2005年 1月号
一、突撃の年へ
いつも大変お世話になりありがとうございます。
昨年の業績は、売上五パーセント増で、利益も安定しています。一方では、新しい時代の大転換に対応するための投資を大きく致しました。今年はその投資に見合った結果を出しつつ、具体的な突撃をしたいと思っています。 最近、多くの会社の業績回復が顕著です。リストラ効果です。単純に人件費を落とせば一時的な利益は出ると思います。しかし会社の体質を強くするリストラは、リストラする人の選別が大事になります。リミットは十二年前からリストラを繰り返し、社員は半減しています。売上が半減なら社員も半減して当然です。しかしお客様へのサービスの質は落としていません。製品も女子ユニフォームから高級婦人衣料へと進化しています。財務も売上が半減に落ちていく過程で手形を廃止し、現金支払いにしています。そして現在は無借金に向かって行動を起こしています。会社の体質を変えるには適切な先行投資も必要です。年の初めに当たり、一つ一つ投資の検証をしてみたいと思います。
二、完成間近のオープン系システムの意味
昨年は子会社の日中情報システム㈱が中心になり、基幹システムを構築していたソフト開発会社と中国に設立した情報会社の連携のもとで、五月にはこれらの企業体の再構築をスタートしました。スタート時は、情報会社に出向しシステム構築を学ぶ日中情報システムの社員は一名でした。本人にリミットのシステム再構築の話をした時、即答で「やります」と言いました。今までこんな大きいシステムは経験ありません。話を進めてみると予算が六千万円になりました。リミットにとっては大変な金額です。
私が専門誌を通して知り得た情報によると、情報システムが失敗する大きな原因は、基幹システム再構築に関して各部門からの雑多な要望をまとめる強力なリーダーの不在です。会社の実務経験のない情報技術者では取りまとめ能力がありません。
私は生産、通信販売、財務と全ての分野を経験してきました。各部門との関連が全て解ります。そして経営者です。これまでも人は判断業務のみにする。その判断業務もマニュアル化し、コンピュータにさせる。その結果、生産管理、貿易業務、財務管理が各一人になったのです。これはNECからの評価ポイントでもあります。再構築は、現在の設計を基幹系からオープン系に変えるだけです。新しいシステムはその後考えればよいのです。間違いなくできると確信しています。
まだ勉強途中の社員に六千万円の予算を任せたのは、漫然とではありません。六千万円任せられた社員は育っています。現在社員は二名、行動が輝いています。三月頃よりテストが始まります。今後の情報化時代に先行投資してよかったと思うときが必ず来ます。
三、「リフィン」は社運をかけて
十月には高級婦人服「リフィン」の販売を開始しました。商品は業種を決め、ユーザーに直接販売します。準備を始めたのは六年前です。走りながら考え、方向をチェンジしてきました。失敗商品も多く、償却も大変でした。大変厳しい環境の中で売れる新商品を生み出すことは、尋常ではありません。会社名も、夢リミット㈱から夢パレット㈱、そしてリミット通販㈱へ三回変えました。会社名が変わることで内容も変わります。その度に後始末が起きます。売れない物を売る努力より、売れる物を売る努力に変えた方がより利益が出ると考え、今までの商品は全て償却します。既にお知らせしているように「リフィン」の生産は国内自家工場でします。これまで、自家工場を他社の人に見られるのは、恥ずかしく思っていました。今は小規模でも日本一の生産工場が目標です。「見せる工場」を目指しています。高級婦人服「リフィン」がリミットの運命を変えるときが必ず来ると思っています。
四、歴史の中から百年企業に挑戦する
リミットは何故新しいことに挑戦できるのか。常識では不可能なことを考え、行動を起こします。それは「必死」の精神です。死に物狂いです。寝ても覚めても考えるのです。しかし必死に努力しながら、楽しんでいるのです。悲壮感で考えていれば、ノイローゼになります。日々失敗を繰り返す中で、何かを会得し前進するのです。戦後、絣の作業服からスタートして、企画、縫製、販売全ての面で、一番困難な高級婦人服まで引き上げることができたのは、挑戦の精神を持ち続けたからです。それが社員にも浸透して、抵抗感無く挑戦ができる会社になったのです。挑戦ができるためには前進のための失敗は許されることです。しかし失敗商品の損失を隠したら絶対に許しません。損は軌道に乗せて償却すればよいのです。永久にやっていける事業は存在しません。衰退を始めてからの撤退は困難です。利益が出ている今、五年後を見越した新しいビジネスモデルを考えておかなければなりません。
今年は去年までに蒔いたたくさんの種から芽をだすスタートです。高級婦人服に合わせてコンピュータ裁断も三度目の更新をしました。延反機も入れ替えました。投資金額は二千五百万円です。最初のコンピュータ裁断は五千万円でした。性能は上がり、価格は安くなりました。十五年間のノウハウを蓄積していますので即日稼働できました。「リフィン」は中国のセンスでは無理ではないかと思っています。中国成都では電力不足で、週五日休業と出ています。発展の歪みでインフラが大きな問題点です。大手の会社は自家発電をしていますが、それも石油不足が起きています。多くの中国進出企業が悩み始めました。
以前に「リミットは百年企業を目指す」と書きました。百年間もの会社存続は大変なことです。カリスマ的な経営者の不祥事が企業存続の危機まで招いているのは、「百年企業」が如何に困難かを物語っています。リミットの歴史を振り返ると、会社にとって営業力が一番大切と言われていた時代に営業無しの通信販売を始めました。営業の全てを否定し、喋らない営業に徹しました。そして営業経費をリミット総合研究所に投資しました。その結果が、絣の作業服から高級婦人服まで進んできたと思います。
「百年企業」への道はこの歴史の中にあります。若い世代はその歴史を引き継いで、新しい挑戦をしています。今年は大変楽しみな年と思っています。お引き立ての程、心よりお願い申し上げます。
2005年1月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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