2004年 11月号
一、基幹システム再構築で百年企業へ
いつも大変お世話になりありがとうございます。
リミット通信も今年最後の十一月号になりました。今年の業績を見ると、無借金経営に向かって初年度の計画通りに借入金が減少しています。忌憚なく言うと、ある時期までは単に過去を切り捨てなさいと言うばかりで、実は具体的にはどのようにすればよいのか解りませんでした。しかし昨今は売上より利益の時代と徐々に明確になっています。しかし、解った時点でのスタートではもうおそいのです。何か解らないけれど感じたら模索し、失敗を恐れず行動を起していると、その何かが明確に解ったときには行動が加速します。売上より利益重視というリミットの考え方は、十五年前、定価販売と価格厳守を打ち出した時点がスタートだったのです。安売り競争では売上重視になっていたはずで、これでは今日の状況に対立してしまいます。
一方、経済界では過去の流れを壊すため色々と異変が起きています。最近は激しく変化して一週間が一ヶ月に感じます。リミット通信七月号に基幹システムと情報システム再構築について様々な模索が始まっていることを書きました。五ヶ月経った今では断行、決定へと明確な考えが出ています。五ヶ月間で次の様に結論が出ています。
「日本企業は一日も早く、情報系とのシステム連携を見据えた基幹系の刷新を断行すべきである。そうでないと情報系の活用は遅れ、企業の知的活動は前近代的のまま停滞し、国際的に負けるときが来る。」このように言われます。
リミットは多くの企業が先送りするなか、六千万円の予算を組んで今年五月からこの再構築に取り組んでいます。これの先送りによって、歴史ある会社が行き詰まり脱落して行くでしょう。何度も言いますが、リミットは感じたら行動を起こしています。この繰り返しにより百年企業になる目標が達成できると思います。
二、青島工場に問題点
リミットのホームページに中国青島伸栄服装有限公司の新工場、そして先月とりおこなわれた竣工式の模様を載せています。縫製工場とは思えない立派な工場です。工場は家賃で借りる方針ですべて総経理に任せていました。しかし考えてみると私と総経理の時代はお互いの年令の関係で終わりが近づいています。中国も次の世代に譲らなくてはなりません。中国工場の場合、長男夫婦は情報会社、娘夫婦が縫製工場と決めています。ところが、決めてはいますがまだ次の世代は育っていません。竣工式の翌日に総経理にこの工場は十年以内には潰れると言いました。そうなればリミットも打撃を受けるので、青島からの撤退の準備も必要です。
総経理は真面目で堅実な人間ですが、内容の充実を考えず大きな夢を描き、必要以上の大変な規模の工場を作ったのです。まじめ故にこれが必ず実現すると信じているのです。中国人は外見を重視するのかどこに行っても高層ビルの乱立、中国のセメント消費量が成長率の百倍そして石油は四十倍を使うことになり、その結果世界経済が混乱していると言われます。要は大変なバブルです。バブルは必ず弾けます。破壊された後の後始末は日本の歴史が物語っています。
北京政府は加熱を押さえるため、地方の役所が許可を得ず工業団地を造り収入を増やしている現状を取り締まるため、衛星写真を撮り、許可のない団地を探索し、取り壊しを命令しています。最近、青島工場も市政府が北京政府の許可を取らずに違反建築をしていることが解り、取り壊し命令がいつ出てもおかしくはない状況です。もしこの工場を賃貸ではなく、自己資金で建築していたら大変なことになります。もしもの場合でも損害は内装のみです。しかし資金の被害は少ないにしても生産は止まります。対策が必要となっています。もっともリミットはいつもマイナスをプラスにしてきました。必ず道を開きます。
三、確実に訪れている世代交代
九月のリミット通信に、新市工場十八年ぶりの夢実現を書きました。そして作業服の産地で日本一の高級婦人衣料を目指してスタートしました。十月四日、工場再開決起祈願を新市町の吉備津神社で行いました。宮司は現在広島県神社庁長の職務で多忙にもかかわらず祈願して頂きました。大太鼓が私たち参列者の体に大きく響きました。私は、若い世代が新しい考え方で工場を軌道に乗せることを心より祈願いたしました。そして工場に日本一生産工場と書いて貼りました。大きな夢を描けば必ず実現します。
しかし夢は描くだけでは実現しません。同じ程度の努力をして、一方は成功するが、一方は失敗に終わる。この違いはどこからくるのでしょうか。多くの人はその原因として運やツキに求めます。しかし願望の達成は願望の大きさ、深さの差からきているのです。寝食も忘れて思い考え抜くということは簡単にできる行為ではありません。強い思いとすさまじい願望を持続させ、潜在意識にまでしみ込ませなくてはなりません。企業経営でも新規の事業展開や新製品開発などでは計算上は絶対無理と思うことが多くあります。しかし常識的な判断にばかり従っていたらできるものができなくなってしまいます。強烈な思い、願望をもつことが不可欠です。実現を信じて前向きに努力を重ねていくことが目標を達成させる唯一の方法です。
二〇一〇年、台湾侵攻で米中戦争とも言われています。そうでなくても、貧富の差が拡大する中国では不満で暴動が多発しています。早晩大混乱は避けられないという予測が立ち、中国生産を将来プログラムから除外する必要もあるのです。従って、リミットは女子ユニフォームから、別会社で日本一高級婦人衣料を目指して日本国内で生産し販売します。常識で考えたらリミットの高級婦人衣料への進出は非常識です。それでもスタートして問題点の解決に努力していると、解決に必要な人材も見つかり、素材企画情報が集まるのです。目標がなければ目の前に人材そして情報が現れても見過ごします。そして高級婦人衣料はユニフォームのセンスでは通用しません。
女子ユニフォーム時代社長付だった専務は、縫製を知りません。白紙の状態です。これが高級婦人衣料を簡単に受け入れることになったのです。今の時代は過去を捨てなさいと云われています。何も知らない若い世代が有利な時代です。年を取って過去も捨てられない経営者は早く次の世代に譲るべきだと思います。
2004年11月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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