2004年 10月号
一、非常識に挑戦できたことに感謝
いつも大変お世話になりありがとうございます。
前回のリミット通信において、「バブル崩壊後十三年、その間にとった行動が会社の浮き沈みの運命を決める」と書きました。そこでこの十三年間とってきたリミットの行動を省みると、二度と味わいたくない大変な厳しい行動の連続でした。売上が半減しても生き残るための行動は、本当に過激としか言いようがありません。将来に対して厳しい予測をするか、甘い予測をするか、いかなることがらもその時点ではどちらが正しいか解りません。しかしそれによって、会社が大きく影響を受けるのは間違いありません。数字を辿ると平成四年が最高の売上で、平成十四年度で半減の状態なっています。とくに十四年度の落ち込みは普通ではありません。この通信に書いた十四年度、十五年度二度にわたる非常事態宣言も納得できるものでしょう。今になれば売上半減の予測が正解でした。多くの方は半減を予測できなかったと思います。私は、制服は経費である。このような大不況の時は経費節約で全滅もありうる。半分売れれば最高だと考え、半減でも生き残れる行動を起こしました。価格を維持しながら必死に後退しました。多くの会社は必死で突撃を開始し、価格競争に突入しました。常識では突撃が勝ち、後退は負けです。
その当時、業界新聞に、ある会社の社長が「自分の給料をゼロにしても社員の雇用を維持しなくてはならない」と言っておられました。その頃私も給料はゼロにしていました。しかし、ゼロにするのは短期間で、正常に社長が給料を取れる体制を作らなくてはなりません。なぜなら中小企業は社長個人の保証能力が無くなれば、会社の信用は落ちてしまうからです。
この戦後最大の転換期は、今までの常識が非常識になり、非常識なことが常識になったのだと思います。このことは私の守り神の指図としか考えられません。守り神に感謝しています。
二、パソコンに挑戦できたことに感謝
売上半減の予測で、リミットの情報システムは大変な威力を発揮しました。長年築いてきたノウハウをフルに生かし、シミュレーションをしました。十四年度は売上が激しく落ち、三十パーセント落ちました。そのような状況の中でキャッシュフロー獲得のため在庫を三十パーセント落としました。このためには、売上が落ちた三十パーセントと在庫を三十パーセント落とすので、生産を六十パーセント落とさなくてはなりません。中国の工場には二千万円の休業補償を予定して休業を指示しました。結果は、一千万円ですみました。国内生産も全面的に止めました。
周りからリミット倒産の噂も出ましたが、情報システムを信じて行動し、一年二ヶ月で一億二千万円の在庫を落としました。海外、国内の休業補償二千万円と在庫減少で生じた一億二千万円のどちらが資金的に楽になるか、誰でも解ります。一時の赤字で倒産することはありません。それよりも倒産は在庫過剰で起こるのです。そのような最悪の状況の中、在庫減少資金で十三年度、十四年度で手形支払を現金支払いに変えています。これも情報システムを駆使し、正確な計画を立て、その通りに行動して結果を出しました。
私が二十二年前、会社の決算をすればいつも予想に反して利益が出ていないので、財務を全てつかむ目標でパソコンを初始めました。当時は財務管理より営業の時代でした。私は営業が嫌いで、無言でパソコンを続けていました。私の四十八才からの人生はパソコンと一緒に歩んだ人生でした。今になれば先見の明があったと言われますが、世間からもらった当時の評価は営業ができない「役立たず者」でした。
最近の私に対する評価もある意味間違っています。実は先見の明ではなく、ただ、自分の好きなことに打ち込、その結果は出てくるということです。これからの社員採用は、時間を忘れるぐらい好きなことは何かを聞いて、その中から必要な人を採用すれば、最強の会社ができると思います。
なぜ二十年前にパソコンに向かっていったか。二十年前に現在の大転換時代は予想できません。しかし、パソコンで財務管理を追求させた守り神に感謝しています。
三、同族経営が追求できたことに感謝
先日新聞に、老人が持っていた二億円入りの金庫が盗まれたという事件がでていました。十一月一日からの新紙幣発行は、タンス預金洗い出しも目的の一つと考えているようです。そして最近の新聞には、国の借金が七百二十九兆円そして地方特殊法人を入れれば、一千兆円と今まで新聞に出ない記事がでています。これから何が起きても国民の責任です、というために公表しているのだと思います。私も四、五年前より預金封鎖、国家破産の本を数多く読んできました。これらを総合的に考えて、十一月一日に何か起きるのではないかと予想して、さらに一冊の本を買いました。結論には、日本にいて預金封鎖から逃げる方法はなく、外国に移住して外国の銀行に預けるか、運用するしか方法がないと書いてあります。そして最後に以下のことが書いてありました。
『日本では会社を子供に継がせることが自分の子孫の繁栄・安泰に繋がると考えられています。果たして子供に会社を継がせる事がよいのでしょうか?親の作った古い体制を引き継いで、この大転換期を乗り切れず、倒産の道を歩んだとしたら大変な不幸の道です。私が勧める相続対策は、子供に金を貸し、事業をさせる事です。自分で会社を立ち上げれば、いかに大変なことかわかります。親が生きている内に子供にそういう経験をさせてやることです。例えば仮に十億円のお金を子供に残してやっても、日本が破綻したり、預金封鎖や色々なことが起こったりした結果、その十億円は紙くずになっているかも知れません。資金を出して子供の自立を助けた場合、子供は自分で事業を立ち上げた実績を基に、日本がどうなろうとその中でたくましく生きて行けると思います。』
私はこれを読んでびっくりしました。私はリミット通信でいつも書いているように、同族経営方式をとっています。以前は個人預金もありました。しかし今は解約して私の家族は全て専務の会社に貸しています。預金がない者がなぜ預金封鎖を心配したのかと唖然としました。専務の会社、大阪リミット㈱は企画と貿易そして中国生産をしています。中国で生産した製品は大阪リミットの在庫です。リミット㈱は国内で売れただけ大阪リミットから買っています。貸している金は紙くずになり、私の金を合法的に専務の会社が奪う可能性があります。本に書いてあるように、息子に会社を設立させ、親が資金を貸すことが最高の相続税対策です。しかもその方法はすでに実行していました。
これも私の守り神の指図だと思い、感謝しています。
2004年10月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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