2005年 4月号

 

  一、計算できないこと

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 今年の営業状況を見ますと、売上は昨年より落ちていません。その売上内容を分析してみると、リミットの主力商品である女子ユニフォームは少し落ちていますが、落ちた金額を昨年十月よりリミット通販㈱が販売を始めた高級婦人衣料が埋めています。高級婦人衣料はリミットが生産し、リミット通販に納品し、業界に販売しています。生産・流通・在庫・販売管理は全てリミット情報システムがしておりますので、リミット通販の社員は必要ありません。リミット製品の感覚で出荷すれば、月末にはリミット通販の帳簿と管理資料は情報システムが自動で抽出してプリントします。これがリミット情報システムの特徴で、社員がいなくても全てできるようになっています。昨年高級婦人衣料を企画し、販売していなかったら今年は売上減の状態だったと思います。

 他社ユニフォームメーカーも色々な製品を考えられ、販売をされています。売上減少を予想して扱い商品を広げておられるのだと思います。この時、商品の広げ方によって会社の将来が大きく左右されると思います。リミットは製品仕入れによって成り立つ会社ではなく、企画、製造、流通ノウハウを完全にリミットグループがもつことを第一条件にしています。この大事な部門を他社に依頼していたら、販売部門だけの問屋同様になり、メーカーとしての役目と責任を放棄したことになります。「同じ道が二つあるならば、苦しい方の道を選ぶ」私はいつもこの哲学で物事を判断しています。この哲学に基づけば何をしても発展のテンポは遅く、十年はかかります。しかし確固たる企業の歴史ができると思っています。苦しい道を選ぶと言っても、女子ユニフォームのメーカーが高級婦人衣料に進出して企画、製造、流通ノウハウをもとうと考えることは非常識です。確かに最初はそんな高いレベルを考えていませんでした。勉強している段階で、知識をもっている人との出会いで次々と変化を起こし、高級婦人衣料を企画製造しよういうことになったのです。会社の運命、個人の運命とは、本当に計算の世界では理解できないことが多く起きます。自分の力ではない守り神のお陰と強く感じます。

 

  二、楽しい夢が見られる幸福

 

 私は何かをしたいと思えばすぐ会社を設立します。全ての準備を整えてから会社設立への行動をおこす人もおられます。しかし私はいつも形から入ります。リミット通販㈱は、設立当初は社名が夢リミット㈱でした。その後、夢パレット㈱、リミット通販㈱へ組織改変をいたしました。会社を設立すると、どのようにするかを考えます。そして必要な人が目の前に現れた時、その人を掴みます。もし会社を設立していなかったら、問題意識が弱いので見過ごします。掴む、掴まないで運命が変わります。この度は若い世代の感覚で掴んできました。神様は全ての人へ平等にチャンスを与えていると思います。しかしそれを掴まなくては結果が出ません。掴むには大きな決断が必要です。決断ができず、迷ってチャンスを逃がす人が多いのではないかと思います。日中情報システム㈱の設立も、リミットは将来情報会社になるかも知れないと考え設立しました。そしてチャンスを掴み、人材を採用しました。現在中国工場総経理の息子が経営する情報会社と連携し、リミットのシステム再構築を六千万円の予算でしています。設立時には、このようなことは考えてもみませんでした。家を建てようと思えば大工に頼む、資金が不足すれば銀行に頼む、そして稼ぐ方法を考え返済する。この簡単な方程式を適用すればよいと考え、会社を最初に設立しています。難しく考えると何もできません。

 会社を設立すれば赤字が続きます。リミット通販㈱、日中情報システム㈱は設立以後赤字が続きました。それをリミットが赤字補填をしてきました。五年以上経った今年から、赤字補填は必要ないと思います。長年の赤字会社がようやく軌道に乗りました。これで安心して若い世代に任すことができます。今年は新たに二社の設立を目標としています。当面赤字会社でしょう。一社はすでにスタートしています。もう一社は設立手続き中です。形が見えるのはやはり五年先でしょう。年を取っても楽しい夢が描けるということは、大変ありがたいことです。しかし本体を大事にし、利益を出さなくては赤字先行投資の戦略は考えられません。

 

  三、アウトソーシングの大誤算

 

 以前、自社システム構築の難易度から、合理化の名目でアウトソーシングへのシフトを競って導入する時期がありました。その結果、現在行き詰まっている会社が多くあります。日経の情報誌には次のように出ています。

 『アウトソーシングを実施しているユーザー企業五十社以上を徹底取材した。結果は惨憺たるものだった。各社のシステム担当者から聞こえてくるのは、「業績の回復に伴って、現場から新規のシステム化案件がどんどん出てくるのに、アウトソーシング先のベンダーはなかなか動いてくれない」といった愚痴ばかり。アウトソーシング前よりサービスレベルは低下した」といった不満の声も数多い。ユーザー企業とITベンダーが契約締結時に描いたアウトソーシングの成功モデルは、完全に崩壊した』。

 事務の合理化の時代は、アウトソーシングでよかったと思いますが、現在のように厳しい状況では自社情報システムの構築更新を目指す会社が多くなっています。この部分をアウトソーシングすると大変変化が激しい時期に必要な情報が企業に入らないのです。下請けは与えられた仕事をするだけで必要な新しい情報システムは作りません。そのために情報が時代遅れになったのです。現在は経営戦略に資する情報の高密度化への競争を行っているのです。他人任せではなく、経営者がシステム要員と一体となって行動しなくては、レベルの高い情報システムはつくれません。ホームページもより多くのアクセスがとれるセンスのよい、みせるホームページでなくてはなりません。正確な情報発信をするためには企画の考えを吸収し、顧客の購買欲を刺激するものでなくてはなりません。リミットでは、ホームページ作成担当者は日中情報システムの所属ですが、意識的に総合研究所内で仕事をさせています。

 通信販売の鉄則は、商品でお客様の期待を裏切ってはいけません。もし騙されたと感じたら、二度とその通販の商品は買いません。対面販売と違い、受け取った商品が勝負です。自社工場で高級婦人衣料を生産していることは、リミット製品の品質向上に寄与すると思います。紙のカタログからワールド・ワイド・ウエブ上の画像情報時代になってきています。音声や音響も重要です。

 目標を持って勉強しなくては、時代遅れとなり脱落してしまいます。

 

  2005年4月25日

 

    笑顔着

      リミット株式会社

      代表取締役 有 木 伸 宏

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