも大変お世話になりありがとうございます。
六月二十七日、朝起きると左の指先が少ししびれています。指の折り曲げや力は左右同じだけありますので何とも思わずにいましたが、二時間経っても軽いしびれが治りません。そこでかかりつけの医者に行きました。診察するとただ事ではなかったようで直ぐに紹介状を貰って脳神経外科病院に行きました。昔とは違って最近の病院は徹底的に電子化されています。診察の待ち時間も短く、待っている間に血圧等をはかり、問診票に書き込みます。先生の診察は簡単でした。レントゲン写真の待ち時間だけは予約していないので一時間四十分待ちましたが、その間に点滴をしました。レントゲン室には歩いて行きました。MRIが三十分、CTが二十分かかったと思います。その直後立ち上がろうとしたら制止され、ストレッチャーで集中治療室に移されました。
私の手首には名前とバーコードのタグがつけられました。バーコードを読みとれば、医者の指示する処置がわかるようになっているようです。点滴も手首のバーコードと薬のバーコードと合わないとできないようになっています。歩けるのだからトイレに自分で行きたいと訴えても、その場でするようにと言って聞いてくれません。レントゲンが済んだ直後から立ち上がることも許されず、絶対安静になりました。集中治療室で医師から説明を受けると脳に三ミリほどの出血があるとのことです。翌朝のレントゲンの結果次第で歩いてトイレに行けますと説明してくれました。幸い絶対安静から解放され、歩いてトイレに行ってもよいことになり、五日後には家に帰りました。
人の運命は一瞬先がわかりません。退院証明には脳出血と書いてあります。三ミリではなく大量に出血した場合は死に至る場合もあります。入院時から降圧剤が朝晩一錠でました。血圧が急激に下がりすぎるので翌日の朝一錠になり、現在は半錠になっています。私の血圧は上が百五十台、下が九十台で、少し高い状態だったのです。
出血した大きな原因はストレスです。前夜性格が合わず常々避けていた人からの電話でいやな思いをしたことが原因です。しかし私は一時立腹しても、マイナスをプラスに考える訓練が日頃できています。いつもリミット通信に書いているように頭の切り替えが早いのです。その晩も考え方を切り替え、よく眠りました。もし眠れないぐらい考えていたら、この程度では済んでいないと思うのです。日頃の訓練が役に立って三ミリの出血で止まったと思います。
二、相反する条件を抱え生き抜く
ある総理大臣でも、前夜に大きな問題が起こり、そのショックで翌日脳出血を起こされた方が何人かおられます。心を安定させるために、私にも精神安定剤と睡眠薬が出されていました。胃潰瘍の治療も精神安定剤と睡眠薬が出ると聞いています。病気の八十パーセントは心の問題と言われています。しかし私には心の問題以外にもう一つ大きな問題点があります。長年の肺結核で肺に硬化した跡が多くあり、時々出血します。そして初期の糖尿病もあります。血管硬化の原因は糖尿病と言われています。結核には栄養が必要です。糖尿病にはカロリー制限が必要です。この相反する条件の中で、二つの病気の接点を追求してきました。この度の脳出血で一段と接点の追求が厳しくなりました。私は仕事でも悪条件を全て受け入れ、それを前提にしてその中で最良の道を見つけて努力してきました。この度のマイナスを必ずプラスにするのだと自分自身に言い聞かせています。しかし将来のことはどのように考えても、どのようになるかわかりません。将来に希望をもって生きる人と将来に対して悲観的に考える人では、人生に大きな違いが生まれます。どんなに用意周到な計画を立てても、不幸な事故が明日にも発生する可能性があります。そのようなことを考え、ビクビク生きても仕方がありません。生きている限り、状況を受け入れ毎日精一杯努力して生きる努力しようと思っています。
三、複雑なことも単純化して失敗を回避
今月の日経ビジネスによると、二年前に百億円かけて稼働させたペットボトル再生工場が、リサイクル受託費が高く、二〇〇五年度ペットボトルの原料の落札はゼロでした。原料在庫は底をつき、操業維持が困難になりました。繊維業界でもペットボトルの再生糸を使用していない作業服は官庁系統には買って頂けないとの話は聞いていました。リミットは多品種少量生産で、大口受注は考えていませんのであまり関心はありませんでした。ペットボトル再生はペットボトル原料から作るより当然コストが高くなります。再生にはより多くのエネルギーの消費が必要で、逆に環境を壊します。ペットボトルを焼却炉で燃やすと大変よく燃えます。しかし真っ黒い煙を出します。この煙の問題を解決したボイラーで燃やして石油を節約すれば、この方が環境に優しいと思います。ペットボトルをリサイクルし、テトロン糸を作り生地にする事は、熱処理が増え環境に優しくないことです。頭のよい官僚は、わざわざ難しい処理方法を考えて失敗します。そしてその失敗は自分達の失敗と認めず、業者の責任にします。福山市では、衣類は燃えるゴミに選別して出せば引き取ってくれます。燃えるゴミは燃料にして電気に変えています。プラスチックは製鉄高炉燃料にしているようです。
私は官僚と違って複雑なことも簡単に考えます。いつもこのリミット通信で書いているように簡単に考えて合理化しています。自社商品の売り込みなら、相手が欲しいと思い発注する商品を開発すればよい、納期遅れのお詫びが営業の仕事なら、納期遅れを起こさなければよい。販売店別価格を決めるのが営業なら、定価表を作り、値引きしなければよい。集金率の向上が営業なら、支払が悪いところには売らなければよい。一つ、一つ単純化し解決すると営業がいなくても困らない会社になっています。物事を難しく考えるのではなく、簡単に考えれば方向が見えます。前回のリミット通信で書いたように、優秀な人材を集める努力をした結果、次々と退職しました。また集めて退職する。その原因が数字を打てばコンピュータが処理する高度なソフトを開発したので、頭を使う必要がなくなり、希望を失ったのです。人とコンピュータとの組み合わせが大事なことに気が付かなかったのです。気が付くまでに大変無駄なお金を使いました。その無駄なお金を払える程度の失敗なら、今後に生かすことができます。払えないほどの失敗は、会社は倒産します。倒産すると経験は生かすことはできません。簡単なことを難しく考えて行き詰まることが多くあるのではないでしょうか。
2005年7月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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